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22話 カナルの価値 ※R18寄り

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 謁見のために兄エレヒルが新しく仕立ててくれた最高級の服と、その下につけていた下着を、いつの間にかカナルは脱がされて… 寝衣だけを着せられ、ベッドに寝かされていた。

 唯一、カナルが着ていたその寝衣の裾を、胸まで捲り上げ頭と腕を引き抜き、ボルカンは手際良くはぎ取って、ポイッ… とベッドの下へと落とす。

 ちなみにボルカン自身は、初めから全裸である。

「あのっ… 陛下! えええっ?!」
<こ… これって… まさか?! もしかして、陛下は僕を抱こうとしているの? そ… そんなことされたら、僕は側妃になってしまうじゃないか?! えええええ―――っ…!!>
 
 身体を真っ赤に染めて、カナルは慌てて自分の股間を手で隠すが…
 無情にもボルカンは、手をつかみ頭の上で固定すると、カナルの身体をギラギラと光るガーネットの瞳でじっくり眺め、満足げにニヤリと笑った。


「カナル! 一応、聞いておくが… お前には婚約者はいたのか?」
 ボルカンはカナルの身体を、めるようなねっとりとした視線で眺めながらたずねた。

「ええ? い… いません!」
 見られれば、見られるほど肌が熱くなり、ボルカンの視線に耐えられなくて、カナルはベッド脇の壁に貼られた、壁紙の模様だけを見つめることにした。

「姉のエリダには婚約者がいたと聞いたが?」

「は… はい… ですが、僕には本当にいません」



 先代国王の正妃だったボルカンの母親は、先王と番の契りを結んでいたため、叔父(当時の王弟)とは肉体関係には至らなかったが…
 心では不貞を犯して叔父と愛し合い、先王であるボルカンの父を裏切っていた。

 父王と同じ失敗はしたくはないという思いから、ボルカンはカナルに確認しないではいられなかったのだ。

 カナルに婚約者が存在したとしても、ボルカンは今さら手放す気は無かったが… それ相応の対処は必要だと考えていた。


「ならば、恋人はいたのか?」

「いません… 僕にはそんな人、一人もいませんでした」
<好きな人はいたけれど… すでにフィエブレは、エリダのものだし…>

 言葉には出さなかったが、カナルの顔にはその心情がはっきりと浮かんでしまう。

 急に顔を曇らせたカナルの変化に、ボルカンは疑いを抱き、少し強めの言い方で、再度確認する。


「お前に加護を与えた精霊に誓って、今の答えに嘘偽りは無いと言えるか、カナル?」

「はい、夜の精霊に誓って僕に嘘はありません、陛下!」 
 未練を断ち切るように、カナルは真っ直ぐボルカンを見つめて、答えた。



「カナル、お前を側妃にする!」
 
 そう宣言すると…

 ボルカンは再びカナルの唇にキスを落とした。




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