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45話 その後2 ーENDー
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王宮舞踏会の会場でおしゃべりを楽しむ、デシルとミラドルのもとに、突然あらわれたサリダは… 実はまだ、王立騎士団のお仕事中である。
本来、王宮の警備は王宮騎士団の仕事だが、所属する騎士の人数が少ないため… 社交シーズンの時期だけ、会場の周辺を警備するため、サリダたちも応援に来ているのだ。
「サリダ様はまだ、お仕事中でしょう? 僕とおしゃべりをしていたら、騎士団長様に叱られませんか?」
会いに来てくれたのは、すごく嬉しいけれどね… ただでさえ、僕のために、仕事を休んだり途中で抜け出したり、しているみたいだから、騎士団でひんしゅくを買って、サリダ様が同僚の騎士たちに嫌われたりしていたら、すごく嫌だもの!
サリダの背後に立ちニコニコと微笑んでいる、同僚らしい騎士の目を気にして、デシルはひそひそと耳元で囁くと…
「今夜は地方から出て来た家族が、この舞踏会に招待されている者が多いから、交代でこちらまで会いに来て良いと、騎士団長が直々に許可を出したんだ… それで、今は私たちの番というわけさ!」
「へぇ~… そうなんだ?」
「もう、デシルったら! サリダ様が会いに来てくれて嬉しいと、素直に言えば良いのに!」
側でサリダとデシルの会話を聞いていたミラドルが、クスクスと笑い出した。
「もうミラドル! だって、僕はサリダ様の婚約者だから… いけないことは、いけないと… きちんと言えないと、良い妻になれないでしょう?!」
思わずデシルは顔を赤くして、ミラドルに文句を言った。
サリダと“番”になってから、男爵邸で夫婦のように暮らしてみて、デシルが感じたことだが… 意外とサリダは大雑把な性格だと言うことが、だんだんわかってきた。
アルファとオメガの性差のせいで、デシルがそう感じるのかもしれないが…。
「ありがとう、ミラドル嬢! 私もデシルには、もっと素直に甘えて欲しいと思っているのですよ!」
微笑みながらサリダは、ミラドルにパチンッ… と片目を閉じてウインクをする。
「サリダ様まで!」
ぷぅ~と、デシルはふくれる。
「デシルの可愛い顔を見に来たのも、目的の1つだけど… 母方の従兄を紹介したくて… プエルト兄さん!」
サリダは嬉しそうにニヤニヤと笑いながら、背後をふり向き、デシルが同僚だと思っていた騎士に向かって名前を呼ぶ。
「え? サリダ様の従兄?!」
「プエルト兄さん、私の婚約者デシルと… デシルの親友のミラドル嬢を紹介するよ!」
「サ… サリダ様の婚約者、デシルです!」
あれ? 会ったことが無い人だ?! サリダ様の親類は婚約式の時に会ったはずなのに? サリダ様より、4,5歳ぐらい年上かな?!
従兄だと聞くと雰囲気がサリダ様と似ている気がする… この人もすごく素敵な人だなぁ~! さすがサリダ様と同じ血筋だね!
「初めまして、エスペラル子爵のプエルトです… 暴れん坊の従弟から、君の話はいろいろ聞いているよ! このサリダを選ぶとは… 君は大変な勇者だね!」
「え?」
暴れん坊? サリダ様が?! 勇者? んんん? どういう意味?
「お久しぶりです、エスペラル子爵様」
ミラドルも椅子から立ち上がり、優雅に挨拶をする。
2人はどうやら初対面ではないらしい。
「ミラドル嬢… 確か、パルケ(ミラドルの兄)の婚姻の儀で会った時以来だね?」
「はい」
ミラドルは嬉しそうに微笑んだ。
「実はデシル、プエルト兄さんが休暇をゆずってくれたから、私は多めに休むことが出来ているんだ… もちろん、いつか借りは返す予定だけどね」
「えええ?! サリダ様の休暇?! わあっ… そうなんですか?! ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした、プエルト様!」
ああ、だから僕たちの婚約式でプエルト様に会わなかったのかな?! サリダ様に休暇をゆずったせいで、あの日はお仕事してたから?! うわっ!! 僕たちは何て、ご迷惑をかけているんだ?!
