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4話 憧れの人、ジェレンチ公爵
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「あなたが僕の初恋の人だからです」
「何だって?!」
ぱかりと口を開けて、デスチーノはポカ~ンとする。
「そ… それにあなたは社交界では遊び上手な人だと、評判ですし…」
「ああ、確かにそうだが…」
デスチーノは額を押さえた。
「あなたに"番"にして欲しいなどとは言いません、そんな図々しい考えはありませんから安心してください!」
<誉れ高きジェレンチ公爵、王太子殿下の右腕で、王立第一騎士団の騎士団長、デスチーノ様…>
アデレッソスとは何もかもが身分違いの、デスチーノは高嶺の花だ。
そんな人物に醜聞まみれのオメガが、一時の情けをかけて貰えるのなら、有難いと思わなければいけない。
「だが、アデレッソス…」
「避妊薬も飲んであります…! だからお願いです!」
「・・・・っ!」
デスチーノは厳しい表情で、アデレッソスをジッ… と見つめた。
「僕に残るアルファとの唯一の記憶が、僕を裏切った浮気者のヴィードロとの記憶しか無いのが、どうしても嫌なのです!」
「君は私に抱かれることで… 不愉快な元婚約者ヴィードロの記憶を、消し去りたいのだな?」
「はい… コンプラ―ル男爵はベータなので、オメガとアルファのようなセックスは出来ませんから」
オメガはアルファのフェロモンシャワーに包まれながら、アルファに抱かれた時、快楽のさらなる高みへと達することが出来るのだ。
"番"という特別な契りを交わすことが出来る、アルファとオメガの身体はそれほど特殊であり、身体の相性の良い相手と巡り合えれば、それだけで生涯幸福に過ごせると言われている。
その様な話から、"運命の番"なる言葉が生まれた。
「・・・・・・」
顔を伏せて大きなため息をつくと、デスチーノは顔にかかった髪をかき上げ、アデレッソスを見つめた。
「わかった、協力するよ… ただし、夜明け前に必ず自分の部屋に戻りなさい、新たな醜聞に巻き込まれないように! いいか、アデレッソス?」
「は… はい! ジェレンチ公爵様!」
<ヤッタァ―――ッ…!!!>
パッ… と琥珀色の瞳を陽光のように明るく輝かせて喜ぶアデレッソスに、デスチーノは顔をしかめた。
「私は君と結婚は出来ない… それだけは、けっして忘れないように」
渋い顔でデスチーノは念押しした。
「勿論です! ジェレンチ公爵様、肝に銘じます! 心から感謝します!」
<信じられない!! 夢が叶うなんて… 今夜、死ぬことになっても、僕はきっと笑って死ねるよぉ!!>
カァッ… と頬を赤く染め、 今度は嬉し涙が滲み出てしまい… アデレッソスは涙を指先で拭いながら、デスチーノを見つめた。
「服を脱いで、ベッドへ入りなさい」
あまりの喜びように、デスチーノは困った顔をする。
「はい… 公爵様!」
ニコニコと笑いながら、アデレッソスは服を脱いだ。
"公爵様の気が変わる前に" と大急ぎでするするとアデレッソスは、服を脱ぐ。
窓際に置かれた椅子に脱いだ服を掛け…
全裸になるとアデレッソスは、上掛けを捲ったデスチーノの隣へとすべり込んだ。
「…公爵…様」
緊張で声が掠れてしまったアデレッソスの頬を撫で、デスチーノは白い額にキスを落し、声を潜めて甘い声で命令した。
「アディ… ベッドの中では、デスチーノと呼びなさい」
小さな赤い唇の横にも、デスチーノはキスを落とす。
「あ… その呼び方覚えていたのですね?」
幼い頃、母にしか呼ばれたことの無い名前で呼ばれ、アデレッソスの心から緊張がふるふると解けて行く。
「何だって?!」
ぱかりと口を開けて、デスチーノはポカ~ンとする。
「そ… それにあなたは社交界では遊び上手な人だと、評判ですし…」
