107 / 114
105話 結婚の前に…
しおりを挟む花嫁の支度がすべて終わると…
「アルセも疲れたでしょう? 神殿へ行く前に、少しだけ休憩しようね~ お茶を用意させるよ」
ニッコリと笑い、ディグニダド伯爵夫人はアルセの部屋をでてゆく。
「ああ……」
言われてみれば、本当に疲れたよぉ…… 今日、1日でいろいろなことが、いっきにおきたから… でも、まだ終わりじゃないんだよねぇ…?
フゥ―――ッ…と アルセは、大きく息をはいた。
コンッ… コンッ… コンッ… と廊下側から、扉ををたたく音がアルセの部屋にひびく。
「ああ、お茶かな…?」
よっこらせ! と大きなお腹をかかえてアルセは椅子から腰をあげ、部屋の扉を開けると… そこには、今まで見たことがない、騎士の礼装をまとったエスパーダが立っていた。
「アルセ… 今、良いか?」
「/////////…っ?!」
うわわっ…?! カッコイイ~!! ひゃあぁぁぁ~… 僕のエスパーダ様が、すごく素敵なのは知っていたけれど… やっぱり騎士は、騎士服が一番似合うんだね……?!
ああ! 久しぶりに見るエスパーダ様だけでも、刺激的なのに… もう、どうしよう! 素敵すぎて僕は、倒れそうだよぉぉ~?! うわぁぁ!
ぽか~ん… とアルセは口を開けて、エスパーダの煌びやかな騎士の礼装姿に見惚れてしまう。
(以前、一緒に参加した夜会で見た礼装は、紳士の礼装で、騎士服ではなかった)
「大丈夫か、アルセ…?」
何も答えようとしないアルセを、心配したエスパーダは、すばやく部屋に入り扉を閉める。
「…アルセ? もしかして、私が勝手に“婚姻の儀”を進めてしまったから… 怒っているのか? そんなに嫌だったか?」
ぼうぜんと見上げるアルセの頬をなでながら、エスパーダは顔を曇らせてたずねる。
「違う… エスパーダ様が… 美しすぎて… 涎が垂れてしまいました!」
本当に感動的なほど美しいよぉ… エスパーダ様ぁ!!! どうしよう… なんか、こうしているのが夢みたいで、涙まで出てきちゃったよ?!
思わずアルセは本音をぶちまけ、唇から涎をぬぐい… ついでに目のはしからにじみ出た、涙も指先でぬぐう。
「アルセ!! ああ、だめだ… もう我慢できない!」
エスパーダはアルセを抱きあげ、椅子に腰をおろすと… 膝の上にのせたアルセの唇を、貪るようなキスで奪った。
「んんっ…?! うっんんん…! んんっ…」
ああ… ダメだよ…?! 綺麗に着た服が乱れてしまう… でも、僕も我慢できないよぉ…!エスパーダ様ぁ! エスパーダ様ぁ…!
エスパーダの首に腕をまわし… アルセも夢中でキスに応える。
17
お気に入りに追加
403
あなたにおすすめの小説


白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない
天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。
ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。
運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった――――
※他サイトにも掲載中
★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★
「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」
が、レジーナブックスさまより発売中です。
どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる