20 / 51
19話 同棲2日目の朝
しおりを挟む淫らな同棲初日を終えて、朝を迎えると…
ビシッと隙の無いエリート・ビジネスマンへと変身してゆくカイリを、フユメはベッドの上から裸のまま、誇らしいような、恥かしいような、複雑な心境で見つめた。
「悪いなぁ… フユメ、休日出勤が多くて… 今日ぐらいずっと一緒にすごしたかったが」
「ああ! 僕は大丈夫だから… そうだ、朝食を作らないとね!」
昨夜のフユメはカイリが服を脱ぐ過程をじっくりと堪能したが…
今朝のフユメは服を着る過程を堪能していた。
シュッ… シュッ… と手際良く、長い指でネクタイを締める姿が、やたらとカッコ良くて、フユメは目が離せなくなった。
<どうして鏡を見ないで、ネクタイを締められるのかなぁ? それも一回で成功させてるし… 大人の男は違うなぁ~! 他所のお父さんとかも、こうなのかなぁ?!>
熱心にカイリを見つめるうちに、フユメは重大な事件が起きていることに気づく。
「ううっわぁあああああ―――っ…!!!」
真っ赤になってフユメは叫び声をあげた。
「ど… どうした?! んんん?!」
いきなり叫び出したフユメに、ギョッ… としたカイリが、振り向いた。
「カ… カイ…リしゃん… 首に… はぁあああううぅ~っ!!!」
フユメはたった今、気付いたばかりの、自分が引き起こした事件に動揺し、両掌で真っ赤になった顔を隠した。
「え? 何だ?! どうした?! んんん? フユメ?!」
フユメの動揺っぷりに、慌ててカイリはベッドに腰を下ろし、フユメの肩を抱いた。
掌を下げて目だけを出すと、カイリにおずおずとフユメは告白した。
「ご… ごめんなさい… カイリさんの首に… 首に…昨夜… 噛みついて… ぼくが調子に乗ってチュウチュウしたから… う゛う゛う゛ぅぅぅ… どうしよう…!」
「ああ… キス痕か?」
カイリは自分の首に触れて、艶っぽく笑った。
「痕が… シャツのエリに隠れてなくて… う゛う゛っ…見えちゃってて…」
「構わないよ? 部下たちに自慢しようと思っていたし」
「自慢~?!」
口をぱくぱくして、フユメが聞き返すと、ニカッ… と楽しそうにカイリは笑ってさらりと答えた。
「そう、自慢!」
チュッ… とカイリは頬にキスを落とすと、フユメの胸から下腹、太ももへと順番にジッ… と見下ろして行く。
熱っぽいカイリの視線につられて、フユメも自分の胸を見ると、乳首の周りにバラの花びらのような、おびただしい数のキス痕が散っていて…
「・・・・・・」
下腹、太モモへと花びらは派手に広がっていた。
<ああ、そうだった! 僕の方がいっぱいカイリさんにキス痕付けられていたっけ!>
フユメは妙に納得して、すぐに気持ちを切り替えると…
もそもそとベッドを出て、絨毯の上にカイリが落とした、昨夜着ていた服を拾って、上だけ着ると自分の部屋へ行って下着を付けて、台所へと行く。
0
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好みじゃないので悪しからず
浦 かすみ
恋愛
よくある、悪役令嬢の断罪…しかし興味ねーし?何かキャンキャン吠えてる女子がいるけど初対面だし?
辺境伯爵令嬢として生きてきて、デビュタントの当日自分が転生者だと思い出して、ぶっ倒れてから三日間…考えに考えた結果、この田舎(辺境)で骨を埋めよう!都会には行かない!
なのに何だよ〜?王子殿下の美しさを認めるまで離れない!?いやいや好みじゃないし?私、マッチョと怖い顔は苦手なんだ!
【不定期更新です】
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
聖獣の卵を保護するため、騎士団長と契約結婚いたします。仮の妻なのに、なぜか大切にされすぎていて、溺愛されていると勘違いしてしまいそうです
石河 翠
恋愛
騎士団の食堂で働くエリカは、自宅の庭で聖獣の卵を発見する。
聖獣が大好きなエリカは保護を希望するが、領主に卵を預けるようにと言われてしまった。卵の保護主は、魔力や財力、社会的な地位が重要視されるというのだ。
やけになったエリカは場末の酒場で酔っ払ったあげく、通りすがりの騎士団長に契約結婚してほしいと唐突に泣きつく。すると意外にもその場で承諾されてしまった。
女っ気のない堅物な騎士団長だったはずが、妻となったエリカへの態度は甘く優しいもので、彼女は思わずときめいてしまい……。
素直でまっすぐ一生懸命なヒロインと、実はヒロインにずっと片思いしていた真面目な騎士団長の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID749781)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる