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13話 求婚2 ガロテside
しおりを挟む自分好みの可愛いオメガに求婚されて、思わずガロテはたずねた。
「何でオレを結婚相手に、選んだのだ?」
「そ… それは… 僕を助けて下さるぐらい、誠実な人だと思ったからです! 今も… 僕の話をちゃんと聞いてくれるし… こ… これも何かの縁だと思って…!」
恥かしいのを我慢して、パッ… と顔を上げて、ヒラソルは切実に訴える。
「なるほど…」
いくら可愛くても… さすがに結婚となると、オレも即断はできないな。
「あ… あの、ガロテ様は討伐隊に参加した騎士様… ですよね?」
「ああ、そうだ!」
「騎… 騎士様だから… 領地の運営とかをガロテ様はやりたくないと、思っておられるのなら… どうか安心して下さい! 僕がやりますから! こう見えて領地のことは、お父様からしっかりと学んで来たので大丈夫です!」
自分の性器を両手で隠していたことなどすっかり忘れて、ヒラソルは自分の薄い胸をペチッ… とたたく。
「そうなのか?」
「はい! だから、もっと騎士として活躍したいと、ガロテ様がおっしゃるのなら、僕は妻としていっぱい応援します!」
「ヒラソル…」
なんて健気なんだ…?! 増々気に入った!
「ガロテ様… 僕が妻ではダメでしょうか?」
「……」
少しもダメじゃない! 何より、勇者の名声狙いではないところが良い。
それに身体とフェロモンを使って誘惑してこないのも良い。
先に正々堂々とオレに求婚し、正直に自分の事情を話してから、オレを口説こうとするところが特に良い。
ガロテは王都へ入る直前にした、王太子ラティゴとの会話を思い出す。
『アルマドゥラ… お前も私も、ドラゴン討伐から王都へ帰還したら、 高位貴族出身の婚約者を、押し付けられることになるから、覚悟しておけよ?!』
『オレもか?!』
『ああ、父上が名前まで与えた勇者を、簡単に手放すと思うか?!』
『クソッ…! 面倒なことだ!』
『今まではドラゴンの襲来を理由に、私もうまく結婚を躱して来たが… 同じ言い訳は通用しないからな?』
「ガロテ様…?」
「……」
好みでもない、プライドばかり高い高位貴族のオメガと結婚するぐらいなら… 出会ったばかりでも、自分好みのヒラソルのほうがよほど良い!
それに裕福な高位貴族だと、政略結婚の場合… 夫婦でも『番の契り』をかわさず、後継者が1人できたら、お互いが愛人を作って淫らな性生活を送るのが主流らしい。
貧乏貴族出身のガロテは、そういう歪んだ夫婦関係に嫌悪を感じている。
不安そうにしているヒラソルの赤い唇に、ガロテは素早くチュッ… とキスを落とす。
「…っあ?」
「ヒラソル… お前の求婚を喜んで受け入れるよ!」
甘い声でガロテは小さな耳に囁いた。
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