あわててデシルが、ペコペコと頭を下げると… プエルトは困った顔をする。
「いや、良いんだよ… デシル君! 私は君たちとはちがい相手がいない独身者だから。 今のうちにサリダに恩を売っておくのも良いと思っただけなんだ」
大したことはないと、手を振るプエルトに…
「ええ―――っ?! でも… 確か婚約者がいらしたのでは…?」
なぜか驚くミラドル。
「これは参ったな! そうか… ミラドル嬢は私の婚約者に、パルケの婚姻の儀で会っていたね?」
気まずそうに、プエルトは頭をぽりぽりとかく。
「…はい」
「プエルト兄さんの婚約者も、略奪婚を決行されたんだよ」
サリダがプエルトの代わりに、疑問に答えた。
「ええええぇっ?!」
「嘘おぉぉぉっ?!」
デシルとミラドルが同時に小さなさけび声をあげる。
「私と彼は少し年が離れていたし、政略的な婚約だったから… 彼は私との結婚に、抵抗を感じていたのだと思う」
プエルトの婚約者は、なんとデシルやミラドルが卒業した、王立学園の1年後輩で… フリオとアオラが駆け落ちをするきっかけとなった、卒業パーティーにも、手伝いで参加していた。
「何てもったいない……」
瞳をキラリと光らせて、ぽつりとミラドルがつぶやいた。
それもそのはずで、エスペラル子爵プエルトは… 王立騎士団の現副団長の任に就いていて、次期騎士団長の有力候補である。
逃げ出した恋人たちと…
裏切られた婚約者たち…
いったいどちらが、真実の愛と幸せを、つかむことが出来るのだろうか?
ー END ー
BLではないので、詳しくは書きませんが、恐らくミラドルは女豹のようにプエルト兄さんを捕まえるでしょう(笑)
そしてたぶん… 番になった時に、デシルは妊娠していると思います。サリダ、めちゃくちゃ頑張ったみたいですし(*'▽')
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
お気に入り、エール、たくさんのしおりを付けて下さり、いつもすごく励まされています!
表現不足が、多々ありましたが、それでも最後までお付き合い下さり、感謝感激です(^^)/
また、どこかでお会い出来れば、幸いです☆彡
本来、王宮の警備は王宮騎士団の仕事だが、所属する騎士の人数が少ないため… 社交シーズンの時期だけ、会場の周辺を警備するため、サリダたちも応援に来ているのだ。
「サリダ様はまだ、お仕事中でしょう? 僕とおしゃべりをしていたら、騎士団長様に叱られませんか?」
会いに来てくれたのは、すごく嬉しいけれどね… ただでさえ、僕のために、仕事を休んだり途中で抜け出したり、しているみたいだから、騎士団でひんしゅくを買って、サリダ様が同僚の騎士たちに嫌われたりしていたら、すごく嫌だもの!
サリダの背後に立ちニコニコと微笑んでいる、同僚らしい騎士の目を気にして、デシルはひそひそと耳元で囁くと…
「今夜は地方から出て来た家族が、この舞踏会に招待されている者が多いから、交代でこちらまで会いに来て良いと、騎士団長が直々に許可を出したんだ… それで、今は私たちの番というわけさ!」
「へぇ~… そうなんだ?」
「もう、デシルったら! サリダ様が会いに来てくれて嬉しいと、素直に言えば良いのに!」
側でサリダとデシルの会話を聞いていたミラドルが、クスクスと笑い出した。
「もうミラドル! だって、僕はサリダ様の婚約者だから… いけないことは、いけないと… きちんと言えないと、良い妻になれないでしょう?!」
思わずデシルは顔を赤くして、ミラドルに文句を言った。
サリダと“番”になってから、男爵邸で夫婦のように暮らしてみて、デシルが感じたことだが… 意外とサリダは大雑把な性格だと言うことが、だんだんわかってきた。
アルファとオメガの性差のせいで、デシルがそう感じるのかもしれないが…。
「ありがとう、ミラドル嬢! 私もデシルには、もっと素直に甘えて欲しいと思っているのですよ!」
微笑みながらサリダは、ミラドルにパチンッ… と片目を閉じてウインクをする。
「サリダ様まで!」
ぷぅ~と、デシルはふくれる。
「デシルの可愛い顔を見に来たのも、目的の1つだけど… 母方の従兄を紹介したくて… プエルト兄さん!」
サリダは嬉しそうにニヤニヤと笑いながら、背後をふり向き、デシルが同僚だと思っていた騎士に向かって名前を呼ぶ。
「え? サリダ様の従兄?!」
「プエルト兄さん、私の婚約者デシルと… デシルの親友のミラドル嬢を紹介するよ!」
「サ… サリダ様の婚約者、デシルです!」
あれ? 会ったことが無い人だ?! サリダ様の親類は婚約式の時に会ったはずなのに? サリダ様より、4,5歳ぐらい年上かな?!
