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34話 執務室で書類に溺れる
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エントラーダ伯爵家、次男リコールの結婚式に招待され、数日、休暇を取ったせいで、デスチーノは執務室で書類仕事に追われていた。
騎士団に入団すると、誰もが昇進し高い役職に就くことを熱望するが… 役職が高くなればなるほど、必要になるのが書類仕事の処理能力だ。
「まったく、ゲス野郎の結婚式になど、行かなければ良かった!! こんなに仕事が溜まってしまうなんて… ああクソッ!!」
ブツブツと文句を言いながら、デスチーノはインク壺にペンを付け、ガシガシと書類にサインを入れては、次のを読んで、帳簿を開き数字を確認すると、書類に記入しサインを入れインクが乾くように吸い取り砂を掛ける。
吸い取り砂を払い、インクが乾くと書類を足元に置いた書類整理用の木箱にポイッ… ポイッ… と入れて行く。
王家やら他の騎士団との調整、政府機関への申請やら、物資、新人騎士、資金の確保と…
一年を通して、騎士団長ともなると途方もない書類仕事に追われることになる。
それ以外に部下から上がって来た、報告書にも目を通しているのだから、デスチーノの口から文句があふれるのは仕方ないことである。
コンッ… コンッ… コンッ… と執務室の扉が叩かれ、従者のカディラが顔を出した。
「公爵様、事務弁護士殿が到着しましたが… こちらに通しますか?」
「ああ、頼む」
「あの… フーア様と離婚されるのですか?」
デスチーノと気心の知れた従者だからこそ、許される質問だった。
「ああ、フーアが別館に移って5年も経った… 今までそうしなかったのが間違いだった」
「公爵様が1人で過ごされるには、とても長い時間でしたからね」
"全く一人というわけではなかったが" …とカディラは心の中で付け加えた。
成熟した大人のアルファであるデスチーノには、その時々で、ベータの愛人がいた。
「ギーアに伝えておいてくれ… 私と会えば、フーアは狂い出すから、事務弁護士に全てを任せるから心配はいらないとな」
「はい」
ギーアはカディラの実兄で… フーアがデスチーノと婚約し、ジェレンチ公爵邸へと来た時に、先代公爵がフーアに付けた従者である。
「ああそれと、ついでにそっちの箱の書類を、王宮に届けてくれ!」
「うわっ!あふれているではありませんか?!」
「王宮主催の舞踏会が有るから、それの関係書類だ… ああ、考えるだけでも面倒だ!!」
「先日、王宮に書類を届けた時に第二騎士団の騎士団長様にお会いし… "そろそろ手合いの季節だがいつが良いか、希望は有るか?" とたずねられましたが… 私がそのお話を公爵様にお伝えしたことは覚えておられますか?」
「んんんん~… 忘れていた! 一度、オエスチ侯爵に直接会わないとダメだな!」
第二騎士団の騎士団長は、オエスチ侯爵が就いている。
「今は社交シーズン中ですから、オエスチ侯爵様も忙しそうでしたよ?」
「困ったものだ!」
騎士団同士の手合い(練習試合)は、騎士団側の都合に一応、合わせはするが…
毎年、社交シーズンの終り頃に王室主催で開かれる、お祭り騒ぎだった。
「それでは事務弁護士殿を、呼んでまいります」
腕にいっぱいの書類を抱えて、カディラは執務室を出て行った。
「ハァ―――ッ… やれやれだ…」
帳簿を何冊も開き、数字を照らし合わせて、デスチーノはインクを付けて書類に必要な数字を入れて、サインする。
騎士団に入団すると、誰もが昇進し高い役職に就くことを熱望するが… 役職が高くなればなるほど、必要になるのが書類仕事の処理能力だ。
「まったく、ゲス野郎の結婚式になど、行かなければ良かった!! こんなに仕事が溜まってしまうなんて… ああクソッ!!」
ブツブツと文句を言いながら、デスチーノはインク壺にペンを付け、ガシガシと書類にサインを入れては、次のを読んで、帳簿を開き数字を確認すると、書類に記入しサインを入れインクが乾くように吸い取り砂を掛ける。
吸い取り砂を払い、インクが乾くと書類を足元に置いた書類整理用の木箱にポイッ… ポイッ… と入れて行く。
王家やら他の騎士団との調整、政府機関への申請やら、物資、新人騎士、資金の確保と…
一年を通して、騎士団長ともなると途方もない書類仕事に追われることになる。
それ以外に部下から上がって来た、報告書にも目を通しているのだから、デスチーノの口から文句があふれるのは仕方ないことである。
コンッ… コンッ… コンッ… と執務室の扉が叩かれ、従者のカディラが顔を出した。
「公爵様、事務弁護士殿が到着しましたが… こちらに通しますか?」
「ああ、頼む」
「あの… フーア様と離婚されるのですか?」
デスチーノと気心の知れた従者だからこそ、許される質問だった。
「ああ、フーアが別館に移って5年も経った… 今までそうしなかったのが間違いだった」
「公爵様が1人で過ごされるには、とても長い時間でしたからね」
"全く一人というわけではなかったが" …とカディラは心の中で付け加えた。
成熟した大人のアルファであるデスチーノには、その時々で、ベータの愛人がいた。
「ギーアに伝えておいてくれ… 私と会えば、フーアは狂い出すから、事務弁護士に全てを任せるから心配はいらないとな」
「はい」
ギーアはカディラの実兄で… フーアがデスチーノと婚約し、ジェレンチ公爵邸へと来た時に、先代公爵がフーアに付けた従者である。
「ああそれと、ついでにそっちの箱の書類を、王宮に届けてくれ!」
「うわっ!あふれているではありませんか?!」
「王宮主催の舞踏会が有るから、それの関係書類だ… ああ、考えるだけでも面倒だ!!」
「先日、王宮に書類を届けた時に第二騎士団の騎士団長様にお会いし… "そろそろ手合いの季節だがいつが良いか、希望は有るか?" とたずねられましたが… 私がそのお話を公爵様にお伝えしたことは覚えておられますか?」
「んんんん~… 忘れていた! 一度、オエスチ侯爵に直接会わないとダメだな!」
第二騎士団の騎士団長は、オエスチ侯爵が就いている。
「今は社交シーズン中ですから、オエスチ侯爵様も忙しそうでしたよ?」
「困ったものだ!」
騎士団同士の手合い(練習試合)は、騎士団側の都合に一応、合わせはするが…
毎年、社交シーズンの終り頃に王室主催で開かれる、お祭り騒ぎだった。
「それでは事務弁護士殿を、呼んでまいります」
腕にいっぱいの書類を抱えて、カディラは執務室を出て行った。
「ハァ―――ッ… やれやれだ…」
帳簿を何冊も開き、数字を照らし合わせて、デスチーノはインクを付けて書類に必要な数字を入れて、サインする。
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