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第3章 指輪編
71話 朝のニュース アーサーside
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<サロンのラウンジで男に口説かれる蘇芳を見た時、独占欲を制御できなかった… 自宅に帰り蘇芳のベリーのように赤く腫れた乳首の状態から、浮気されたと疑った瞬間… 私は絶対に相手を殺してやると本気で誓った>
早朝の冷たい空気の中、規則ただしい寝息を立て、熟睡する蘇芳を見下ろしながら、自分自身の行動を振り返りアーサーは考え込む。
<蘇芳を傷つけてまで距離を取ったのに、私が夢中になり過ぎている… ギルボーン家の気取り屋たちの中には、理屈が通じない愚か者が多い… そういう奴らに嫌がらせ目的で蘇芳に何らかの危害を加えられでもしたら… 本当にそれが、何よりも恐ろしい!>
ニューヨーク時代の恋人"フリッシュ" に起きた悲劇は、今もアーサーの心に重く伸し掛かっているのだ。
「小悪魔め…私を翻弄するとは、悪い子だ!」
大きなため息をつき、眠る蘇芳の左手を取り薬指にキスを落とすと…
アーサーを揶揄うように、蘇芳の手首でブレスレットのカエルがコロコロと揺れる。
一人ベッドで目覚めた蘇芳はライトグレーのローブを羽織り、テレビの音に引かれて、ふらふらと寝室を出て音のする書斎へと入った。
蘇芳と色違いのネイビーブルーのローブを来たアーサーは、ゆったりとソファに座り壁に掛けた大型テレビでニュースを見ているところだった。
「おはようございます…と言っても、もう昼近くですね」
テレビの横の時計が目に入り、蘇芳は顔を赤くする。
アーサーが手招きをすると…
蘇芳はアーサーが坐るソファの背後に立ち、おはようのキスをした。
「おはよう蘇芳」
「珍しいですね? アナタがテレビを見るなんて」
〘 ―――で性的興奮を高め、性行為時の持続力が増すと言われている通称"サテュロス" と呼ばれる違法薬物による、レイプ事件が多発しています。〙
「蘇芳、ちょうど良い時に来たな」
「え? …はっ!!」
ニヤリと笑ったアーサーの、首の付け根に咬み痕を見つけ、昨夜の激しい情交を思い出し蘇芳は赤くなる。
<ふふふっ… 蘇芳、なんて艶っぽい顔をするんだ… また襲いたくなって来たぞ?>
アーサーも蘇芳と同じ記憶を思い出し微笑んだ。
ウォークイン・クローゼットの壁に押し付けられながら、蘇芳はアーサーの逞しい肩や首筋にキツク甘嚙みをし、興奮しきって何度も懇願の叫び声をあげた。
『お願いアーサー! 早く入れてぇ! 僕の奥をぐちゃぐちゃにしてぇ!!』
色っぽく頬をバラ色に染めた蘇芳は、何かを振り払うようにパチパチと自分の頬を叩く。
「少し前に連絡が来た」
「連絡?」
「まあ、見れば分かるが…」
アーサーの隣りに蘇芳が座ると、リモコンでテレビの音量を上げる。
〘 ―――昨夜もセレブの1人がレイプ事件に関わり逮捕されました〙
「あっ! あの人‼」
テレビの画面に映ったのは昨日、サロンのラウンジで蘇芳をナンパしようとした男、ワーグマンの姿で…
服装までサロンにいた時と同じで、制服姿の警官と一緒だった。
困惑した蘇芳は、隣りのアーサーを見上げると、ジッと見つめ返され…
「蘇芳、何か私に言うコトは無いか?」
「・・・・・・」
黙りこんでしまった蘇芳の後ろで、テレビから雑音のようなニュース・キャスターの声が聞こえた。
