竜血公爵はオメガの膝で眠る~たとえ契約結婚でも…

金剛@キット

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112話 その後2 ーENDー

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 グラーシア城の子ども部屋で、アルセとエスパーダは息子のロッサを寝かしつけると、あとは乳母うばにまかせて当主の部屋へともどる。
 2人は寝室のベッドにならんで腰をおろし、久しぶりに息子の将来について語り合った。


「エスパーダ様… ロッサがティエーラの竜を受け入れるとしたら… やはりオメガでも、ロッサを戦いの場に連れて行くのですか?」
 まだ小さいから、何とも言えないけれど… オメガのロッサが武器を持って、隣国の騎士たちと殺し合うなんて… 僕は考えただけで、本当に恐ろしいよ…?!
 たぶんロッサはマンサナと同じぐらい魔リョクが強そうだから、エスパーダ様のように魔リョクにえたティエーラの竜に、身体を強制的に支配されたり… 心をんだりすることは無いだろうけれど…? でもやっぱり心配だよ… うう~ん……

 アルセはロッサが剣を持って、襲撃者たちと戦う姿を想像すると、息子が心配で青ざめてしまう。

「うん… そこはロッサの気持ちしだいだろう… アルセ、今からそんなに心配していたら、身体が持たないぞ?」

「わかっています… でもエスパーダ様、隣国の騎士は、隊長以外はほとんどがベータだと聞きました! 敵がアルファでなくても… オメガに比べれば、体格や力の差はずっとベータの方が上だし… 本当にどうしよ…?!」

「確かに、その通りだが…」
 産まれて数ヶ月しかたっていない、息子のことで、今からおびえてしまっているアルセを… エスパーダは抱き上げて、自分のひざにのせると苦笑を浮かべる。

 ほほひたいにキスをして、不安そうにするアルセの顔を見つめ、エスパーダは微笑んだ。

「なぁ、アルセ… 初代グラーシア公爵は、実はオメガだったと言ったら信じるか?」

「は?!」

「過去の偉大いだいな魔法使いたちも、実はみんはオメガだったが、当時の権力者だった国王が、強い魔法を使えるオメガたちを恐れて、オメガを厳しく監視し、魔法に関するいろいろな制約をつけたそうだ」
 建国神話時代に、周辺国を次々と吸収したインシエンソ王国は… 外の敵が少なくなり、今度は国内の魔法使いたちに脅威きょういを感じ、王家は警戒するようになった。

 その時作られた旧王国法聖典が、現在のアルファ優位ゆういの王国法の元となっている。

「僕はそんな話… 聞いたことがありませんでした…?」

「何代目かの国王が、アルファ優位の王国をつくるため… 建国神話の時代に、オメガが活躍かつやくした事実をしるした書物をすべて燃やし、新たに書きしるすことを厳しく禁じ、歴史から消されたんだ」

 魔法を使った戦争も無くなったが、オメガが中心となって使っていた魔法自体もすたれてしまった。
 エスパーダはグラーシア公爵家の当主が、先祖から密かに代々受け継いできた古文書で、隠された真の歴史を知っていた。

「オメガが優位に立っていた時代があったなんて… 何だか不思議…! それも建国神話の時代とは…」
 ああ、そうか! ティエーラの竜が結婚したのはオメガだから… ティエーラの竜の子を、産むことができたのか…? なるほど!

「つまり… 私が言いたいのは、初代グラーシア公爵のようにロッサも自分の気持ちしだいで、騎士として立派りっぱに働けるのではないかということさ!」
 残念ながら公爵位は王国法により、直系の長男でもオメガのロッサは、継ぐ資格がない。

「ああ…!」

「それとアルセ… ロッサが望んでも、私が死んだあとにしか、ティエーラの竜を継ぐことはできないから、何十年も先の話だと思うぞ?」

「はい、もちろんその通りです! 妻としても、母親としても… エスパーダ様には誰よりも長生きしてもらいたいし……」
 う゛う゛っ… そうか?! ごめんなさい! エスパーダ様が死んだ後の話を、僕はクドクド、ウジウジ悩んでいたんだ?! これってすごくエスパーダ様に、失礼どころか… 実際に命を危険にさらして、隣国の襲撃者たちと戦うエスパーダ様にとって、妻が口に出すには、最低最悪の残酷ざんこく発言だった!! 反省!!

