52 / 114
50話 発情 ※R18
しおりを挟む先代グラーシア公爵の最期を聞き、アルセはエスパーダの気持ちを考えると、涙がこぼれて… たまらずエスパーダを抱きしめた。
広い背中に腕をまわし、アルセは力いっぱいエスパーダを抱きしめた。
「エスパーダ様が… 辛くなったら、僕の力をあげます! 僕はエスパーダ様と一緒に、生きていきたいです! あなたが我慢できなくなったら… 僕があなたを助けます! さっきのように力を… 魔リョクをあげます!」
「アルセのその気持ちだけで、私はじゅうぶんだから…」
隣に座るアルセの身体を持ち上げて、エスパーダは自分の膝の上にのせる。
「でも僕は… さっきも言ったように、本気ですから!」
どうしよう? 夢の中でティエーラの竜と話したと言えば、信じてくれるかなぁ? 僕の魔リョク…? という力がエスパーダ様よりも、たくさんあるらしいと…… うう~んん…??
身体を離し、アルセはたくましい肩につかまって、ジッ… とエスパーダを見下ろし考え込む。
そんなアルセの真剣な瞳を、エスパーダもしばらくの間、ジッ… と見つめてから… 嬉しそうにふわりと微笑む。
「ありがとう、アルセ…! 君のように情が深いオメガと出会えた私は、誰よりも幸運なアルファだ!」
「あの、ですからエスパーダ様… あのですね…? 魔リョクが…… ええっとぉ… うう~んん…」
どう伝えたら、エスパーダ様は納得してくれるかなぁ? エスパーダ様自身は、白銀のトカゲが見えないみたいだし… 目に見えない魔モノの存在を、見ることが出来ない人に説明するのは、本当に難しいから…! 僕の亡くなったお父様や弟も、僕やお母様の話を、仲良しオメガの母子で作った、創作だと思っていたみたいだし…?
でも、エスパーダ様はティエーラの竜の声が、聞こえると言っていたから、くわしく話せば………?
エスパーダの膝の上でアレコレと、アルセは頭の中でグルグルと考えを巡らせていたが………
「アルセ… 君が受け入れてくれるなら、私も君が欲しい…!」
「えっ… エスパーダ様…?!」
それって僕を本当の妻にしたいと言う意味?!
心臓がドクンッ… とアルセの胸の中で飛びはね… エスパーダの言葉で、頭の中をグルグルと回っていた考えが、どこかに吹っ飛んだ。
「アルセ今すぐ… 君を奪いたい!」
「あっ…っ! んんっ……?!」
アルセの唇にエスパーダの唇が重なり… あたたかい舌が口内に潜り込み、チュクッ…チュクッ… とアルセの舌にからみつく。
エスパーダから放たれた、アルファのフェロモンに襲われ… 話をしていた間はおさまっていた、発情の熱がふたたびアルセの中で勢いを持つ。
アルセは夢中でエスパーダの唇に吸い付いた。
大きな手のひらが、薄いシャツの上から、アルセの背中をなであげる。
剣の鍛錬でザラザラと荒れた、エスパーダのかたい指が… アルセのうなじをやわらかく揉む。
オメガがびんかんに感じる、性感帯のうなじをかたい指で刺激され… アルセの唇は、エスパーダの唇から離れ… 甘いさけび声をあげた。
「ああっ…! んんっ… エスパーダ様ぁ… ああっ……!」
大きな手がすごく気持ち良い! もっと… もっと… 触ってエスパーダ様ぁ… もっと僕を奪ってぇ…!!
