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5話 アルファの本能 カイリside ※R18
しおりを挟む部屋の前に着くと、一旦フユメを床に下ろし、扉を開き…
再びフユメを抱き上げ、カイリは室内へと入った。
そのまま真っ直ぐベッドへ行き、フユメに刺激を与えないよう、静かに寝かせる。
「フユメ…?!」
「ううっ… ふぅ…」
エレベーター内で、カイリがフユメのフェロモンに誘惑されたように…
フユメもまた、カイリの強く濃厚なフェロモンに圧倒され、為す術も無く溺れていた。
真赤な顔で、ハァッ… ハァッ… と荒い息づかいでフユメは涙を流しながら身体を丸め、カイリを見あげる。
<ああ、欲しい!! この子が欲しい! 今、奪わなければ… 私は必ず後悔する!! この子を私のものにする、項を噛んで私のオメガにする―――っ…!!>
頭の奥で理性の赤いランプがチカチカ点滅し…
危険! 危険! と警告していたが、カイリは身体を縮めるフユメを仰向けに転がし、覆いかぶさるように唇を奪った。
「ふうんん―――っ?! むっうぅ! ううっ!! 」
キスをされたフユメは、最初抵抗を見せたが…
カイリはアルファのフェロモンで圧倒し、オメガを捩じ伏せた。
「フユメ… オメガの発情には、抑制剤よりもアルファの体液が、一番有効なんだ!」
<この子は、必ず私のものにする>
唇を離し、カイリは涙目のフユメに言い聞かせた。
<フユメは私のものにする!>
「…待って、カイリさん… んんっ…!!」
キスで腫らした赤い唇を震わせ、フユメは涙目でいやっ… いやっ… と、首を大きく横に振ったが…
「フユメ…? 私のものになれば、身体もすぐに楽になる…」
<ダメだ、逃がさない!>
涙の跡が残る頬を撫で… カイリは繰り返しフユメに言い聞かせた。
指をネックガードの隙間にねじ込み、カイリが敏感な首周りを指先で捏ねると、フユメはビクビクと痙攣するように反応し…
「ああっ… んんっ…! ダメぇ…! ダメぇ…! 初めて会った… ばかり… なのに… アナタのこと… 僕… 何…も… 知らない… のにこんな… いけない… ダメぇ!」
「いくらでも教える! これからお互いを知れば良いさ…!」
<逃がさない!>
オメガの弱点の項を揉みながら、カイリは再び唇を奪った。
「ああっ…! んんっ! んふっんんっ…!」
噛まれることを覚悟して、フユメの赤い唇を割り、カイリは舌を差し入れて…
口内で逃げ惑っていた、フユメの小さな舌を、カイリの舌で何度も撫でるうちに、おずおずとカイリの舌を受け入れからみついた。
カイリのシャツをギュッと握り締めて、フユメは可愛いうめき声をもらしながら、夢中で愛撫を受け入れ始める。
チュク…ッ…チュ… チュチュ… クチュク…ッ…チュチュ
<もう、私のものだフユメ>
「んふっ… んんっ… んんっ…! んんっ…!」
この時カイリは、自分がどれだけ卑劣なまねをしているか自覚はあったが、完全にアルファの原始的な本能に乗っ取られていた。
こうなると、経験が豊富だろうが、未経験だろうが… 止めることなど出来ないのだ。
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