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39話 焦り
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ベッドの上から、仕事へ行くカイリを見送った後、そのまま2時間ほど眠り…
カイリの言い付けを守り、マンション内のレストランにその日のランチメニューを注文し、厚地のパーカーを着て届けられた食事を受け取った。
朝昼兼用の食事をしっかり食べ…
フユメは母に『なるべく早く、母さんに会いたい! いつなら会える?』 と… メッセージを送る。
すぐに母から…『今日仕事が終わった後なら良いわよ』 と返事が届いた。
ポチポチとフユメは…『それでお願いします!』 と送り返す。
『了解、かわいこちゃん! うちの会社のロビーに着いたら連絡して! 再会を楽しみに待つ! END』
ぷはっ…! と吹き出し、フユメはスマホをコードにつなげ充電する。
ふぅあぁぁぁ~… と大あくびをしながらフユメはカイリの寝室へ行き、厚地のパーカーを脱ぐと、部屋着のまま気持ち良いベッドの中に再び潜り込んだ。
枕を良い位置にあて、フゥ―――ッ… とため息をつく。
「…ええ~とぉ…」
<夕方になったら母さんの会社に行って、母さんにあの事を相談して… あ! 一応カイリさんに僕は外出すると連絡しないと!>
高い天井を見つめながら、フユメは今日のスケジュールを確認する。
<でも… その前に… 昨夜、使い果たした体力を取り戻しておかないとね! カイリさんの体力がうらやましい~… 僕も時間ができたら身体を鍛える方法を考えようかなぁ~? ふふふっ…>
カイリと同居する前のフユメなら、考えられない行動をしていた。
少しでも動けるのなら、大学へ行き講義を受けるか、遅れた分の勉強を熱心にしていただろう。
それほど禁欲的と言って良いほど、フユメは自分の基礎を作りあげることに夢中だった。
<ずっと… 努力だけしっかりしていれば、いつか報われると思っていたけれど… それでは足りないよね?>
だが、今のフユメはカイリと出会い、初めての恋を知り… その頃とは目標や理想が変わってしまった。
<結局、カイリさんに奥さんのこと…“まだ愛しているの” …て、聞けなかったし>
発情期の蜜月ムードを壊したくなくて、フユメは言い出せなかったのだ。
白い天井に手をのばし… 握ったり、開いたりを繰り返す。
今は自分の手にある幸せを、もっと強く… ギュッとつかんでおきたい…
<母さん… 許してくれるかなぁ? 頑固だからなぁ…?>
フユメは母親に会いに行き… 同棲する時にカイリと母が交わした約束を、変更してもらいたいと思っていた。
『結婚前だから、絶対に妊娠させないコトと、"番"にしないコトを約束出来るなら許可します』
<同棲して、お互いが上手く暮らせると納得できたら結婚しようという話だけど… 僕はそんなの待てないし! その前にやっぱり結婚は止めようと、カイリさんに言われたら嫌だし!>
元妻アリサと会っていたカイリが、心変わりをするのではないかと… フユメはそれが怖かった。
カイリと早く番になりたくて、母に許可をもらうつもりなのだ。
1週間の発情期間中に、興奮したフユメは自分でネックガードを外し、うなじをカイリにさらして何度も懇願した。
『お願い、今すぐ噛んで僕をカイリさんの番にしてよ!!』
『ダメだフユメ… お母さんとの約束は守らないと… フユメのお母さんは、一度アルファに裏切られているだろう? ここで信頼を無くせば、ずっとギクシャクすることになるから』
『でも、これは僕たちの問題だし… それに母さんはベータだから僕がカイリさんの番になっても、母さんはフェロモン感じないし… わからないよ?!』
『フユメ… 君にバレなければ、私が陰で何でもやるような人間だったら嫌だろう?』
『それは、そうだけど… でも…!』
復縁は無いとわかっていても、元妻アリサの影におびえる未熟なフユメは、嫉妬と不安で焦っていた。
カイリの言葉は正論だが… フユメとは明らかに温度差があると感じ… フユメの焦る気持ちをより強くしていた。
<番になれば、今よりもっと強い絆が出来て、きっと僕だけを見てくれるはずだから!>
