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76話 王都のオエスチ侯爵邸
しおりを挟む王都のオエスチ侯爵邸に到着し…
「本当に金色だ…」
玄関ホールでヴィトーリアは、口をパカリと開けて見上げた。
明り取りの窓から入った陽光で、金ぴかに反射しギラギラと輝いていて、目がくらむ。
「口を閉じろヴィー… 埃が入るぞ!」
ヴィトーリアの口をパクンと閉じるアーヴィ。
「おお… 眩しいのう…」
隣で祖父が目をショボショボさせる。
オエスチ侯爵夫妻が西方を立つ前に、新しい執事と、家政婦長を中心に半分の使用人を先に準備をさせるべく、王都へ送り出してあった。
掃除や、荷物の片づけなどは済んではいるが、金ピカはどうしようもなく…
「早速、職人を呼ばなければなりませんね! 急げばお義父様のお部屋ぐらいは今日中に壁紙を変えられるでしょうから」
「わぁ~ お義母様、頼もしい!」
玄関ホールに負けないほど、ギラギラと瞳を光らせた、気合いタップリの義母に尊敬の眼差しを送るヴィトーリア。
アーヴィは早速、自分たちが、王都へ戻ったコトを報告をしようと、目と鼻の先にあるオウロ公爵邸に、訪問しても良いかと使いを出したら…
なんと… オウロ公爵夫妻とムーズィカ叔母が、アーヴィが出した使いと一緒にやって来た。
オウロ公爵夫妻とムーズィカ叔母は目を丸くして、金ぴかホールを見回し、ヴィトーリアと同じく、3人揃って口をパカリと開く。
アーヴィとヴィトーリアは、吹き出しそうになった。
「コレはまた…!」
「旦那様、スフィンクスが居ますよ?!」
「あらららら… 大変!」
ハッと我に返り、オウロ公爵は威厳タップリに、口を開くが…
「忙しいだろうから、顔だけ見に来た… スグに帰るから、気遣い無用だ」
公爵の頬が少し赤い。
「公爵、そう言わずに、お茶ぐらい飲んでいって下さい… 西方のを持って来たのですよ」
笑いを噛み殺しながら、誘うアーヴィ。
新執事に促され、家族用の居間へと移動した。
ちなみに応接間は見栄っ張りのイーダらしく、玄関ホール並みに金ぴかで、扉の脇に死者の神アヌビスが立っている。
居間に落ち着いた途端、先代侯爵夫人とムーズィカ叔母の間で、活発な意見交換がなされ、その2人に圧倒されるその他一同。
最終的に、せめて壁紙を交換し終えるまで、オウロ公爵邸に泊まってはどうかという話でまとまった。
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