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30話 選べない
しおりを挟む双子たちが、今にも大げんかを始めようとしたところで… ヒラソルは絨毯におでこを擦りつけながら謝罪する。
「申… 申し訳ありません! ううっ… 僕の浅はかな行動で、お2人にご迷惑をおかけしたことを… 心から謝罪いたします…!!」
「ヒラソル…?!」
「おい、顔を上げろ! 私たちはお前に謝って欲しい訳ではない!」
「そうだ、オレたちはお前に選んで欲しいだけだ!」
「僕は選びません!」
どちらか1人を選ぶなんて、できないよ! だって2人は、ドラゴンから王国を救った英雄だから! 僕が2人の番でも… そんな立派な人たちを選ぶ資格なんて、僕には無いよ?!
「そんなことを言わずに、ヒラソルが『運命の番』を選ぶんだ!」
「そうだ、ヒラソル! アルマドゥラの言う通りだ!」
双子は仲良く同じ主張をして、ヒラソルを説得しようとする。
「愚かな僕は、お2人の番に相応しくありません! その証拠にお2人は大ゲンカをしようとしています!! ううっ…」
本当に僕は、不敬罪で処刑されても文句を言えない罪を犯したんだ!
「そんなことは無いぞ、ヒラソル! なぁ、ラティゴもそう思うだろう?!」
「ああ、そうだともヒラソル! アルマドゥラの言うとおりだ!」
「いいえ! 僕はお2人の番には相応しくありません!」
パッ… と顔をあげて、ヒラソルは大粒の涙をポロポロ落とす。
「ヒラソル…!」
「ヒラソル…!」
「ケ… ケンカはやめて、お2人は兄弟仲良く…… う゛うっ… 素晴ら…しい… 番があらわ… れるよう… 末永くお2人の幸せを… 心から… 心から、お祈り申し上げます! うううっ… ですから、僕… 僕に… 罰をあたえて下さい! 僕がすべて… 悪いのですぅ!! う゛ううっ… 」
「待て! 待て! 待て――っ!」
「ヒラソル、早まるな――っ!」
「うううううっ――っ…!!!」
ヒラソルはたまらず号泣した。
「わかった! わかった! わかった――っ…!」
「そうだ、ケンカは止める! もうしないと誓う!!」
「うううううっ――っ…!!!」
「オレもラティゴと仲良くすると誓うから、泣くなヒラソル!」
「ヒラソル、私はもっと別のイジメかたをして、お前を鳴かせたいたいんだ!」
「うううううっ――っ…!!!」
ガロテとラティゴは『兄弟でケンカをしない』 …とヒラソルの前で、 誓約の魔法をお互いにかけた。
もしこの誓いを破ると、性器が6ヵ月間腫れあがり、激痛で苦しむという恐ろしい罰が発動する。
こうして3人一組の、『運命の番』…? が出来た。
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