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36話 食後のデザート デスチーノside ※R18
しおりを挟む食事を済ませたら、やはり食後のデザートが欲しくなるのは当然で…
特に甘くて美味しそうな、可愛らしいオメガの恋人が隣にちょこんと座っていれば、成熟したアルファとしては、増々そんな気分になってしまうものである。
「デスチーノ… どうか、したのですか?」
熱心にデスチーノがアディを観察していると… まつ毛がとても長く、頬を染めてチラリとデスチーノを見あげる顔が、何とも艶っぽいのだ。
「もうすぐ、君は私のものになる… そう思うと不思議な気分なのだよ」
ふわりと立ちのぼる、ジャスミンの芳香にも似たアディのフェロモンが格別に心地良い。
「僕もです、だって子供の頃からずっとあなたに憧れていたから… 本当に不思議っ…!」
アディの、このフェロモンシャワーを体験した時から、デスチーノが抑制剤で抑え込んでいる、アルファの原始的欲望が…
アディを番にしろと、大騒ぎを始めるようになった。
「そんな可愛いことを言われては、今すぐ欲しくなってきた…」
<アルファの本能や欲望に負けてはダメだと分かっていても… 簡単には勝てないし、勝つ自信も無い>
「デスチーノ… 僕も早くあなたのものになりたい」
うっとりと憧れを含んだ琥珀色の瞳が、デスチーノには熱を帯びて潤んだように見えた。
たまらずデスチーノが小さな唇を塞ぐと、ここ三日間で何度も唇を合せているから、すぐにアディから心地良い反応が返って来るようになった。
「ふうんんっ… んんっ…!」
合わせた唇をアディが舌でくすぐり、デスチーノの口内におずおずと忍び込んで来る。
<アディ… 君にもっとたくさん淫らで気持ちの良いことを、私が教えてやる!!>
デスチーノはこの成長ぶりに気を良くして、アディを抱き上げ自分の膝に乗せると…
「んんんんっ…?」
驚いて目を開けたアディは、唇を離さず合わせたまま、デスチーノの首に細い腕を回し、再び目を閉じて、ピクピクと長いまつ毛を震わせて、キスに集中する。
チュク… チュク…ッ… チュク… チュ… チュッ… と…
思う存分薄い舌を甘噛みをしたらデスチーノはキュッと吸い…刺激した。
嬉しそうにアディは目を閉じたまま微笑む。
甘い、甘い、デザートの時間はそこまでだった。
ガチャッ…! 執務室の扉がノックも無しに、いきなり開かれ…
「ジェレンチ公爵、いるか? デスチーノ!」
ドキッ… とアディとデスチーノは、2人同時に心臓を跳ねさせた。
「うわっ…!」
慌ててアディはデスチーノの膝から下りようとして、背中から転げ落ちそうになり…
「危なっ…!」
転げ落ちそうになったアディの身体を支えながら、デスチーノは一緒にソファセットの机の上にゴゴンッ…! と鈍い音を立てて転がった。
「ううっ…」
「痛たた…」
2人は机の上に転がって一緒にうめいた。
「おおっとぉ…!? これはお楽しみ中に邪魔をしてしまったようだな、失礼した! うっかり自分の執務室と同じ感覚で開けてしまった!」
扉をノック無しで突然開けた、不作法者のオエスチ侯爵はニヤリと笑って、バタンッ… と扉を閉めた。
「はぁ?!」
真っ赤な顔でアディは口をパクパクした。
「落ち着けアディ! オエスチ侯爵は、いつもあんな感じの人だから、あまり心配しなくても良い」
「醜… 醜聞に、なったりしませんかぁ…?」
「信頼できる人だから… たぶん?」
デスチーノは何となく不安そうだ。
「たぶん?!」
アディが聞き返す。
「たぶん…」
「たぶん?」
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今回の名前はブラジル・ポルトガル語にお世話になりました。アデレッソス→アクセサリー、デスチーノ→行き先、ジェレンチ→支配人、コンプラ―ル→買う、エントラーダ→入口、ヴィードロ→ガラス、トルセール→応援する、フーア→街路、 ラテン系の単語は何となく色気があって素敵ですよねぇ~☆彡
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