少しでも早くカイリを手に入れたくて、フユメは自分から行動しようと決めたのだ。
カイリの言い付けを守り、マンション内のレストランにその日のランチメニューを注文し、厚地のパーカーを着て届けられた食事を受け取った。
朝昼兼用の食事をしっかり食べ…
フユメは母に『なるべく早く、母さんに会いたい! いつなら会える?』 と… メッセージを送る。
すぐに母から…『今日仕事が終わった後なら良いわよ』 と返事が届いた。
ポチポチとフユメは…『それでお願いします!』 と送り返す。
『了解、かわいこちゃん! うちの会社のロビーに着いたら連絡して! 再会を楽しみに待つ! END』
ぷはっ…! と吹き出し、フユメはスマホをコードにつなげ充電する。
ふぅあぁぁぁ~… と大あくびをしながらフユメはカイリの寝室へ行き、厚地のパーカーを脱ぐと、部屋着のまま気持ち良いベッドの中に再び潜り込んだ。
枕を良い位置にあて、フゥ―――ッ… とため息をつく。
「…ええ~とぉ…」
<夕方になったら母さんの会社に行って、母さんにあの事を相談して… あ! 一応カイリさんに僕は外出すると連絡しないと!>
高い天井を見つめながら、フユメは今日のスケジュールを確認する。
<でも… その前に… 昨夜、使い果たした体力を取り戻しておかないとね! カイリさんの体力がうらやましい~… 僕も時間ができたら身体を鍛える方法を考えようかなぁ~? ふふふっ…>
カイリと同居する前のフユメなら、考えられない行動をしていた。
少しでも動けるのなら、大学へ行き講義を受けるか、遅れた分の勉強を熱心にしていただろう。
それほど禁欲的と言って良いほど、フユメは自分の基礎を作りあげることに夢中だった。
<ずっと… 努力だけしっかりしていれば、いつか報われると思っていたけれど… それでは足りないよね?>
だが、今のフユメはカイリと出会い、初めての恋を知り… その頃とは目標や理想が変わってしまった。
<結局、カイリさんに奥さんのこと…“まだ愛しているの” …て、聞けなかったし>
発情期の蜜月ムードを壊したくなくて、フユメは言い出せなかったのだ。
白い天井に手をのばし… 握ったり、開いたりを繰り返す。
今は自分の手にある幸せを、もっと強く… ギュッとつかんでおきたい…
<母さん… 許してくれるかなぁ? 頑固だからなぁ…?>
フユメは母親に会いに行き… 同棲する時にカイリと母が交わした約束を、変更してもらいたいと思っていた。
『結婚前だから、絶対に妊娠させないコトと、"番"にしないコトを約束出来るなら許可します』
<同棲して、お互いが上手く暮らせると納得できたら結婚しようという話だけど… 僕はそんなの待てないし! その前にやっぱり結婚は止めようと、カイリさんに言われたら嫌だし!>
元妻アリサと会っていたカイリが、心変わりをするのではないかと… フユメはそれが怖かった。
カイリと早く番になりたくて、母に許可をもらうつもりなのだ。
1週間の発情期間中に、興奮したフユメは自分でネックガードを外し、うなじをカイリにさらして何度も懇願した。
『お願い、今すぐ噛んで僕をカイリさんの番にしてよ!!』
『ダメだフユメ… お母さんとの約束は守らないと… フユメのお母さんは、一度アルファに裏切られているだろう? ここで信頼を無くせば、ずっとギクシャクすることになるから』
『でも、これは僕たちの問題だし… それに母さんはベータだから僕がカイリさんの番になっても、母さんはフェロモン感じないし… わからないよ?!』
『フユメ… 君にバレなければ、私が陰で何でもやるような人間だったら嫌だろう?』
『それは、そうだけど… でも…!』
復縁は無いとわかっていても、元妻アリサの影におびえる未熟なフユメは、嫉妬と不安で焦っていた。
カイリの言葉は正論だが… フユメとは明らかに温度差があると感じ… フユメの焦る気持ちをより強くしていた。
<番になれば、今よりもっと強い絆が出来て、きっと僕だけを見てくれるはずだから!>
少しでも早くカイリを手に入れたくて、フユメは自分から行動しようと決めたのだ。
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