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12話 カイリの事情
しおりを挟む富豪の名家出身で、強く有能なアルファを相手に、へたに喧嘩を売って怒らせれば、長年勤めてきた自分の職場にも悪影響を及ぼす可能性があると、フユメの母はよく理解していた。
ベータ女性だが、自他ともに認める頑固者の母は、内心恐れ戦いていたとしても、フユメのために一歩も引かなかった。
「結婚相手を探しているとおっしゃられていましたが、神田さんならアプリなどに頼らなくても、神田さんに相応しい家柄の、お相手が簡単に見つかるのではないですか?」
直球過ぎる母の問いかけに、カイリは一瞬、苦笑を浮かべたが…
姿勢を正しチラリとフユメを見てから、再び母を見つめた。
「何より神田さんなら、おモテになるでしょうし?」
気に入らないことが一つでもあったら、2人の交際は絶対に認めないと言いたげな厳しい態度で、フユメの母は徹底的にカイリを質問攻めにする。
「確かに… 以前はそういう相手がいて、彼女と婚約し結婚もしました… ですがすぐに私たちは離婚することになりました」
軽く一度うなずいてから、カイリは真摯に答えた。
「なぜ、離婚したのですか?」
「もう、母さん! そこまで聞かなくても良いよ!」
<ええ、嘘っ…?! カイリさんに離婚歴があるの?! 何で離婚したか、僕もすごく気になるけど… でもやっぱり失礼すぎるよぉ…!!>
フユメの胸が、ドクンッ… ドクンッ… と不穏に騒ぎ出した。
「でもフユメ、そういうところに、真の人間性が出るものなのよ? フユメと結婚を前提に付き合いたいと言うのなら、アナタは神田さんに離婚理由を質問する権利があると思うわ!」
「でも、母さん! いくら何でも、初対面でそれはさぁ…?」
<これで僕のことをカイリさんが、面倒だと思われたら… 悲しいし…>
あわあわとフユメは母を説得しようとするが…
「いや、フユメ… 私には何も疚しいところは無いから、話すのは構わないよ… それに離婚の原因となったことが、正にアプリを使おうと思った理由だからね」
「カイリさん… 嫌なら本当に言わなくても、良いからね?」
「早いか、遅いかの違いで… 君にはいずれ話していたと思うから、ちょうど良い機会だし、お母さんがそれで安心するなら、今、君に話すよ」
「カイリさん…」
「気づかってくれてありがとう、フユメは本当に優しいな」
すっと手を伸ばし、カイリはフユメの頬を撫でようとしたが、目の前に母親がいることを思い出し…
頬ではなく肩をトンッ… トンッ… と軽く叩いた。
「う゛ぐぅ////////////っ…!!」
ニッコリと悩殺的なイケメン・スマイル光線を、カイリに発射され… フユメの胸をキュキュ~ン!! と鳴らしてドシュッ!と貫いた。
<ううっ!! カイリさん… ドキドキが止まらないよ!!>
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