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22話 暗い庭3 ラティゴside
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未婚のオメガたちに追いかけまわされ、王太子ラティゴは散歩道からはずれた場所にある、簡単には見つけにくいあずま屋に、発情した身体に苦痛を感じながら隠れていた。
猛る欲望をなだめようと、2度目の自慰で頂点にたっしようとしたところで… 王太子ラティゴの元に、発情するオメガの誘惑フェロモンがただよって来た。
「私のフェロモンをたどって、オメガが追って来たのか?!」
今… 来られては困る! とてもオメガの前で、正気を保てそうにない! ああ… もうダメだ!
ハァッ… ハァッ… とあらあらしく熱い息をはきながら、ラティゴは自慰の手を止めて周囲を探る。
ラティゴの耳に小さな足音が聞こえる。
「……っ」
やはり、すぐ近くにオメガがいる!
足音がガセボの前で止まるが… ラティゴに届く、オメガの誘惑フェロモンの濃度はどんどん濃くなって行く。
「誰だ?! 痛い目にあいたくなければ、私に近づくな!」
欲望で獣になりそうだ!
自制心をかき集めて、自分に近づこうとするオメガにラティゴは警告した。
アルファの力で威圧して、追い払えれば良いのだが… 発情しきった身体では、そんな気力が出そうにない。
「お… お願いです! 最後に一度だけ… 結婚はしなくて良いです! すぐに僕は田舎に帰りますから… ただ、もう一度、あなたとの思い出が欲しくて…」
グスッ… グスッ… と鼻をすすりながら、涙声で発情したオメガは訴えた。
「思い出だと…?」
ずいぶん、可愛いことを言うな? 田舎に帰る前に思い出が欲しい… だと…?!
「使用人にあなたが誰か聞きました! だから今は… 僕は平凡で、あなたとは不釣り合いだとわかっています! 僕の家も田舎の貧乏な男爵家だから、あなたと比べてとても身分が低いし… 」
「私と身分違いと知っていて… 田舎に帰る前に私と寝て、土産話にでもすると言うのか? フンッ…!」
「いいえ! 土産話ではなく… 僕だけの、一生の宝物の思い出にします! 誰かに話したりしません!」
オメガは泣きながらガセボに来て… ドンッ… とぶち当たるようにラティゴに抱き付いた。
「おい! こらっ…!! 離せ… 犯されたいのか?!」
なんて不敬なやつだ?! 私が誰か知っていて、ここまでするなんて?!
怒りを感じていても、トロリと甘いオメガのフェロモンに包まれ、ラティゴは頭がぐらぐらとするほど酔う。
「犯して下さい! …僕は、僕はすぐに消えますから!」
発情して興奮したオメガもハァッ… ハァッ… と熱い息をはく。
「お… お前の… お前の名まえは…?!」
ラティゴに残された理性の欠片が、ぎりぎりで名前を確認することを忘れなかった。
「ヒ… ヒラソルです…?」
「男爵家と言ったな?」
「は… はい… デアリバ男爵家のヒラソルです…?」
「デアリバ男爵家…」
聞いたことが無いな? だが… もう、どうでも良い! 望みどおりにしてやる!!
2年の長い禁欲生活の果てに、王太子ラティゴの自制心は消え去った。
猛る欲望をなだめようと、2度目の自慰で頂点にたっしようとしたところで… 王太子ラティゴの元に、発情するオメガの誘惑フェロモンがただよって来た。
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今… 来られては困る! とてもオメガの前で、正気を保てそうにない! ああ… もうダメだ!
ハァッ… ハァッ… とあらあらしく熱い息をはきながら、ラティゴは自慰の手を止めて周囲を探る。
ラティゴの耳に小さな足音が聞こえる。
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「誰だ?! 痛い目にあいたくなければ、私に近づくな!」
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自制心をかき集めて、自分に近づこうとするオメガにラティゴは警告した。
アルファの力で威圧して、追い払えれば良いのだが… 発情しきった身体では、そんな気力が出そうにない。
「お… お願いです! 最後に一度だけ… 結婚はしなくて良いです! すぐに僕は田舎に帰りますから… ただ、もう一度、あなたとの思い出が欲しくて…」
グスッ… グスッ… と鼻をすすりながら、涙声で発情したオメガは訴えた。
「思い出だと…?」
ずいぶん、可愛いことを言うな? 田舎に帰る前に思い出が欲しい… だと…?!
「使用人にあなたが誰か聞きました! だから今は… 僕は平凡で、あなたとは不釣り合いだとわかっています! 僕の家も田舎の貧乏な男爵家だから、あなたと比べてとても身分が低いし… 」
「私と身分違いと知っていて… 田舎に帰る前に私と寝て、土産話にでもすると言うのか? フンッ…!」
「いいえ! 土産話ではなく… 僕だけの、一生の宝物の思い出にします! 誰かに話したりしません!」
オメガは泣きながらガセボに来て… ドンッ… とぶち当たるようにラティゴに抱き付いた。
「おい! こらっ…!! 離せ… 犯されたいのか?!」
なんて不敬なやつだ?! 私が誰か知っていて、ここまでするなんて?!
怒りを感じていても、トロリと甘いオメガのフェロモンに包まれ、ラティゴは頭がぐらぐらとするほど酔う。
「犯して下さい! …僕は、僕はすぐに消えますから!」
発情して興奮したオメガもハァッ… ハァッ… と熱い息をはく。
「お… お前の… お前の名まえは…?!」
ラティゴに残された理性の欠片が、ぎりぎりで名前を確認することを忘れなかった。
「ヒ… ヒラソルです…?」
「男爵家と言ったな?」
「は… はい… デアリバ男爵家のヒラソルです…?」
「デアリバ男爵家…」
聞いたことが無いな? だが… もう、どうでも良い! 望みどおりにしてやる!!
2年の長い禁欲生活の果てに、王太子ラティゴの自制心は消え去った。
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