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31話 ヌブラド伯爵家の末路
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地面に膝をついたデシルの華奢な肩をグッ… と、その場に押しとどめるようにつかみ、フリオは怒鳴りつけた。
「何であんな奴と、一緒にいたんだデシル―――ッ!!」
「痛いっ…!! 放して、フリオ?! …何で君が、こんなところにいるの?!」
アオラ様と駆け落ちしたきり、行方不明になっていたはずなのに?! 確か… ヌブラド伯爵家からも、フリオの行方を捜す助力が欲しいと依頼されて… だけど僕の婚約破棄が成立してから、うちには関係無いと、お父様は無視していたけれど……? 何でいまさら、フリオが男爵邸に来たのさ?!
「あいつ! レセプシオン伯爵家のサリダと、何でお前がキスしていたんだよ?!」
「なっ…! そんなこと、フリオには関係無いだろう?!」
何だよこいつ! 僕たちの朝の日課を盗み見ていたの?! 何て無礼な奴なんだ!!
カッ… と頬を赤くして、デシルはフリオをにらみつけた。
「このっ…!! お前はオレの婚約者なんだから、関係が無いわけ、無いだろう?!」
デシルの肩を放し、デシルが着ている上着のエリをグイッ…! とつかんで、フリオは唾を飛ばしながら怒鳴り散らした。
「何を言っているんだよ?! 君とはとっくに婚約破棄が成立しているじゃないか?! 僕はもうサリダ様と婚約しているんだよ?!」
「何だと?!」
「もしかして、知らなかったの?! 新聞にも僕たちが婚約した記事が載ったのに?!」
あれ? フリオは新聞を読む習慣が、無かったっけ?! 僕はお父様が見た後… いつもゴシップ欄が読みたくて、見せてもらっているけど?!
「クソッ! 知るかよ、そんな話!!」
「君がアオラ様と駆け落ちした翌日に、僕のお父さまが婚約破棄の書類を持って、ヌブラド伯爵に会いに行って成立したんだけど?! 伯爵に聞いてないの?!」
「だから、オレの邸に行ったら… 門も扉も締められていて、誰もいなかったんだよ!!」
「ああ…!」
ヌブラド伯爵は僕とフリオの婚約破棄で、婚約の時の契約が不履行となり… 僕の家コンドゥシル男爵家が、今まで事業に提供した資金を全部返さなければいけなくて… 王都のタウンハウスを手放したと、お父様に聞いている。
売られた後の元ヌブラド伯爵邸に、フリオは何も知らずに帰ったのかな?
「どうなっているんだ、いったい!」
「自分は歴史あるヌブラド伯爵家の後継者だと、自分の血に誇りを持っているのなら… 後継者らしく新聞ぐらい読みなよ、フリオ…!」
ヌブラド伯爵は、お父様が持つ共同事業の権利(半分)も買い取らなければいけないから、伯爵家の家や土地を全部売り払っているらしい…(伯爵が男爵家との契約を守らなければ、監獄入りとなる)
そして最期には、資金が無くなり運営の継続が難しくなったヌブラド伯爵は、事業の権利さえ誰かにすべて売ることになる。
だが、恐らくは… 急いで売ることになるため、散々買いたたかれ、相場の半値以下になるだろう。
すべてを売り払い資産を無くした伯爵家は、貴族の義務である税金を国に納められなくなり… 恐らく爵位を国王陛下に返すことになると、サリダ様も言っていた。
つまり、ヌブラド伯爵一家は平民になるのだ。
「何であんな奴と、一緒にいたんだデシル―――ッ!!」
「痛いっ…!! 放して、フリオ?! …何で君が、こんなところにいるの?!」
アオラ様と駆け落ちしたきり、行方不明になっていたはずなのに?! 確か… ヌブラド伯爵家からも、フリオの行方を捜す助力が欲しいと依頼されて… だけど僕の婚約破棄が成立してから、うちには関係無いと、お父様は無視していたけれど……? 何でいまさら、フリオが男爵邸に来たのさ?!
「あいつ! レセプシオン伯爵家のサリダと、何でお前がキスしていたんだよ?!」
「なっ…! そんなこと、フリオには関係無いだろう?!」
何だよこいつ! 僕たちの朝の日課を盗み見ていたの?! 何て無礼な奴なんだ!!
カッ… と頬を赤くして、デシルはフリオをにらみつけた。
「このっ…!! お前はオレの婚約者なんだから、関係が無いわけ、無いだろう?!」
デシルの肩を放し、デシルが着ている上着のエリをグイッ…! とつかんで、フリオは唾を飛ばしながら怒鳴り散らした。
「何を言っているんだよ?! 君とはとっくに婚約破棄が成立しているじゃないか?! 僕はもうサリダ様と婚約しているんだよ?!」
「何だと?!」
「もしかして、知らなかったの?! 新聞にも僕たちが婚約した記事が載ったのに?!」
あれ? フリオは新聞を読む習慣が、無かったっけ?! 僕はお父様が見た後… いつもゴシップ欄が読みたくて、見せてもらっているけど?!
「クソッ! 知るかよ、そんな話!!」
「君がアオラ様と駆け落ちした翌日に、僕のお父さまが婚約破棄の書類を持って、ヌブラド伯爵に会いに行って成立したんだけど?! 伯爵に聞いてないの?!」
「だから、オレの邸に行ったら… 門も扉も締められていて、誰もいなかったんだよ!!」
「ああ…!」
ヌブラド伯爵は僕とフリオの婚約破棄で、婚約の時の契約が不履行となり… 僕の家コンドゥシル男爵家が、今まで事業に提供した資金を全部返さなければいけなくて… 王都のタウンハウスを手放したと、お父様に聞いている。
売られた後の元ヌブラド伯爵邸に、フリオは何も知らずに帰ったのかな?
「どうなっているんだ、いったい!」
「自分は歴史あるヌブラド伯爵家の後継者だと、自分の血に誇りを持っているのなら… 後継者らしく新聞ぐらい読みなよ、フリオ…!」
ヌブラド伯爵は、お父様が持つ共同事業の権利(半分)も買い取らなければいけないから、伯爵家の家や土地を全部売り払っているらしい…(伯爵が男爵家との契約を守らなければ、監獄入りとなる)
そして最期には、資金が無くなり運営の継続が難しくなったヌブラド伯爵は、事業の権利さえ誰かにすべて売ることになる。
だが、恐らくは… 急いで売ることになるため、散々買いたたかれ、相場の半値以下になるだろう。
すべてを売り払い資産を無くした伯爵家は、貴族の義務である税金を国に納められなくなり… 恐らく爵位を国王陛下に返すことになると、サリダ様も言っていた。
つまり、ヌブラド伯爵一家は平民になるのだ。
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このお話の登場人物たちの命名は、スペイン語にお世話になりました。 デシル→言う。 騎士サリダ→出口。 婚約者フリオ→寒い。 サリダの婚約者アオラ→今。 デシルの友人ミラドル→展望台。 ミラドルの兄パルケ→公園。 今回も面白い響きの名前ばかりになりました(*´ω`)。覚えにくかったら、すみません! ◯命名センスが最悪なので、異世界モノのお話の時はいつも外国の単語からもらうことにしています☆彡
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