従兄だと聞くと雰囲気がサリダ様と似ている気がする… この人もすごく素敵な人だなぁ~! さすがサリダ様と同じ血筋だね!
「初めまして、エスペラル子爵のプエルトです… 暴れん坊の従弟から、君の話はいろいろ聞いているよ! このサリダを選ぶとは… 君は大変な勇者だね!」
「え?」
暴れん坊? サリダ様が?! 勇者? んんん? どういう意味?
「お久しぶりです、エスペラル子爵様」
ミラドルも椅子から立ち上がり、優雅に挨拶をする。
2人はどうやら初対面ではないらしい。
「ミラドル嬢… 確か、パルケ(ミラドルの兄)の婚姻の儀で会った時以来だね?」
「はい」
ミラドルは嬉しそうに微笑んだ。
「実はデシル、プエルト兄さんが休暇をゆずってくれたから、私は多めに休むことが出来ているんだ… もちろん、いつか借りは返す予定だけどね」
「えええ?! サリダ様の休暇?! わあっ… そうなんですか?! ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした、プエルト様!」
ああ、だから僕たちの婚約式でプエルト様に会わなかったのかな?! サリダ様に休暇をゆずったせいで、あの日はお仕事してたから?! うわっ!! 僕たちは何て、ご迷惑をかけているんだ?!
あわててデシルが、ペコペコと頭を下げると… プエルトは困った顔をする。
「いや、良いんだよ… デシル君! 私は君たちとはちがい相手がいない独身者だから。 今のうちにサリダに恩を売っておくのも良いと思っただけなんだ」
大したことはないと、手を振るプエルトに…
「ええ―――っ?! でも… 確か婚約者がいらしたのでは…?」
なぜか驚くミラドル。
「これは参ったな! そうか… ミラドル嬢は私の婚約者に、パルケの婚姻の儀で会っていたね?」
気まずそうに、プエルトは頭をぽりぽりとかく。
「…はい」
「プエルト兄さんの婚約者も、略奪婚を決行されたんだよ」
サリダがプエルトの代わりに、疑問に答えた。
「ええええぇっ?!」
「嘘おぉぉぉっ?!」
デシルとミラドルが同時に小さなさけび声をあげる。
「私と彼は少し年が離れていたし、政略的な婚約だったから… 彼は私との結婚に、抵抗を感じていたのだと思う」
プエルトの婚約者は、なんとデシルやミラドルが卒業した、王立学園の1年後輩で… フリオとアオラが駆け落ちをするきっかけとなった、卒業パーティーにも、手伝いで参加していた。
「何てもったいない……」
瞳をキラリと光らせて、ぽつりとミラドルがつぶやいた。
それもそのはずで、エスペラル子爵プエルトは… 王立騎士団の現副団長の任に就いていて、次期騎士団長の有力候補である。
逃げ出した恋人たちと…
裏切られた婚約者たち…
いったいどちらが、真実の愛と幸せを、つかむことが出来るのだろうか?
ー END ー
BLではないので、詳しくは書きませんが、恐らくミラドルは女豹のようにプエルト兄さんを捕まえるでしょう(笑)
そしてたぶん… 番になった時に、デシルは妊娠していると思います。サリダ、めちゃくちゃ頑張ったみたいですし(*'▽')
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
お気に入り、エール、たくさんのしおりを付けて下さり、いつもすごく励まされています!
表現不足が、多々ありましたが、それでも最後までお付き合い下さり、感謝感激です(^^)/
また、どこかでお会い出来れば、幸いです☆彡
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このお話の登場人物たちの命名は、スペイン語にお世話になりました。 デシル→言う。 騎士サリダ→出口。 婚約者フリオ→寒い。 サリダの婚約者アオラ→今。 デシルの友人ミラドル→展望台。 ミラドルの兄パルケ→公園。 今回も面白い響きの名前ばかりになりました(*´ω`)。覚えにくかったら、すみません! ◯命名センスが最悪なので、異世界モノのお話の時はいつも外国の単語からもらうことにしています☆彡
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