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第2章 コテージ編
58話 悪魔の弟子
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G.I社、本社ビルの最上階を目指す蘇芳。
前回とは違い、今回はアーサー本人に呼ばれて来た。
ピカピカに磨かれた窓ガラスに映り込んだ自分を見て、立ち止まり服装のチェックをする。
髪は今朝、直輝が寝ぐせを直してくれたから、綺麗にまとまっているし…
ステファノのサロンでカットしてもらうようになり、クセもあまりつかなくなった。
顔で一番目立つ、黒太眼鏡を見ると、アーサーやステファノはすごく残念そうな顔をするけれど、僕は母さんが買ってくれたこの眼鏡を掛けると世界から守られてる感じがして落ち着くのだ。
高校の制服の白シャツに(直輝に爆笑された)、直輝と古着屋で買ったコーデュロイのジャケットと、綿のパンツを合わせ、革靴(高校のではなくて、スーツ用の靴を代用)で、蘇芳なりにビシリと決めた服装だ。
コートは腕に掛けて、いつもは斜め掛けのカバンを、今だけ左肩に掛けている。
「よしっ!完璧」
両頬を自分でビンタして、ギュッ… と拳を握り、アーサーのオフィス前で秘書さんに挨拶をする。
今回は待たされるコト無くすんなり通された。
先客の女性がファイルを持って部屋を出るのを待ち、蘇芳はアーサーに声を掛ける。
「オフィスに呼び出すなんて、珍しいですね?」
アーサーはデスクから顔を上げ、微笑みながら手招きする。
「こっちへ!」
蘇芳はカバンとコートをソファに置き、デスクを回りアーサーの脇に立つと…
座ったままアーサーは蘇芳の腰を抱き寄せ、眼鏡を取りデスクに置く。
迷わず蘇芳は屈みこんでアーサーにキスをすると、眼鏡を取り返し掛ける。
うっすらと赤くなった蘇芳の頬を見て、アーサーは満足そうに笑う。
「それで‥ アーサー?」
タブレット端末を蘇芳に渡すアーサー。
「賭けの配当金だ」
£67’000(ポンド) → 日本円で 約¥10’300’000
蘇芳はアゴが外れそうになる。
「呆れた! …いくら賭けたのですか?」
「ダルトン卿はもっと儲けたらしい」
ニヤリと笑うアーサーに、渋い顔をする蘇芳。
「クレベールに落ちなかったご褒美だ、コレを元に投資を教える」
「本当に⁈」
途端に瞳をキラキラさせる蘇芳に、今度はアーサーが苦笑した。
「狡猾な小悪魔め‼」
言葉とは裏腹に甘く誇らしげな声音だ。
「何から始めますか?」
「そのタブレットに入れてある基礎を、端から端まで目を通せ‥ ソレが頭に入ってないと何も進められない」
「…はい」
もう読み始めている蘇芳。
「蘇芳」
呼ばれて顔を上げるとニッコリ満面の笑みで微笑むアーサー。
「今夜は水泳の特訓日だと忘れるな! "コーギー" と "自転車" だ」
涙目で首をフルフルと振る蘇芳。
「言うコトを聞かないとソレを返してもらうぞ?」
蘇芳が大事そうに抱えるタブレットを指さすアーサー。
「…意地悪な悪魔!」
悲壮な顔でガックリと頭を落とし、受け入れる蘇芳。
「特訓の後はコテージへ行く」
「体力が…っ!」
小悪魔は赤い顔で口をパクパクする。
「私の報酬は身体で貰う… 今夜が楽しみだ!」
悪魔に弟子入りするには、絶倫をなだめるだけの体力が必要らしい。
前回とは違い、今回はアーサー本人に呼ばれて来た。
ピカピカに磨かれた窓ガラスに映り込んだ自分を見て、立ち止まり服装のチェックをする。
髪は今朝、直輝が寝ぐせを直してくれたから、綺麗にまとまっているし…
ステファノのサロンでカットしてもらうようになり、クセもあまりつかなくなった。
顔で一番目立つ、黒太眼鏡を見ると、アーサーやステファノはすごく残念そうな顔をするけれど、僕は母さんが買ってくれたこの眼鏡を掛けると世界から守られてる感じがして落ち着くのだ。
高校の制服の白シャツに(直輝に爆笑された)、直輝と古着屋で買ったコーデュロイのジャケットと、綿のパンツを合わせ、革靴(高校のではなくて、スーツ用の靴を代用)で、蘇芳なりにビシリと決めた服装だ。
コートは腕に掛けて、いつもは斜め掛けのカバンを、今だけ左肩に掛けている。
「よしっ!完璧」
両頬を自分でビンタして、ギュッ… と拳を握り、アーサーのオフィス前で秘書さんに挨拶をする。
今回は待たされるコト無くすんなり通された。
先客の女性がファイルを持って部屋を出るのを待ち、蘇芳はアーサーに声を掛ける。
「オフィスに呼び出すなんて、珍しいですね?」
アーサーはデスクから顔を上げ、微笑みながら手招きする。
「こっちへ!」
蘇芳はカバンとコートをソファに置き、デスクを回りアーサーの脇に立つと…
座ったままアーサーは蘇芳の腰を抱き寄せ、眼鏡を取りデスクに置く。
迷わず蘇芳は屈みこんでアーサーにキスをすると、眼鏡を取り返し掛ける。
うっすらと赤くなった蘇芳の頬を見て、アーサーは満足そうに笑う。
「それで‥ アーサー?」
タブレット端末を蘇芳に渡すアーサー。
「賭けの配当金だ」
£67’000(ポンド) → 日本円で 約¥10’300’000
蘇芳はアゴが外れそうになる。
「呆れた! …いくら賭けたのですか?」
「ダルトン卿はもっと儲けたらしい」
ニヤリと笑うアーサーに、渋い顔をする蘇芳。
「クレベールに落ちなかったご褒美だ、コレを元に投資を教える」
「本当に⁈」
途端に瞳をキラキラさせる蘇芳に、今度はアーサーが苦笑した。
「狡猾な小悪魔め‼」
言葉とは裏腹に甘く誇らしげな声音だ。
「何から始めますか?」
「そのタブレットに入れてある基礎を、端から端まで目を通せ‥ ソレが頭に入ってないと何も進められない」
「…はい」
もう読み始めている蘇芳。
「蘇芳」
呼ばれて顔を上げるとニッコリ満面の笑みで微笑むアーサー。
「今夜は水泳の特訓日だと忘れるな! "コーギー" と "自転車" だ」
涙目で首をフルフルと振る蘇芳。
「言うコトを聞かないとソレを返してもらうぞ?」
蘇芳が大事そうに抱えるタブレットを指さすアーサー。
「…意地悪な悪魔!」
悲壮な顔でガックリと頭を落とし、受け入れる蘇芳。
「特訓の後はコテージへ行く」
「体力が…っ!」
小悪魔は赤い顔で口をパクパクする。
「私の報酬は身体で貰う… 今夜が楽しみだ!」
悪魔に弟子入りするには、絶倫をなだめるだけの体力が必要らしい。
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