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19話 同棲2日目の朝
しおりを挟む淫らな同棲初日を終えて、朝を迎えると…
ビシッと隙の無いエリート・ビジネスマンへと変身してゆくカイリを、フユメはベッドの上から裸のまま、誇らしいような、恥かしいような、複雑な心境で見つめた。
「悪いなぁ… フユメ、休日出勤が多くて… 今日ぐらいずっと一緒にすごしたかったが」
「ああ! 僕は大丈夫だから… そうだ、朝食を作らないとね!」
昨夜のフユメはカイリが服を脱ぐ過程をじっくりと堪能したが…
今朝のフユメは服を着る過程を堪能していた。
シュッ… シュッ… と手際良く、長い指でネクタイを締める姿が、やたらとカッコ良くて、フユメは目が離せなくなった。
<どうして鏡を見ないで、ネクタイを締められるのかなぁ? それも一回で成功させてるし… 大人の男は違うなぁ~! 他所のお父さんとかも、こうなのかなぁ?!>
熱心にカイリを見つめるうちに、フユメは重大な事件が起きていることに気づく。
「ううっわぁあああああ―――っ…!!!」
真っ赤になってフユメは叫び声をあげた。
「ど… どうした?! んんん?!」
いきなり叫び出したフユメに、ギョッ… としたカイリが、振り向いた。
「カ… カイ…リしゃん… 首に… はぁあああううぅ~っ!!!」
フユメはたった今、気付いたばかりの、自分が引き起こした事件に動揺し、両掌で真っ赤になった顔を隠した。
「え? 何だ?! どうした?! んんん? フユメ?!」
フユメの動揺っぷりに、慌ててカイリはベッドに腰を下ろし、フユメの肩を抱いた。
掌を下げて目だけを出すと、カイリにおずおずとフユメは告白した。
「ご… ごめんなさい… カイリさんの首に… 首に…昨夜… 噛みついて… ぼくが調子に乗ってチュウチュウしたから… う゛う゛う゛ぅぅぅ… どうしよう…!」
「ああ… キス痕か?」
カイリは自分の首に触れて、艶っぽく笑った。
「痕が… シャツのエリに隠れてなくて… う゛う゛っ…見えちゃってて…」
「構わないよ? 部下たちに自慢しようと思っていたし」
「自慢~?!」
口をぱくぱくして、フユメが聞き返すと、ニカッ… と楽しそうにカイリは笑ってさらりと答えた。
「そう、自慢!」
チュッ… とカイリは頬にキスを落とすと、フユメの胸から下腹、太ももへと順番にジッ… と見下ろして行く。
熱っぽいカイリの視線につられて、フユメも自分の胸を見ると、乳首の周りにバラの花びらのような、おびただしい数のキス痕が散っていて…
「・・・・・・」
下腹、太モモへと花びらは派手に広がっていた。
<ああ、そうだった! 僕の方がいっぱいカイリさんにキス痕付けられていたっけ!>
フユメは妙に納得して、すぐに気持ちを切り替えると…
もそもそとベッドを出て、絨毯の上にカイリが落とした、昨夜着ていた服を拾って、上だけ着ると自分の部屋へ行って下着を付けて、台所へと行く。
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