〘 ―――摂取量によっては、身体が興奮状態のまま意識を失うコトからレイプ犯罪に使用されるコトが多く、また毒性も強く大量摂取により死亡するケースも少なくないと言う大変危険なドラッグです。また安価で入手出来ると言う理由から若年層にも蔓延してい―――〙
アーサーがリモコンでテレビの電源を切ると、途端に書斎が静かになり気マズイ空気が流れた。
「彼が逮捕されると知っていたのですか?」
青い顔で用心深く蘇芳はアーサーを見る。
「気にするのはソコでは無いだろう?」
<まったく! 自分がどれだけ危険だったか、まだ分からないのか?!>
さすがにムッ… とするアーサー。
「偶然とは思えませんけど?」
「君を狩り損ねたからスグに他の獲物を狙うと、私は予想したダケだ! だから警察の知人に連絡して注意喚起した」
「アナタが?」
ゼフィロスへ移動する車に乗る前、アーサーがドコかに連絡を取っていたのを蘇芳は思い出す。
「考えすぎだと呆れるか?」
「いいえ、僕が浅はかでした… 許してください」
顔をしかめ、拗ねたような態度をとるアーサーに蘇芳は罪悪感を持つ。
昨夜と2人の立場が逆転する。
「ええ…とぉ… アナタの言うコト何でも聞きます… 御主人様?」
とりあえず蘇芳は昨夜のアーサーの真似をして、詫びを入れるが、大人げなくツーンとされ…
意を決して、蘇芳は機嫌の直らないアーサーの太モモに指輪が光る左手で触れ耳元で囁く。
「アーサー、許してください!」
面白そうにチラリと蘇芳を見て、アーサーは澄まして言う。
「まずは私の膝に座り、甘えるように可愛く言い直しなさい!」
「う゛う゛うっ~…!」
蘇芳は真っ赤な顔で抗議しようとするが、アーサーは知らんぷりをしてそっぽを向く。
渋々膝の上に座り、アーサーの首に腕を回して蘇芳は甘い声で囁く。
「アナタの好きにして♡」
「やれやれ仕方ないなぁ~!」
「ぷはっ!!」
今までになく嬉しそうなアーサーの顔を見て、急にオカシクなり吹き出す蘇芳。
落ち着いて見えるが、アーサー・ギルボーンは大人げない男である。
早朝の冷たい空気の中、規則ただしい寝息を立て、熟睡する蘇芳を見下ろしながら、自分自身の行動を振り返りアーサーは考え込む。
<蘇芳を傷つけてまで距離を取ったのに、私が夢中になり過ぎている… ギルボーン家の気取り屋たちの中には、理屈が通じない愚か者が多い… そういう奴らに嫌がらせ目的で蘇芳に何らかの危害を加えられでもしたら… 本当にそれが、何よりも恐ろしい!>
ニューヨーク時代の恋人"フリッシュ" に起きた悲劇は、今もアーサーの心に重く伸し掛かっているのだ。
「小悪魔め…私を翻弄するとは、悪い子だ!」
大きなため息をつき、眠る蘇芳の左手を取り薬指にキスを落とすと…
アーサーを揶揄うように、蘇芳の手首でブレスレットのカエルがコロコロと揺れる。
一人ベッドで目覚めた蘇芳はライトグレーのローブを羽織り、テレビの音に引かれて、ふらふらと寝室を出て音のする書斎へと入った。
蘇芳と色違いのネイビーブルーのローブを来たアーサーは、ゆったりとソファに座り壁に掛けた大型テレビでニュースを見ているところだった。
「おはようございます…と言っても、もう昼近くですね」
テレビの横の時計が目に入り、蘇芳は顔を赤くする。
アーサーが手招きをすると…
蘇芳はアーサーが坐るソファの背後に立ち、おはようのキスをした。
「おはよう蘇芳」
「珍しいですね? アナタがテレビを見るなんて」
〘 ―――で性的興奮を高め、性行為時の持続力が増すと言われている通称"サテュロス" と呼ばれる違法薬物による、レイプ事件が多発しています。〙
