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第1章 誓約編
34話 謎解き
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警察からロジャーを連れて、ギルボーン・ハウスへ戻ったアーサーを…
玄関ホールで蘇芳と直輝、タイラーが出迎えた。
「ああ… ロジャー! 無事で良かった‼」
「お前…っ」
無事に戻ったコトを喜んで、微笑みながら近寄る蘇芳を、ロジャーは睨みつけた。
「ロジャー、疲れているだろうが書斎でもう一度、誘拐された時の状況を詳しく説明してくれ!」
今にも蘇芳に罵り出しそうだったロジャーを、抑え込むようにアーサーが急かした。
「はい」
怒りを含んだ険悪なロジャーの視線に気づき、蘇芳は暗い顔で立ち止まった。
直輝はムッ… としてロジャーを睨むと…
ロジャーは蘇芳と直輝を無視して、アーサーに付いて書斎へと向かう。
トーマスも後から加わり、5人でロジャーの話を聞くことになった。
ロジャーが、バンに無理やり押し込められたところまで聞くと、直輝が真っ青になっていた。
「オレの時と同じだ!」
直輝が小さく叫ぶと…
「おそらく同一犯だと、警察も同じ意見だったが、まだ続きがある… ロジャー」
アーサーに促され、蘇芳を睨みながらロジャーは話を続ける。
「頭に袋を被せられ… "約束は守れ"と伝えろと」
「犯人は誰あての伝言かは、言わなかったのだな?」
アーサーが確認のためにたずねた。
「はい、だけどポケットに写真を入れられて… "見ればわかる"と」
眉間にシワを寄せ、ロジャーはアーサーの言葉にうなずき、腕組みをした。
「その写真が、コレだ」
アーサーは上着の内ポケットから、写真のコピーを出す。
直輝が誘拐された日、寮から旅行に出掛ける時に付けていた…
赤白の旭日旗柄に勇ましく漢字で、〝猛獣〟と書いた派手な帽子を被った姿の蘇芳が写って移っていた。
「あっ! 蘇芳の写真… コレ先月か? …風邪ひいてたからオレが帽子を貸した時のだよな?」
「この場所は… この邸の庭からキッチンへ入る、ドアの付近だな… 問題は誰が写したかだが?」
トーマスが口を挟むと、スグに疑問は晴れた。
「写したのはオレです、スマホに入っていたから、犯人に財布と一緒に奪われてしまって、画像を見せられないけど…」
ロジャー自身がトーマスの疑問に答える。
「確かなのか? ロジャー」
アーサーがたずねると…
「この帽子が、オカシクて写したから間違いないです」
「僕も思い出した… まだ秋で、真冬でもないのに着こんでいたから、ロジャーに…」
爆笑されて蘇芳は恥ずかしかった記憶を話した。
自分の写真が思わぬところから出て来て、やはり自分が悪いのかと、蘇芳の落ち込みがヒドクなる。
アーサーは側に行き慰めたかったが…
隣に座る直輝が、蘇芳の肩を抱き慰める姿を見て、コッソリため息をつく。
「この写真を誰かに見せたか?ロジャー」
「両親と、恋人… 学校の友人2人ぐらいです…」
コレにはさすがにロジャーは、自信が無さそうな顔をした。
「似てますね!」
それまで黙っていたタイラーが自分のスマホを出し、蘇芳やアーサーと共有していた直輝の写真を出すと…
自分の意見を淡々と話し始めた。
「派手な帽子に目が行って… 同じ黒髪と黒い瞳の日本人だと、帽子を身に付ける人間が入れ替わっても、パッ… と見は同一人物に見えますね」
蘇芳と直輝、ロジャーは、ソレがどうしたの? と首をかしげる。
「ああ確かに、有り得る話だね」
トーマスが顎を触りながら、考え込む。
「アーサー? 意味が分かりません…」
蘇芳が説明を求めると、アーサーらしくない気マズそうな顔で直輝を見た。
「つまり… この写真を元に犯人たちが誘拐計画を立てたとしたら、直輝は派手な帽子のせいで、蘇芳と間違われて誘拐されたのではないか? と言う話だ」
絶句する蘇芳。
「でもオレがゲイだから、あんな詐欺に引っ掛かったわけだし、蘇芳なら騙されなかったはず」
慌てて蘇芳をかばおうとする直輝。
説明しながら、アーサーは心配そうに蘇芳を見つめると、真っ青を通り越して、顔色が真っ白になっていた。
「つまりその時点で直輝はすでに人違いされていたのだろう… それに気づき慌てた犯人たちは寮の近くで、強硬手段に出たが… 蘇芳に激しく抵抗され、誘拐未遂で終わった」
アーサーがタイラーを見ると、アーサーと同意見だとタイラーは無言でうなずく。
「そ、その前に、何で蘇芳が狙われるのさ⁈」
食って掛かる直輝に…
