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21話 暗い庭2 ラティゴside
しおりを挟む2年という長い激闘のすえに、ようやく『暴虐のドラゴン』を殺すことに成功した。
昨日はともに食事をした仲間の騎士が… 今日は、体温の無い冷たい身体をマントで包まれ、荷車に載せて墓穴まで運ばれて行く。
そんな虚しい日々を送っていた頃は、殺伐とした時間が一刻でも早く、終ってくれることを願い… 王太子ラティゴはらしくもなく、眠る前に神に祈りを捧げた。
「あ~… いざ、ドラゴン征伐が終わってしまうと… あの頃が、懐かしく感じるようになるとは、さすがに私も予想できなかった!」
覚悟はしていたが、どこへ行っても盛ったオメガたちに追いかけまわされ、王太子ラティゴは疲れ切っていた。
婚約者がいない王太子は、未婚のオメガたちにとって、最高の獲物なのだ。
そんな未婚のオメガたちから、逃げまわるのが嫌になり、王太子ラティゴは、勇者アルマドゥラに上手くオメガたちを押し付けて、祝賀パーティーの会場をこっそりと抜け出した。
木々が庭を覆うように茂る裏庭にある、王宮の住人しか知らないあずま屋まで来ると… ラティゴはドサッ… と腰を下ろす。
「まったく… 『暴虐のドラゴン』と私を狙うオメガたちと… 凶暴さでは、あまり変わらない気がしてきたぞ?!」
こんなことなら… ドラゴン討伐に出る前、婚約解消などしなければ良かった! 父上には婚約者と結婚してから行けと言われたが、自分が死ぬかもしれないのに、私にはそんな無責任なことは出来なかった。
婚約者を待たせるよりも、弟と結婚させるほうが王国のためであり、彼女のためにも一番良い選択だと… 王太子ラティゴは国王を説得し、婚約解消したのだ。
「実際、私がいない間、ずっと弟が王太子の役目を代行していたのだから…」
いっそのこと、正式に弟を王太子にした方が国民のためでなないか? 父上に相談してみよう…
ハァ――… とラティゴは大きなため息をつくと… 下衣のボタンを外して、下着の中からガチガチにかたくなった性器を引き出し、乱暴にしごく。
「クソッ…!」
あれだけ強い抑制剤を飲んだのに…!
以前のラティゴなら、オメガたちに囲まれ誘惑フェロモンに酔わされたとしても、強い自制心で耐えることが出来ていた。
…だが、ドラゴン討伐にかけた2年間は、ずっと禁欲していたため、自制心だけではさすがにラティゴも、性欲をおさえることが出来なくなっていた。
「やっぱり… 早く婚約者を決めるべきか?!」
いや… 今、婚約しても結婚は1年後になる。
ダメだ! 耐えられそうにない… やはりここは恋人を作るべきか?!
ああああ~ クソッ!!
発情したラティゴの身体は、1度の自慰では足りず… 罵り声をあげながら、2度目の射精に向けて、ガシガシと性器をしごき続ける。
「ううっ… クソッ…! 何で私がこんなところで…っ… クソッ…!」
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