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46話 大混乱3
しおりを挟む2人のキスを目撃し、嫌悪感で唇をゆがめるアリサの顔を見て…
「・・・・・・」
何かを思いついたらしく、カイリはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「お願いカイリさん、そんな人に触れないで! 止めて!!」
「アリサ、さっきの質問の答えを今すぐ見せるから… 君はそこで見ていてくれ!」
カイリは、アリサにそう答えると… なぜかフユメの腰を引き寄せ、身体をぴったり隙間なくっつけ再び唇を奪った。
「え? カイ…っ?! んんんんっ~… うむぅん~んっ?!」
<カイリさんっ!!! 何をするのぉ――っ?! ええええ~?!>
真っ赤になって抵抗するフユメのうなじを、カイリはネックガードの上から、大きな手でガッチリつかんで固定し…
チュク…ッ… チュチュ… チュクッ… と淫らな音を派手に立て、濃厚なキスで唇をむさぼった。
「嫌っ!! カイリさん――っ!!」
長い婚約期間があったにもかかわらず、初夜までカイリとキスさえ交わしたことが無かったアリサは… カイリの淫らな行動に衝撃を受けていた。
自分の前では優しく紳士的だったカイリが、恋人のフユメだけに見せる性的欲望をあらわにした生々しい雄の姿に、アリサはその不快さから吐きそうになり口を押さえた。
「・・・・・・」
カイリはフユメの唇を奪いながら、アリサをチラリと見て、自分への未練を断ちきれそうだと笑う。
「んっ… んんっ…」
<あ… カイリさんのフェロモンが… すごく気持ち良い~ また発情しちゃうよぉ~>
始めは抵抗していたが、カイリの暖かな舌とアルファのフェロモンに包まれ… フユメはカイリの首に腕を回し、うっとりとキスに溺れ、自分から舌をのばしカイリの舌にからめる。
言葉では絶対に言い包められないぞ! と警戒していたフユメだが…
身体の相性の良さには抵抗できず、カイリの濃厚なフェロモンに酔い、意地も理性も簡単に手放し、カイリの元妻アリサの存在も、フユメの頭から完全に抜け落ちた。
チュクッ… と不意に唇を離し、カイリは途中でキスを止めてしまう。
「…カイリさん?」
もっとキスをしたくて、フユメは背伸びをしてカイリの唇に吸い付いた。
だが、すぐにカイリは唇を離した。
「フユメ… この続きは2人っきりでしよう?」
カイリはニコニコと満面の笑みを浮かべ、フユメの額に自分の額をコツンッ… とくっつけた。
「んん? 何?! カイリさん…?」
艶っぽく薄紅色に首筋を染めて… 甘い誘惑フェロモンを放つフユメを、ひょいっ… と抱き上げ、カイリは社長室へと向かう。
カイリに抱き上げられ運ばれながら、キスとアルファのフェロモンで、ぼんやり… うっとり… していたフユメだが…
不意にパカリと口を開けた平沢と目が合い、それをきっかけにオフィス中の視線を、フユメたちが集めていることに気がついた。
「ひゃっ…! う゛う゛う゛~ やらかしたぁ~ あ゛あ゛あ゛~…はずがじい゛ぃ~」
あわててカイリの肩にしがみつき、フユメは顔を隠しうめく。
「あははははっ…! 何で?! すごく可愛かったのに?! 私は癖になりそうだけど?!」
カラカラと上機嫌でカイリは笑い声をあげた。
「そ… そんな恥ずかしいことを、言えるのはカイリさんぐらいです!! 僕はもう、絶対に嫌ですからね!!」
コツッ… コツッ… コツッ… とヒールで走る足音を響かせ、アリサがオフィスを立ち去る姿を、誰も気に留めなかった。
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