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6話 アディは、はしたない? デスチーノside ※R18
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「待て待て、アディ! どこが、はしたな…い… あれ…? はしたないか? ああ、いや! そういう問題では無いぞ! いいか、お前は可愛かった! だから先にイクように私は愛撫をしたのだからな」
顔を隠すアディの手を引き剥がし、デスチーノは目を合わせた。
「でも… 僕はまだ、あなたを… 射精させていません…!」
「い… いや、それはだな…」
<嫌な感じだ… 私の従弟はアディに何をしたのだ?!>
デスチーノは顔をしかめてしばらく考え込むと、慎重に言葉を選んでアディに尋ねた。
「アルファによっては、オメガの抱き方にも、それぞれ好みがあるのだよ… 私の従弟はアディをどんな風に抱いたのだ?」
「それは… どんな風と言われても…」
羞恥で増々赤くなり、アディは言葉に詰まった。
「何が違った?」
穏やかに微笑んでデスチーノは、答えを急かすような真似はしなかった。
「あの…」
「うん?」
胸の小さな乳首に吸い付かれたことなど、今までは無く、アディにとって正に初めての体験だった。
性感が増すと、いつもアディの胸の先が敏感になり、ヂクヂクとすることはあったが…
元婚約者はアディにキスをして、オメガの性器、蜜壺が濡れると、すぐにペニスを挿入し中で射精したらそれで終わりだった。
だからいつも、服は着たままアディは下衣だけを膝まで下ろし、背後からヴィードロを受け入れるだけで…
胸に触れられたことも無く、アディはそのことを恥ずかしそうにぽつぽつとデスチーノに話した。
「ゲス野郎!!」
罵りの言葉を言い放つが、デスチーノは不安そうに見上げるアディの視線に気付き、それ以上は何も言わなかった。
アディが動揺して泣いた時に感じた、違和感の正体は、デスチーノが予想した通り、最も嫌な真実だった。
デスチーノの従弟ヴィードロは… 自分に好意を寄せる、若く未熟な婚約者を相手に、濃厚なアルファのフェロモンで誘惑し、溺れさせ…
アディに性体験が無いことを利用し、最低限の愛撫も無く、性欲の捌け口に使っていたのだ。
<今はまだ、アディ自身が男娼のように扱われたことを、気付いていないのが幸いだ>
それでもヴィードロが、正式に結婚したのなら、夫婦の問題だと片付けられるが…
結局最後にヴィードロは目移りして、他のオメガと結婚したのだから、本人同士の問題だからとデスチーノには簡単に見過ごすことは出来なかった。
<クソッ! 吐き気がするほど、胸が悪くなりそうな強い怒りが湧いて来る、許せないな!>
そのゲス野郎が、自分と血のつながりがある、従兄弟だと思うとデスチーノは余計に許すことが出来なかった。
「アディ… 今夜はここまでにしよう」
<適当に望みを叶えてやり、それで終わりにするつもりだったが… このまま終わらせてはあまりにもアディが哀れだ!>
「ええ?! デスチーノ… お願いです! 次は失敗しませんから、お願いです!!」
青ざめた顔に悲しそうな表情を浮かべるアディを、デスチーノは力いっぱい抱き締めた。
顔を隠すアディの手を引き剥がし、デスチーノは目を合わせた。
「でも… 僕はまだ、あなたを… 射精させていません…!」
「い… いや、それはだな…」
<嫌な感じだ… 私の従弟はアディに何をしたのだ?!>
デスチーノは顔をしかめてしばらく考え込むと、慎重に言葉を選んでアディに尋ねた。
「アルファによっては、オメガの抱き方にも、それぞれ好みがあるのだよ… 私の従弟はアディをどんな風に抱いたのだ?」
「それは… どんな風と言われても…」
羞恥で増々赤くなり、アディは言葉に詰まった。
「何が違った?」
穏やかに微笑んでデスチーノは、答えを急かすような真似はしなかった。
「あの…」
「うん?」
胸の小さな乳首に吸い付かれたことなど、今までは無く、アディにとって正に初めての体験だった。
性感が増すと、いつもアディの胸の先が敏感になり、ヂクヂクとすることはあったが…
元婚約者はアディにキスをして、オメガの性器、蜜壺が濡れると、すぐにペニスを挿入し中で射精したらそれで終わりだった。
だからいつも、服は着たままアディは下衣だけを膝まで下ろし、背後からヴィードロを受け入れるだけで…
胸に触れられたことも無く、アディはそのことを恥ずかしそうにぽつぽつとデスチーノに話した。
「ゲス野郎!!」
罵りの言葉を言い放つが、デスチーノは不安そうに見上げるアディの視線に気付き、それ以上は何も言わなかった。
アディが動揺して泣いた時に感じた、違和感の正体は、デスチーノが予想した通り、最も嫌な真実だった。
デスチーノの従弟ヴィードロは… 自分に好意を寄せる、若く未熟な婚約者を相手に、濃厚なアルファのフェロモンで誘惑し、溺れさせ…
アディに性体験が無いことを利用し、最低限の愛撫も無く、性欲の捌け口に使っていたのだ。
<今はまだ、アディ自身が男娼のように扱われたことを、気付いていないのが幸いだ>
それでもヴィードロが、正式に結婚したのなら、夫婦の問題だと片付けられるが…
結局最後にヴィードロは目移りして、他のオメガと結婚したのだから、本人同士の問題だからとデスチーノには簡単に見過ごすことは出来なかった。
<クソッ! 吐き気がするほど、胸が悪くなりそうな強い怒りが湧いて来る、許せないな!>
そのゲス野郎が、自分と血のつながりがある、従兄弟だと思うとデスチーノは余計に許すことが出来なかった。
「アディ… 今夜はここまでにしよう」
<適当に望みを叶えてやり、それで終わりにするつもりだったが… このまま終わらせてはあまりにもアディが哀れだ!>
「ええ?! デスチーノ… お願いです! 次は失敗しませんから、お願いです!!」
青ざめた顔に悲しそうな表情を浮かべるアディを、デスチーノは力いっぱい抱き締めた。
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今回の名前はブラジル・ポルトガル語にお世話になりました。アデレッソス→アクセサリー、デスチーノ→行き先、ジェレンチ→支配人、コンプラ―ル→買う、エントラーダ→入口、ヴィードロ→ガラス、トルセール→応援する、フーア→街路、 ラテン系の単語は何となく色気があって素敵ですよねぇ~☆彡
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