「蘇芳、ちょうど良い時に来たな」
「え? …はっ!!」
ニヤリと笑ったアーサーの、首の付け根に咬み痕を見つけ、昨夜の激しい情交を思い出し蘇芳は赤くなる。
<ふふふっ… 蘇芳、なんて艶っぽい顔をするんだ… また襲いたくなって来たぞ?>
アーサーも蘇芳と同じ記憶を思い出し微笑んだ。
ウォークイン・クローゼットの壁に押し付けられながら、蘇芳はアーサーの逞しい肩や首筋にキツク甘嚙みをし、興奮しきって何度も懇願の叫び声をあげた。
『お願いアーサー! 早く入れてぇ! 僕の奥をぐちゃぐちゃにしてぇ!!』
色っぽく頬をバラ色に染めた蘇芳は、何かを振り払うようにパチパチと自分の頬を叩く。
「少し前に連絡が来た」
「連絡?」
「まあ、見れば分かるが…」
アーサーの隣りに蘇芳が座ると、リモコンでテレビの音量を上げる。
〘 ―――昨夜もセレブの1人がレイプ事件に関わり逮捕されました〙
「あっ! あの人‼」
テレビの画面に映ったのは昨日、サロンのラウンジで蘇芳をナンパしようとした男、ワーグマンの姿で…
服装までサロンにいた時と同じで、制服姿の警官と一緒だった。
困惑した蘇芳は、隣りのアーサーを見上げると、ジッと見つめ返され…
「蘇芳、何か私に言うコトは無いか?」
「・・・・・・」
黙りこんでしまった蘇芳の後ろで、テレビから雑音のようなニュース・キャスターの声が聞こえた。
〘 ―――摂取量によっては、身体が興奮状態のまま意識を失うコトからレイプ犯罪に使用されるコトが多く、また毒性も強く大量摂取により死亡するケースも少なくないと言う大変危険なドラッグです。また安価で入手出来ると言う理由から若年層にも蔓延してい―――〙
アーサーがリモコンでテレビの電源を切ると、途端に書斎が静かになり気マズイ空気が流れた。
「彼が逮捕されると知っていたのですか?」
青い顔で用心深く蘇芳はアーサーを見る。
「気にするのはソコでは無いだろう?」
<まったく! 自分がどれだけ危険だったか、まだ分からないのか?!>
さすがにムッ… とするアーサー。
「偶然とは思えませんけど?」
「君を狩り損ねたからスグに他の獲物を狙うと、私は予想したダケだ! だから警察の知人に連絡して注意喚起した」
「アナタが?」
ゼフィロスへ移動する車に乗る前、アーサーがドコかに連絡を取っていたのを蘇芳は思い出す。
「考えすぎだと呆れるか?」
「いいえ、僕が浅はかでした… 許してください」
顔をしかめ、拗ねたような態度をとるアーサーに蘇芳は罪悪感を持つ。
昨夜と2人の立場が逆転する。
「ええ…とぉ… アナタの言うコト何でも聞きます… 御主人様?」
とりあえず蘇芳は昨夜のアーサーの真似をして、詫びを入れるが、大人げなくツーンとされ…
意を決して、蘇芳は機嫌の直らないアーサーの太モモに指輪が光る左手で触れ耳元で囁く。
「アーサー、許してください!」
面白そうにチラリと蘇芳を見て、アーサーは澄まして言う。
「まずは私の膝に座り、甘えるように可愛く言い直しなさい!」
「う゛う゛うっ~…!」
蘇芳は真っ赤な顔で抗議しようとするが、アーサーは知らんぷりをしてそっぽを向く。
渋々膝の上に座り、アーサーの首に腕を回して蘇芳は甘い声で囁く。
「アナタの好きにして♡」
「やれやれ仕方ないなぁ~!」
「ぷはっ!!」
今までになく嬉しそうなアーサーの顔を見て、急にオカシクなり吹き出す蘇芳。
落ち着いて見えるが、アーサー・ギルボーンは大人げない男である。
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