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その後…

141話 立太子の儀

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 エステパイス王国中から主要貴族が集まり…
 王宮内の玉座ぎょくざの間で、15歳になったビエント王子の立太子りったいしの儀が行われていた。

 玉座から立ち上がり、ボルカンは脇に控えていた補佐官ベンタナから宝剣を受け取ると…
 ひざまずきこうべれる、王太子になったばかりのビエント王子の前へ行く。

 王妃カナルもボルカンに続き、ビエント王子の前に立つ。

「王太子ビエントに、始祖王グアルダルより受け継いだ“宝剣トランキロ”を与える!!」
 国王ボルカンの低く厳かな声が、静まり返った玉座の間に響き渡る。

「はっ!」
 ビエント王子は、2歩前へ進みひざまずくとボルカンに差し出された宝剣を両手で受け取り捧げ持つ。

 宝剣に付けられた、帯剣用の金具に繋げる赤いルビーを連ねた鎖をカチカチと鳴らし、ビエント王子は元の位置へと2歩下がり再びひざまずく。

「“宝剣トランキロ”と共にその身を捧げよ!! エステパイス王国の民を愛し、慈しみ護り抜くことをこの場で誓え―――!!」


 一度深呼吸をしてから、ビエント王子はゆっくりと立ち上がり、若々しい張りのある声で宣誓した。

「…私、ビエントは! 始祖王グアルダルのように、“宝剣トランキロ”と共にエステパイス王国で暮らす全ての民を、愛し! 慈しみ! 守り抜くと誓います!!」

「火の精霊の祝福を―――!!」
 ボルカンはニヤリと笑い、ビエント王子の全身を炎で包み…
 次は盛大に、玉座の間に集まった貴族たちの頭の上にいくつもの火の玉を飛ばしてから、素早く消す。

「おおおおぉ―――っ…!」
「ああっ! グアルダル王の精霊の力だ!!」
「なんと、美しい炎だ!! 何と素晴らしい!!」
 広間中から貴族たちの感嘆の声がザワザワと聞こえた。


「始祖王グアルダルと火の精霊との契約により! 我が子ビエントは、その血に火の精霊の加護を宿す者である!! 今は静かに眠っているが、この国に邪悪な影が現れた時、再び火の精霊は目覚め、浄化の炎を振るうであろう―――っ!!!」


 実際に火の精霊の力を目撃した貴族たちによって…

 後の世まで語り継がれる、立太子の儀となった。






※次回で最終話となります。
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