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36話 サポーター…。
しおりを挟む「おはようございます川田さん、長い間、お休みしてすみませんでした!」
ぺこりと頭を下げて、先輩の女性社員に挨拶をした。
川田さんは新人時代、マキの指導係だった人で、ベータ女性だがマキがオメガだと知る数少ない社員のうちの1人で…
中学生と大学生の子を持つベテラン社員だ。
マキが発情期になると、ほとんどの場合は、強い抑制剤でカバー出来ていたが…
時々、体調の加減で激しい症状が出るコトがアリ、そんな時マキはどこかの支店へ出張中という名目で、2~3日"発情期休暇" を上司の協力でコッソリ取っていた。
人事部から要請され、川田も上司と共にマキの協力者となっている。
「あら杉山さん、 おはよう!! 身体は大丈夫なの? 今回は酷かったみたいね…」
開口一番に身体の心配をされて、マキの心臓がドキリッと跳ねた。
発情期のコトを言われて、罪悪感でいっぱいになる。
<ううううっ… まさか彼氏にホテルへ連れ込まれて、ずっとセックスしまくってたなんて、言えないし… でも激しい発情期だったのは本当だけど… うううっ!!>
顔が真っ赤になったマキを心配して、先輩社員は心配そうな顔をする。
「本当に大丈夫? まだ、終わって無いの? 難儀な体質ねぇ… あんまり無理してはダメよ?」
純粋な親切心から同情と心配をされ、増々マキの罪悪感が大きくなる。
「あ… あの… 実は僕… その結婚して… ソレで発情期が長引いて、休みも長くなって!」
「ええええっ――――?!!!」
驚いた川田の視線が、マキの左手の薬指で光る結婚指輪に引き寄せられ、ついでに手首のワイシャツの袖で隠れていた、チラリと見えるエメラルドの並んだブレスレットへと移る。
「すみません… 僕も本当に予想外のコトで… 休みを取る前は本当にこんなに急な話になるなんて、想像もしていなかったので、僕も戸惑っています」
しどろもどろで説明するマキの手を取り、川田はじっくりと結婚指輪と、婚約指輪代わりのブレスレットを観察する。
「あら、あら、あら、あら、あらららら――――っ… 素敵じゃないの! おめでとう!!」
川田の叫び声で、同僚たちや上司までが、何だ? 何だ? と興味津々で集まって来て…
なぜかご満悦の川田が、自慢げにマキの手を持ち上げて、集まって来た人たちに指輪とブレスレットを見せた。
「ちょっと見て! 杉山さん結婚したんですって!!」
「ウソ――っ!! ヤダ、杉山さんが?! 私の癒しが!!」
後輩の女性社員は悲鳴を上げるが…
コレで女の子たちも、少しは落ち着くだろうと、独身の男性社員たちは揃ってホッとした顔をする。
実はマキの知らないトコロで、高校時代の悪夢に似た行為が女子社員の間で繰り広げられていた。
高校時代と違うトコロは、"杉山マキ、見守りサポート・クラブ" は、知的な大人女子たちを中心に結成されているので、マキに迷惑をかけ嫌われたりしないように、プライバシーはシッカリ守られている。
だが、完璧にプライバシーが、守られているというワケでは無い。
クラブのメンバー(見守りサポーター)たちは全員、マキがオメガだと知っている。
なぜならマキの信頼する先輩、川田こそが"見守りサポート・クラブ"の発起人でアリ、会長を務めているからだ。
応援ありがとうございます!
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