 アルセは目の前のたくましい身体に、ギュッとしがみつき、チュッ… チュッ… とエスパーダの顔や首筋、耳にキスの雨をふらす。
 言葉ではなく行動でエスパーダに『ごめんなさい!』と謝った。

「そもそも私たちの子供は、ロッサ1人とは限らないと… アルセ、そうは思わないか?」 
 エスパーダの大きな手が、アルセの服の下にもぐりこみ、スルスルと素肌をなであげる。

「/////////っ! エ… エスパーダ様…?!」

「ロッサの他の兄弟か… 姉妹が… ティエーラの竜を継ぐかもしれない」

「/////////… それは、確かに!」
 ロッサのことでいろいろ悩みすぎて… 何となく子供は1人だけと、思い込んでいたけれど…? エスパーダ様が許してくれるなら、僕はもう1人か2人… 子供が欲しいなぁ……? 産んでも良いの? 




 数年後…

 グラーシア公爵家の長男オメガのロッサは、本人が熱望ねつぼうしたため、2人の弟たちとともに、父親のエスパーダから剣術の指導を受けるようになり…
 王都の学園を卒業するころには、ロッサは父親とともに隣国からの襲撃者を、撃退げきたいするほどの実力をつけていた。

 ロッサは自分の決意を、周囲の者たちに知らしめるために、背中まであった母親ゆずりの赤と金が混じる美しい髪を、短くうなじで切りそろえ… オメガにしてはすらりと背が高い優美ゆうびな身体には、騎士の礼装をまとい、成人の儀をおこなった。

 父親にそっくりのアルファの弟たち… そしてグラーシアの騎士たちの前で、ロッサは紅玉色ルビーレッドの瞳を輝かせ、力強く宣言する。


「ティエーラの竜は僕が継ぎます!」




 ー END ー


 最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
 感想のコメント、お気に入り、エール、しおり… たくさん付けて下さりありがとうございました!

 毎日更新が目標でしたが、何度もつまずき中断して、気分転換(浮気?)で他のお話を書いたりと… 詐欺してすみません(汗)
 とりあえずハッピーエンドにたどりつけて、今はホッ… としております(^_^;)

 また、どこかでお会いできれば幸いです☆彡



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感想 4

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みんなの感想(4件)

翡翠
2024.01.15 翡翠

完結おめでとうございます。毎日楽しみにしてました。次の作品も楽しみにお待ちしてます。ハッピーエンド大好きです❤️

2024.01.16 金剛@キット

翡翠様
コメントありがとうございます!
気に入っていただけたようで、とても光栄です!(^^)!
読むのも、書くのも、読後感が良いハッピーエンドが大好きでなので、気持ち良く終われて嬉しいです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます!
また、お会い出来れば幸いです☆彡

解除
鹿の子🦌
2024.01.15 鹿の子🦌
ネタバレ含む
2024.01.15 金剛@キット

鹿の子🦌様
コメントありがとうございます!
このお話も、最終話だけは決めてあったので、最後まで書けて良かったです。
想像以上に長くなりましたが…😓
今さらですが、ファンタジー設定を組み込むと長くなるのだと、ようやく気づきました💧
そんなお話の中で、アルセはたくさん頑張る良い子だったので、何度もあの行動力に助けられました😏
最後まで読んで下さり、ありがとうございます!
また、お会い出来れば幸いです☆彡

解除
鹿の子🦌
2023.12.29 鹿の子🦌

お久しぶりです✨キット様

仕事納めしたのに、早起きしてしまい、キット様の新作ないかな~ってアルファ久しぶり見たら、あるじゃないかー!

キュイキュイ鳴きながら読んでるよう 

お話は安定の面白さだし、オメガちゃんの男の子らしさも大好き❤ 
華奢なオメガちゃんもいいが、BLらしいオメガ好きです
イラストも素敵ですね~
こんな可愛さなら、アルファがいじわるしたくなるよね~と思う、男の色気あるから🥰

素敵なオメガバありがとうございます😊

2023.12.29 金剛@キット

鹿の子様
コメントありがとうございます!
今回のΩ主役は、1人で何でもできちゃう子なので、暴走が激しいです(笑)
α主役が振りまわしているようで、振りまわされてるお話になってしまいました(*'▽')

物語も終盤に入りましたが、最後までお付き合いいただければ幸いです!
ここまで読んで下さり、ありがとうございます☆彡

解除

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