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番外編 ~悪夢の世界で…
108話 調査4
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目的の娼館はエンペサルの町の中でも、富裕層が暮らす閑静な住宅地に在った。
娼館の建物自体も、一般的な貴族の邸宅とあまり変わらず…
そこが娼館だと教えられなければ、誰も見破ることが出来ないだろう。
奉仕の報酬が高額なため、顧客に貴族が多いのならば、一般的な娼館と、違うのも納得がいく。
エレヒルとジュピア、巡回役の騎士1人と、最初にニエブラ人の噂についての調査を依頼した、近所の住人に話を聞くことにした。
アリバと残りの騎士4人は娼館周りを見て回り、逃亡された時の為にルートを確認する。
「まぁ! 侯爵様が直々に調べて下さるなんて、なんて心強いことでしょう!!」
ベータの平民だが… 比較的、裕福な商家の奥方は大喜びでエレヒルたちを、こじんまりとした邸に迎え入れた。
上級貴族が自宅に訪問することなど、恐らくは初めてなのだろう。
夫人が『侯爵様に最高級のお茶を出せ! 異国から仕入れた焼き菓子を出せ』と、大急ぎで使用人に命令する様子を見て、エレヒルは困った顔で、目的を告げた。
「調査のためにアナタが見たニエブラ人が出入りしていた建物について、簡単に教えて頂きたい…」
「奥方すまないが… 侯爵閣下はお忙しいお方だから、あまり時間がとれないのだ! お茶は要らないから、話を聞かせてくれるか?」
町の噂を誰よりもたくさん知っているのは良いのだが、いつもこの調子で夫人の話は長くなるのだ。
巡回役の騎士も困った顔で、夫人に言葉を添えた。
「奥方様、今日は時間が無くて、あまりお話が出来ませんから、宜しければ今度、町のお話をたくさん聞かせて頂けますか?」
侯爵の訪問ですっかり舞い上がってしまった夫人の、機嫌を損ねないようにとジュピアが気を利かせて、口を挟むが…
粗末な使用人の服を着ていたため、夫人は困惑気味だった。
エレヒルが夫人の困惑に気づき…
「ああ、奥方! 私の妻の紹介が遅れて無礼なことをした! 昨日領内の神殿で婚姻を結んだジュピアはエンペサル侯爵夫人となったばかりなのだ」
隣りに坐るジュピアの背中を、エレヒルは愛し気に撫でた。
「まぁ! それは…」
奥方はエレヒルの甘い顔に驚き、その一方でジュピアの侯爵夫人らしからぬ服装を、マジマジと見つめて更に困惑する。
「ふふふっ… 申し訳ありません、奥方様! 今日は旦那様の仕事ぶりを見学したくて、無理を言って付いて来たのです… でも街中では、このように使用人の姿をしていた方が、目立たなくてじっくりと侯爵様を観察できるので… どうか、この非礼をお許しください」
ジュピアは自分の服装についての言い訳を咄嗟に考え付く。
「まぁまぁ! そうでしたの!! なんて健気なのでしょうか! お可愛らしいこと!! さすがは、侯爵様がお選びになられるお方ですわね!!」
パチンッ… と掌を打ち合わせて、夫人は大喜びでジュピアを褒めちぎり出した。
巡回役の騎士は、『勘弁してくれよ』と苦笑いを浮かべたが…
愛する新妻を褒められたエレヒルは、嬉しくてニヤニヤ笑いが止まらなかった。
そして心の中でエレヒルは…
ジュピアのエンペサル侯爵夫人お披露目晩餐会を開く時は、必ずこの夫人を一番に招待しようと決める。
「それで、奥方… あの建物に出入りしていたニエブラ人についてなのだが?」
全く話が進まないのに、業を煮やして巡回役の騎士は果敢に言葉を挟んだ。
娼館の建物自体も、一般的な貴族の邸宅とあまり変わらず…
そこが娼館だと教えられなければ、誰も見破ることが出来ないだろう。