「それは、今から確認してくる」
「あてはあるのかアーサー?」
「ええ」
アーサーは険しい表情でロジャーを見つめた。
玄関ホールで蘇芳と直輝、タイラーが出迎えた。
「ああ… ロジャー! 無事で良かった‼」
「お前…っ」
無事に戻ったコトを喜んで、微笑みながら近寄る蘇芳を、ロジャーは睨みつけた。
「ロジャー、疲れているだろうが書斎でもう一度、誘拐された時の状況を詳しく説明してくれ!」
今にも蘇芳に罵り出しそうだったロジャーを、抑え込むようにアーサーが急かした。
「はい」
怒りを含んだ険悪なロジャーの視線に気づき、蘇芳は暗い顔で立ち止まった。
直輝はムッ… としてロジャーを睨むと…
ロジャーは蘇芳と直輝を無視して、アーサーに付いて書斎へと向かう。
トーマスも後から加わり、5人でロジャーの話を聞くことになった。
ロジャーが、バンに無理やり押し込められたところまで聞くと、直輝が真っ青になっていた。
「オレの時と同じだ!」
直輝が小さく叫ぶと…
「おそらく同一犯だと、警察も同じ意見だったが、まだ続きがある… ロジャー」
アーサーに促され、蘇芳を睨みながらロジャーは話を続ける。
「頭に袋を被せられ… "約束は守れ"と伝えろと」
「犯人は誰あての伝言かは、言わなかったのだな?」
アーサーが確認のためにたずねた。
「はい、だけどポケットに写真を入れられて… "見ればわかる"と」
眉間にシワを寄せ、ロジャーはアーサーの言葉にうなずき、腕組みをした。
「その写真が、コレだ」
アーサーは上着の内ポケットから、写真のコピーを出す。
直輝が誘拐された日、寮から旅行に出掛ける時に付けていた…
赤白の旭日旗柄に勇ましく漢字で、〝猛獣〟と書いた派手な帽子を被った姿の蘇芳が写って移っていた。
「あっ! 蘇芳の写真… コレ先月か? …風邪ひいてたからオレが帽子を貸した時のだよな?」
「この場所は… この邸の庭からキッチンへ入る、ドアの付近だな… 問題は誰が写したかだが?」
トーマスが口を挟むと、スグに疑問は晴れた。
「写したのはオレです、スマホに入っていたから、犯人に財布と一緒に奪われてしまって、画像を見せられないけど…」
ロジャー自身がトーマスの疑問に答える。
「確かなのか? ロジャー」
アーサーがたずねると…
「この帽子が、オカシクて写したから間違いないです」
「僕も思い出した… まだ秋で、真冬でもないのに着こんでいたから、ロジャーに…」
爆笑されて蘇芳は恥ずかしかった記憶を話した。
自分の写真が思わぬところから出て来て、やはり自分が悪いのかと、蘇芳の落ち込みがヒドクなる。
アーサーは側に行き慰めたかったが…
隣に座る直輝が、蘇芳の肩を抱き慰める姿を見て、コッソリため息をつく。
「この写真を誰かに見せたか?ロジャー」
「両親と、恋人… 学校の友人2人ぐらいです…」
コレにはさすがにロジャーは、自信が無さそうな顔をした。
「似てますね!」
それまで黙っていたタイラーが自分のスマホを出し、蘇芳やアーサーと共有していた直輝の写真を出すと…
自分の意見を淡々と話し始めた。
「派手な帽子に目が行って… 同じ黒髪と黒い瞳の日本人だと、帽子を身に付ける人間が入れ替わっても、パッ… と見は同一人物に見えますね」
蘇芳と直輝、ロジャーは、ソレがどうしたの? と首をかしげる。
「ああ確かに、有り得る話だね」
トーマスが顎を触りながら、考え込む。
「アーサー? 意味が分かりません…」
蘇芳が説明を求めると、アーサーらしくない気マズそうな顔で直輝を見た。
「つまり… この写真を元に犯人たちが誘拐計画を立てたとしたら、直輝は派手な帽子のせいで、蘇芳と間違われて誘拐されたのではないか? と言う話だ」
絶句する蘇芳。
「でもオレがゲイだから、あんな詐欺に引っ掛かったわけだし、蘇芳なら騙されなかったはず」
慌てて蘇芳をかばおうとする直輝。
説明しながら、アーサーは心配そうに蘇芳を見つめると、真っ青を通り越して、顔色が真っ白になっていた。
「つまりその時点で直輝はすでに人違いされていたのだろう… それに気づき慌てた犯人たちは寮の近くで、強硬手段に出たが… 蘇芳に激しく抵抗され、誘拐未遂で終わった」
アーサーがタイラーを見ると、アーサーと同意見だとタイラーは無言でうなずく。
「そ、その前に、何で蘇芳が狙われるのさ⁈」
食って掛かる直輝に…
「それは、今から確認してくる」
「あてはあるのかアーサー?」
「ええ」
アーサーは険しい表情でロジャーを見つめた。
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