恥じらいなど忘れ… アルセはこれまでとは比にならないほどの、濃厚なオメガのフェロモンを放ち… 目の前のアルファを誘惑し、狂わせる。
「アルセ… アルセ…!」
普段の紳士的な態度からは、想像できないほどの荒々しさで、アルセをソファーへ押し倒して、エスパーダは乱暴に服をはぎ取った。
「エスパーダ様ぁ… エスパーダ様ぁ…!」
キスで腫れた赤い唇で、アルセは甘い声で名前を呼び、もっと… もっと… とエスパーダを煽る。
7
お気に入りに追加
401
あなたにおすすめの小説
君の番として映りたい【オメガバース】
さか【傘路さか】
BL
全9話/オメガバース/休業中の俳優アルファ×ライター業で性別を隠すオメガ/受視点/
『水曜日の最初の上映回。左右から見たら中央あたり、前後で見たら後ろあたり。同じ座席にあのアルファは座っている』
ライター業をしている山吹は、家の近くのミニシアターで上映料が安い曜日に、最初の上映を観る習慣がある。ある時から、同じ人物が同じ回を、同じような席で見ている事に気がつく。
その人物は、俳優業をしている村雨だった。
山吹は昔から村雨のファンであり、だからこそ声を掛けるつもりはなかった。
だが、とある日。村雨の忘れ物を届けたことをきっかけに、休業中である彼と気晴らしに外出をする習慣がはじまってしまう。
※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。
無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。
自サイト:
https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/
誤字脱字報告フォーム:
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f
[BL]王の独占、騎士の憂鬱
ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕
騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて…
王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
番を持ちたがらないはずのアルファは、何故かいつも距離が近い【オメガバース】
さか【傘路さか】
BL
全10話。距離感のおかしい貴族の次男アルファ×家族を支えるため屋敷で働く魔術師オメガ。
オメガであるロシュは、ジール家の屋敷で魔術師として働いている。母は病気のため入院中、自宅は貸しに出し、住み込みでの仕事である。
屋敷の次男でアルファでもあるリカルドは、普段から誰に対しても物怖じせず、人との距離の近い男だ。
リカルドは特殊な石や宝石の収集を仕事の一つとしており、ある日、そんな彼から仕事で収集した雷管石が魔力の干渉を受けない、と相談を受けた。
自国の神殿へ神が生み出した雷管石に魔力を込めて預ければ、神殿所属の鑑定士が魔力相性の良いアルファを探してくれる。
貴族達の間では大振りの雷管石は番との縁を繋ぐ品として高額で取引されており、折角の石も、魔力を込められないことにより、価値を著しく落としてしまっていた。
ロシュは調査の協力を承諾し、リカルドの私室に出入りするようになる。
※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。
無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。
自サイト:
https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/
誤字脱字報告フォーム:
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f
王太子専属閨係の見る夢は
riiko
BL
男爵家のシンは、親に売られて王都に来た。
売られた先はこの国最大の相手!? 王子の閨係というお仕事に就いたのだった。
自分は王子が婚約者と結婚するまでの繋ぎの体だけの相手……だったはずなのに、閨係なのに一向に抱いてもらえない。そして王子にどんどん惹かれる自分に戸惑う。夢を見てはいけない。相手はこの国の王太子、自分はただの男娼。
それなのに、夢を見てしまった。
王太子アルファ×閨担当オメガ
性描写が入るシーンは
※マークをタイトルにつけます。
物語、お楽しみいただけたら幸いです!
番犬αは決して噛まない。
切羽未依
BL
血筋の良いΩが、つまらぬαに番われることのないように護衛するαたち。αでありながら、Ωに仕える彼らは「番犬」と呼ばれた。
自分を救ってくれたΩに従順に仕えるα。Ωの弟に翻弄されるαの兄。美しく聡明なΩと鋭い牙を隠したα。
全三話ですが、それぞれ一話で完結しているので、登場人物紹介と各一話だけ読んでいただいても、だいじょうぶです。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
Ωの愛なんて幻だ
相音仔
BL
男性オメガの地位が最底辺の世界から、Ωが大事に愛しまれている世界へと迷い込んでしまった青年。
愛されているのは分かるのに、育った世界の常識のせいで、なかなか素直になれない日々。
このひとの愛はホンモノなのだろうか?自分はいったいどうすればいいのだろう。
「Ωの愛なんて幻だ」そう思っていた青年が答えを見つけるまでの物語。
※この小説はムーンライトノベルズでも投稿しています。向こうでは完結済み。
投稿は基本毎日22時。(休日のみ12時30と22時の2回)
・固定CP α(貴族・穏やか・敬語・年上)×Ω(幸薄・無気力・流されやすい・年下)
・ちょっと不思議な設定がある程度でファンタジー(魔法)割合は低め。
・オメガバースで本番ありなので、18歳未満の方はNG。そこそこの描写がある回はタイトルまえに※入れてあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる