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37話 オエスチ侯爵の問いかけ
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執務室のソファで、機嫌良く微笑みながらお茶を飲むオエスチ侯爵の向かい側で…
居心地悪そうに、もじもじとお茶を飲むデスチーノとアディ。
端から見ればどちらがこの執務室の主か分からないだろう。
カチャリッ… とティーカップをテーブルに置きながら、一番最初に口を開いたのはオエスチ侯爵だった。
「確か君は… エントラーダ伯爵家の御令息だったかな?」
デスチーノよりも5,6歳年上のオエスチ侯爵がアディにたずねる。
「は… はい、エントラーダ伯爵家の三男アデレッソスと申します」
赤い顔をしながらも、アディは真っ直ぐオエスチ侯爵を見つめながら自己紹介をした。
デスチーノなどより、交友範囲が広いオエスチ侯爵は、当然アディの元婚約者との醜聞騒ぎも知っているはずである。
「ふむ、それでジェレンチ公爵、結婚は何時する気だ? 君には奥方がいるはずだが?」
表面的には微笑んではいても、少しも目が笑っていないオエスチ侯爵の質問に…
これは正直に話さなければ信用を失うぞ、と危機感を感じ… 姿勢を正し気を引き締めて、デスチーノも真っ直ぐにオエスチ侯爵を見つめて答えた。
「妻と別居して5年になります… 先程、離婚に向けての手続きを弁護士に依頼したところです」
「つまり、君たちは離婚が成立したら、結婚をするつもりなのだな?」
「はい!」
オエスチ侯爵の問いかけに、力強くデスチーノはうなずいたが…
「えええええ―――――――――っ?!!!」
隣に座るアディは、デスチーノを見あげて、自分との結婚の意志があることを初めて知り、叫び声を上げた。
「アディ…?!」
狼狽えるアディを見下ろして、デスチーノは何とも言えない微妙な顔をする。
「結婚するのですか?!」
思わずアディがたずねると…
「私と結婚しないのか?!」
慌ててデスチーノはたずね返す。
「だって、そ… そんな話、聞いてないから… 僕の評判はとても悪いし… てっきり、愛人止まりだと覚悟していたし… でもフーア様と離婚はするのかなぁ~と… そうしたら僕はあなたを独り占めできると良いな~って思っていたけれど…?」
両手の指を組み合わせて、もじもじと動かしアディは上目遣いでデスチーノを、チラッ… チラッ… と見る。
「いいか、アディ! それだと君はいつまでもエントラーダ伯爵に帰属し、利用され続けることになる」
「だ… だから僕をあなたが買ってくれるのかなぁ~っ…と?」
「確かに伯爵家へ、相応の金額の支度金は出すつもりだが… アディは私と結婚するのが嫌なのか?!」
「嫌ではありませんっ!!」
顔をぶんぶんと横に振って、アディは力いっぱい否定した。
「だったら私と結婚しても、問題は無いな?」
ホッと胸を撫で下ろしながらデスチーノは微笑み、アディの頭をぽんっ… ぽんっ… とした。
「僕は問題無いけど、あなたは大ありでしょう? だから良いのかと心配で!!」
「そ…それはだな…?」
頬を赤く染めて、デスチーノが言い淀むと…
プハッ!! と向かい側のオエスチ侯爵が吹き出した。
「オエスチ侯爵?」
デスチーノは赤い顔で、オエスチ侯爵を睨み付けた。
「実に可愛い、やり取りだ!」
クッ… クッ… クッ… と、オエスチ侯爵は楽し気に笑いながら肩を揺らす。
「/////////ッ!」
「////////~っ」
アディとデスチーノは2人仲良く赤くなる。
居心地悪そうに、もじもじとお茶を飲むデスチーノとアディ。
端から見ればどちらがこの執務室の主か分からないだろう。
カチャリッ… とティーカップをテーブルに置きながら、一番最初に口を開いたのはオエスチ侯爵だった。
「確か君は… エントラーダ伯爵家の御令息だったかな?」
デスチーノよりも5,6歳年上のオエスチ侯爵がアディにたずねる。
「は… はい、エントラーダ伯爵家の三男アデレッソスと申します」
赤い顔をしながらも、アディは真っ直ぐオエスチ侯爵を見つめながら自己紹介をした。
デスチーノなどより、交友範囲が広いオエスチ侯爵は、当然アディの元婚約者との醜聞騒ぎも知っているはずである。
「ふむ、それでジェレンチ公爵、結婚は何時する気だ? 君には奥方がいるはずだが?」
表面的には微笑んではいても、少しも目が笑っていないオエスチ侯爵の質問に…
これは正直に話さなければ信用を失うぞ、と危機感を感じ… 姿勢を正し気を引き締めて、デスチーノも真っ直ぐにオエスチ侯爵を見つめて答えた。
「妻と別居して5年になります… 先程、離婚に向けての手続きを弁護士に依頼したところです」
「つまり、君たちは離婚が成立したら、結婚をするつもりなのだな?」
「はい!」
オエスチ侯爵の問いかけに、力強くデスチーノはうなずいたが…
「えええええ―――――――――っ?!!!」
隣に座るアディは、デスチーノを見あげて、自分との結婚の意志があることを初めて知り、叫び声を上げた。
「アディ…?!」
狼狽えるアディを見下ろして、デスチーノは何とも言えない微妙な顔をする。
「結婚するのですか?!」
思わずアディがたずねると…
「私と結婚しないのか?!」
慌ててデスチーノはたずね返す。
「だって、そ… そんな話、聞いてないから… 僕の評判はとても悪いし… てっきり、愛人止まりだと覚悟していたし… でもフーア様と離婚はするのかなぁ~と… そうしたら僕はあなたを独り占めできると良いな~って思っていたけれど…?」
両手の指を組み合わせて、もじもじと動かしアディは上目遣いでデスチーノを、チラッ… チラッ… と見る。
「いいか、アディ! それだと君はいつまでもエントラーダ伯爵に帰属し、利用され続けることになる」
「だ… だから僕をあなたが買ってくれるのかなぁ~っ…と?」
「確かに伯爵家へ、相応の金額の支度金は出すつもりだが… アディは私と結婚するのが嫌なのか?!」
「嫌ではありませんっ!!」
顔をぶんぶんと横に振って、アディは力いっぱい否定した。
「だったら私と結婚しても、問題は無いな?」
ホッと胸を撫で下ろしながらデスチーノは微笑み、アディの頭をぽんっ… ぽんっ… とした。
「僕は問題無いけど、あなたは大ありでしょう? だから良いのかと心配で!!」
「そ…それはだな…?」
頬を赤く染めて、デスチーノが言い淀むと…
プハッ!! と向かい側のオエスチ侯爵が吹き出した。
「オエスチ侯爵?」
デスチーノは赤い顔で、オエスチ侯爵を睨み付けた。
「実に可愛い、やり取りだ!」
クッ… クッ… クッ… と、オエスチ侯爵は楽し気に笑いながら肩を揺らす。
「/////////ッ!」
「////////~っ」
アディとデスチーノは2人仲良く赤くなる。
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