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22話 初出勤2
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先輩パート社員のヒロキに指導され、カイリが不在でもフユメは大いに有意義な時間を過ごし、アルバイトの初日を終えようとしていた。
<一番の目的は、仕事中のカイリさんを鑑賞することだったけれど… ヒロキさんと一緒に、お仕事するのもすごく楽しかった!!>
ヒロキに指示された、数字の打ち込みを終え、フユメはささやかな達成感を味わい、満足そうにぐぐぅ~っ… と背伸びをしていると…
「ヒロキさん、ちょっと良いですか?」
「何ですか、平沢さん?」
「こっちも明日までで良いので、よろしく!」
フユメの隣席でPCに向かうヒロキに、若い社員がファイルを二冊差し出した。
その場でヒロキはファイルの中をぱらぱらと見て…
「ああ、追加分ですか… これなら今日中に出来ますよ? 朝日君が頑張ってくれたので」
先輩ヒロキはニコリと笑い、隣りのフユメに笑い掛けた。
「へぇー もう慣れたの? 意外と優秀だね君」
ファイルを差し出した ※出向社員平沢は、アルファらしい傲慢な態度でフユメをながめた。
「・・・・・っ」
<意外と? あ… この人、オメガにしては… って顔してる! 自分がアルファだから、僕をバカにしているんだ?!>
威圧的なフェロモンを放つ平沢は、間違いなくアルファだと気づき…
平沢にオメガだからとバカにされても、フユメは反発するよりも先に、萎縮してしまった。
フユメが平沢の存在に怯み、ビクついていると…
当の平沢は猫がネズミをいたぶるように、わざとフユメの肩に手を置き、あれこれと話しかけて来る。
「すごく若く見えるけど、君って年齢はいくつなの? 大学はどこ? 社長とはどういう関係? 恋人はいるのか? まさか社長の恋人とか?」
「あ… あの…」
言葉に詰まり、フユメの顔は少しずつ青ざめる。
「平沢さん、職場でナンパをするのは、どうかと思いますけどね?」
見るに見かねて、ヒロキが割って入った。
「おい、お前! 見たことの無い顔だな、誰だ?!」
険悪な呼びかけと共に、平沢よりも更に強力な威圧感のある、2人目の極強アルファの気配がして…
ふらっ… とよろけ平沢に身体を支えられたフユメ。
じろじろと極強アルファに睨まれ、若く未熟なフユメはその圧力だけで、倒れそうになった。
「センリ! イキナリ睨むのは止めろよ、2人とも驚いているだろう?」
「だって、ヒロキ…」
突然、現れた極強アルファは不服そうに、ヒロキを抱き寄せた。
「・・・・・・」
<センリ? ああ、この人がヒロキさんの旦那さんで、カイリさんの弟?>
穏やかでクールなカイリと、短気で荒々しい印象のセンリ。
兄弟でもここまで印象が違うのか? と、フユメは驚愕した。
※出向→他社に籍をおいたまま、働きに来ている。
<一番の目的は、仕事中のカイリさんを鑑賞することだったけれど… ヒロキさんと一緒に、お仕事するのもすごく楽しかった!!>
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「ヒロキさん、ちょっと良いですか?」
「何ですか、平沢さん?」
「こっちも明日までで良いので、よろしく!」
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その場でヒロキはファイルの中をぱらぱらと見て…
「ああ、追加分ですか… これなら今日中に出来ますよ? 朝日君が頑張ってくれたので」
先輩ヒロキはニコリと笑い、隣りのフユメに笑い掛けた。
「へぇー もう慣れたの? 意外と優秀だね君」
ファイルを差し出した ※出向社員平沢は、アルファらしい傲慢な態度でフユメをながめた。
「・・・・・っ」
<意外と? あ… この人、オメガにしては… って顔してる! 自分がアルファだから、僕をバカにしているんだ?!>
威圧的なフェロモンを放つ平沢は、間違いなくアルファだと気づき…
平沢にオメガだからとバカにされても、フユメは反発するよりも先に、萎縮してしまった。
フユメが平沢の存在に怯み、ビクついていると…
当の平沢は猫がネズミをいたぶるように、わざとフユメの肩に手を置き、あれこれと話しかけて来る。
「すごく若く見えるけど、君って年齢はいくつなの? 大学はどこ? 社長とはどういう関係? 恋人はいるのか? まさか社長の恋人とか?」
「あ… あの…」
言葉に詰まり、フユメの顔は少しずつ青ざめる。
「平沢さん、職場でナンパをするのは、どうかと思いますけどね?」
見るに見かねて、ヒロキが割って入った。
「おい、お前! 見たことの無い顔だな、誰だ?!」
険悪な呼びかけと共に、平沢よりも更に強力な威圧感のある、2人目の極強アルファの気配がして…
ふらっ… とよろけ平沢に身体を支えられたフユメ。
じろじろと極強アルファに睨まれ、若く未熟なフユメはその圧力だけで、倒れそうになった。
「センリ! イキナリ睨むのは止めろよ、2人とも驚いているだろう?」
「だって、ヒロキ…」
突然、現れた極強アルファは不服そうに、ヒロキを抱き寄せた。
「・・・・・・」
<センリ? ああ、この人がヒロキさんの旦那さんで、カイリさんの弟?>
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