「ああ、確かにそうだが…」
デスチーノは額を押さえた。
「あなたに"番"にして欲しいなどとは言いません、そんな図々しい考えはありませんから安心してください!」
<誉れ高きジェレンチ公爵、王太子殿下の右腕で、王立第一騎士団の騎士団長、デスチーノ様…>
アデレッソスとは何もかもが身分違いの、デスチーノは高嶺の花だ。
そんな人物に醜聞まみれのオメガが、一時の情けをかけて貰えるのなら、有難いと思わなければいけない。
「だが、アデレッソス…」
「避妊薬も飲んであります…! だからお願いです!」
「・・・・っ!」
デスチーノは厳しい表情で、アデレッソスをジッ… と見つめた。
「僕に残るアルファとの唯一の記憶が、僕を裏切った浮気者のヴィードロとの記憶しか無いのが、どうしても嫌なのです!」
「君は私に抱かれることで… 不愉快な元婚約者ヴィードロの記憶を、消し去りたいのだな?」
「はい… コンプラ―ル男爵はベータなので、オメガとアルファのようなセックスは出来ませんから」
オメガはアルファのフェロモンシャワーに包まれながら、アルファに抱かれた時、快楽のさらなる高みへと達することが出来るのだ。
"番"という特別な契りを交わすことが出来る、アルファとオメガの身体はそれほど特殊であり、身体の相性の良い相手と巡り合えれば、それだけで生涯幸福に過ごせると言われている。
その様な話から、"運命の番"なる言葉が生まれた。
「・・・・・・」
顔を伏せて大きなため息をつくと、デスチーノは顔にかかった髪をかき上げ、アデレッソスを見つめた。
「わかった、協力するよ… ただし、夜明け前に必ず自分の部屋に戻りなさい、新たな醜聞に巻き込まれないように! いいか、アデレッソス?」
「は… はい! ジェレンチ公爵様!」
<ヤッタァ―――ッ…!!!>
パッ… と琥珀色の瞳を陽光のように明るく輝かせて喜ぶアデレッソスに、デスチーノは顔をしかめた。
「私は君と結婚は出来ない… それだけは、けっして忘れないように」
渋い顔でデスチーノは念押しした。
「勿論です! ジェレンチ公爵様、肝に銘じます! 心から感謝します!」
<信じられない!! 夢が叶うなんて… 今夜、死ぬことになっても、僕はきっと笑って死ねるよぉ!!>
カァッ… と頬を赤く染め、 今度は嬉し涙が滲み出てしまい… アデレッソスは涙を指先で拭いながら、デスチーノを見つめた。
「服を脱いで、ベッドへ入りなさい」
あまりの喜びように、デスチーノは困った顔をする。
「はい… 公爵様!」
ニコニコと笑いながら、アデレッソスは服を脱いだ。
"公爵様の気が変わる前に" と大急ぎでするするとアデレッソスは、服を脱ぐ。
窓際に置かれた椅子に脱いだ服を掛け…
全裸になるとアデレッソスは、上掛けを捲ったデスチーノの隣へとすべり込んだ。
「…公爵…様」
緊張で声が掠れてしまったアデレッソスの頬を撫で、デスチーノは白い額にキスを落し、声を潜めて甘い声で命令した。
「アディ… ベッドの中では、デスチーノと呼びなさい」
小さな赤い唇の横にも、デスチーノはキスを落とす。
「あ… その呼び方覚えていたのですね?」
幼い頃、母にしか呼ばれたことの無い名前で呼ばれ、アデレッソスの心から緊張がふるふると解けて行く。
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今回の名前はブラジル・ポルトガル語にお世話になりました。アデレッソス→アクセサリー、デスチーノ→行き先、ジェレンチ→支配人、コンプラ―ル→買う、エントラーダ→入口、ヴィードロ→ガラス、トルセール→応援する、フーア→街路、 ラテン系の単語は何となく色気があって素敵ですよねぇ~☆彡
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