奉仕の報酬が高額なため、顧客に貴族が多いのならば、一般的な娼館と、違うのも納得がいく。
エレヒルとジュピア、巡回役の騎士1人と、最初にニエブラ人の噂についての調査を依頼した、近所の住人に話を聞くことにした。
アリバと残りの騎士4人は娼館周りを見て回り、逃亡された時の為にルートを確認する。
「まぁ! 侯爵様が直々に調べて下さるなんて、なんて心強いことでしょう!!」
ベータの平民だが… 比較的、裕福な商家の奥方は大喜びでエレヒルたちを、こじんまりとした邸に迎え入れた。
上級貴族が自宅に訪問することなど、恐らくは初めてなのだろう。
夫人が『侯爵様に最高級のお茶を出せ! 異国から仕入れた焼き菓子を出せ』と、大急ぎで使用人に命令する様子を見て、エレヒルは困った顔で、目的を告げた。
「調査のためにアナタが見たニエブラ人が出入りしていた建物について、簡単に教えて頂きたい…」
「奥方すまないが… 侯爵閣下はお忙しいお方だから、あまり時間がとれないのだ! お茶は要らないから、話を聞かせてくれるか?」
町の噂を誰よりもたくさん知っているのは良いのだが、いつもこの調子で夫人の話は長くなるのだ。
巡回役の騎士も困った顔で、夫人に言葉を添えた。
「奥方様、今日は時間が無くて、あまりお話が出来ませんから、宜しければ今度、町のお話をたくさん聞かせて頂けますか?」
侯爵の訪問ですっかり舞い上がってしまった夫人の、機嫌を損ねないようにとジュピアが気を利かせて、口を挟むが…
粗末な使用人の服を着ていたため、夫人は困惑気味だった。
エレヒルが夫人の困惑に気づき…
「ああ、奥方! 私の妻の紹介が遅れて無礼なことをした! 昨日領内の神殿で婚姻を結んだジュピアはエンペサル侯爵夫人となったばかりなのだ」
隣りに坐るジュピアの背中を、エレヒルは愛し気に撫でた。
「まぁ! それは…」
奥方はエレヒルの甘い顔に驚き、その一方でジュピアの侯爵夫人らしからぬ服装を、マジマジと見つめて更に困惑する。
「ふふふっ… 申し訳ありません、奥方様! 今日は旦那様の仕事ぶりを見学したくて、無理を言って付いて来たのです… でも街中では、このように使用人の姿をしていた方が、目立たなくてじっくりと侯爵様を観察できるので… どうか、この非礼をお許しください」
ジュピアは自分の服装についての言い訳を咄嗟に考え付く。
「まぁまぁ! そうでしたの!! なんて健気なのでしょうか! お可愛らしいこと!! さすがは、侯爵様がお選びになられるお方ですわね!!」
パチンッ… と掌を打ち合わせて、夫人は大喜びでジュピアを褒めちぎり出した。
巡回役の騎士は、『勘弁してくれよ』と苦笑いを浮かべたが…
愛する新妻を褒められたエレヒルは、嬉しくてニヤニヤ笑いが止まらなかった。
そして心の中でエレヒルは…
ジュピアのエンペサル侯爵夫人お披露目晩餐会を開く時は、必ずこの夫人を一番に招待しようと決める。
「それで、奥方… あの建物に出入りしていたニエブラ人についてなのだが?」
全く話が進まないのに、業を煮やして巡回役の騎士は果敢に言葉を挟んだ。
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今回の名前はスペイン語にお世話になりました。カナル→運河、国王ボルカン→火山、姉エリダ→傷、元夫フィエブレ→熱、兄エレヒル→選ぶ、ルイナス公爵→遺跡、宰相パラグアス→傘、正妃ディアレア→下痢、補佐官ベンタナ→窓、叔父インセンディオ→火事、 ○ ○ やっぱり外国語の響きは面白いですね( ´∀` )
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