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81話 誘拐2 コルティナ侯爵side
しおりを挟む―――エスパーダが侯爵邸をおとずれる1時間ほど前。
コルティナ侯爵のアコニトは、執務室で息子のジャベからアルセの誘拐に成功し、学園の裏口でむかえの馬車に乗せたと報告を受けた。
「よくやった、ジャベ! お前もやっと使えるようになってきたな?」
正直に言うと… わが息子ながら、ジャベはアルファとは思えないほど平凡で、何をやらせても中途半端だから、私は3男のジャベには何の期待もしていなかったが… 今回は上手くやったようだな?
「ありがとうございます!」
「ジャベ、まさかとは思うが… “私のオメガ”にまた手を出そうとは、していないだろうな? お前が悪さをすれば、私にはすぐにわかるからな?!」
コルティナ侯爵家の家門(親戚)出身の、学園生たちが優遇されるように、学園内の教師や職員の何人かに金を渡してあり… 学園内の情報はすぐに、アコニトの耳にはいるようになっている。
医療室の若い医師もその一人だ。
クルシジョ子爵のオメガの息子ムゲーテを使い、せっかくアルセの婚約をつぶしたら、息子のジャベがアルセに手を出そうとしたことを知り、アコニトは激怒した。
その時はジャベを真っくらで不潔な地下倉庫に、3日間食事をやらずに閉じ込めて、罰をあたえた。
罰がよほど我慢できなかったのだろう… ジャベは顔色を変える。
「い… いえ、父上! ですが卒業試験を、受けそこねてしまったので… その… どうか卒業できるようにお願いします!」
「ああ、わかっているよ… 私から話しておこう! お前と、お前の友達のことも」
「ありがとうございます!」
父親に褒められて嬉しいのか、ニコニコと笑いながらジャベは執務室を出て行く。
ようやく念願がかない、コルティナ侯爵アコニトは満足げに笑いながら… 執務室を出ると、外出着に着替えようと自室へとむかう。
「・・・・・・」
ディグニダド伯爵家で美しい紅玉色の瞳のオメガ… カンナス(アルセの母)を初めて見つけたとき、セドロ(アルセの父)のようなマヌケに奪われる前に、強引にでも手に入れておくべきだった!
夜会でセドロにエスコートされた、カンナスの姿を見かけるたびに… この私が何度、屈辱を味わったことか!
せめて身体だけでも1度は味見をしなかれば、執着心がおさまらないと、馬車を襲わせてカンナスを誘拐しようとしたら…
「クソッ…! まったく忌々しいことだ!!」
アコニトはアルセの家族が乗った馬車を襲撃させ、母親のカンナスだけを誘拐させようとしたが…
カンナス自身も剣を取って、激しく抵抗したために、誘拐を実行させた騎士たちは、カンナスを殺してしまったのだ。
だが、カンナスの葬式でアルセを見た時、アコニトは欲望をおさえられなくなり、新たなクルシジョ子爵となったセドロの弟と取引をした。
紅玉色の瞳を持つオメガを、必ず私の愛人にしたいと。
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今回はスペイン語にお世話になりました。 アルセ→楓。クルシジョ子爵家→研修。エスパーダ→剣。グラーシア公爵家→恩寵。従弟ムゲーテ→すずらん。乱暴者ジャベ→鍵。ティエーラの竜→大地 ◯ここまで読んで下さりありがとうございます☆彡 ◯命名センスが最悪なので、異世界モノのお話の時はいつも外国の単語からもらうことにしています☆彡
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