10 / 47
9話 サリダの婚約事情4 サリダside
しおりを挟む
サリダはアオラがお茶を飲んでいた、ローテーブルに置かれたティーカップをにらみながら、1人で考えを巡らせていた。
「・・・・・・」
アオラに“番”がいることを、私がこのまま証明できなければ、王弟殿下の命令通り、本当に結婚しなければならなくなる。
父親の公爵と、王弟殿下にアオラが逆らえないのはわかるが… 自分の価値をここまで下げて、アオラは本当に私がまともな結婚生活を、保障すると思っているのだろうか?!
そこまで考えて、サリダは頭を振った。
「いや、今は結婚後のことを考えるのは止めよう! それよりもだ…」
とにかく結婚してからでは、何もかもが遅い! 私がアオラの“番”ではないことを証明するのが、今より増々難しくなる!
夫が妻の“番”ではないという主張を、誰が信じると言うのだ? 何よりアオラの言う通り、私は結婚前から妻を寝取られた、惨めなアルファだと、一生そんな醜聞が付いて回ることとなるだろう…
「死んだ方がましだ!!」
胸の中から自分の怒りで、ヂリヂリと焼かれるような不快感が込みあげ… アオラが使っていたティーカップまで憎くなり、サリダはテーブルから払いのけ、カップとソーサーが壁まで飛んでぶつかり、ガンッ… パリンッ…! と派手な音をたてて砕ける。
「フンッ! あんな女と“番の契り”を交わさなくて済んで、私はある意味幸運だったかもしれないな! いくらでも愛人にくれてやる!!」
“番”となればアルファとオメガの本能で結ばれてしまい、大嫌いな相手でも執着心が生まれ、発情期になれば欲しくなるのだから、想像するだけで、サリダには屈辱の地獄である。
アオラの愛人、ヌブラド伯爵家の長男フリオについても、サリダが追加調査させると… 婚約者のコンドゥシル男爵家の令息デシルとの関係は、すでに冷え切っているという報告を受けていた。
学園で顔を合わせても、婚約者デシルは家格の違いから一方的にフリオに無視され、婚約者の義務とも言えるパーティーでのエスコートさえしてもらえないほど、冷遇されているらしい。
「それだけ嫌な思いをしているのなら… きっと婚約者のデシルも、私と同じように、不誠実な尻軽婚約者を、すぐにでも切りすてたいと思っているはずだ!」
そこで、アオラの愛人フリオの婚約者デシルを味方に引き入れたくて… サリダは騎士団の友人パルケに頼み込み、妹の誕生パーティーでデシルを紹介してもらうことにした。
「・・・・・・」
アオラに“番”がいることを、私がこのまま証明できなければ、王弟殿下の命令通り、本当に結婚しなければならなくなる。
父親の公爵と、王弟殿下にアオラが逆らえないのはわかるが… 自分の価値をここまで下げて、アオラは本当に私がまともな結婚生活を、保障すると思っているのだろうか?!
そこまで考えて、サリダは頭を振った。
「いや、今は結婚後のことを考えるのは止めよう! それよりもだ…」
とにかく結婚してからでは、何もかもが遅い! 私がアオラの“番”ではないことを証明するのが、今より増々難しくなる!
夫が妻の“番”ではないという主張を、誰が信じると言うのだ? 何よりアオラの言う通り、私は結婚前から妻を寝取られた、惨めなアルファだと、一生そんな醜聞が付いて回ることとなるだろう…
「死んだ方がましだ!!」
胸の中から自分の怒りで、ヂリヂリと焼かれるような不快感が込みあげ… アオラが使っていたティーカップまで憎くなり、サリダはテーブルから払いのけ、カップとソーサーが壁まで飛んでぶつかり、ガンッ… パリンッ…! と派手な音をたてて砕ける。
「フンッ! あんな女と“番の契り”を交わさなくて済んで、私はある意味幸運だったかもしれないな! いくらでも愛人にくれてやる!!」
“番”となればアルファとオメガの本能で結ばれてしまい、大嫌いな相手でも執着心が生まれ、発情期になれば欲しくなるのだから、想像するだけで、サリダには屈辱の地獄である。
アオラの愛人、ヌブラド伯爵家の長男フリオについても、サリダが追加調査させると… 婚約者のコンドゥシル男爵家の令息デシルとの関係は、すでに冷え切っているという報告を受けていた。
学園で顔を合わせても、婚約者デシルは家格の違いから一方的にフリオに無視され、婚約者の義務とも言えるパーティーでのエスコートさえしてもらえないほど、冷遇されているらしい。
「それだけ嫌な思いをしているのなら… きっと婚約者のデシルも、私と同じように、不誠実な尻軽婚約者を、すぐにでも切りすてたいと思っているはずだ!」
そこで、アオラの愛人フリオの婚約者デシルを味方に引き入れたくて… サリダは騎士団の友人パルケに頼み込み、妹の誕生パーティーでデシルを紹介してもらうことにした。
36
このお話の登場人物たちの命名は、スペイン語にお世話になりました。 デシル→言う。 騎士サリダ→出口。 婚約者フリオ→寒い。 サリダの婚約者アオラ→今。 デシルの友人ミラドル→展望台。 ミラドルの兄パルケ→公園。 今回も面白い響きの名前ばかりになりました(*´ω`)。覚えにくかったら、すみません! ◯命名センスが最悪なので、異世界モノのお話の時はいつも外国の単語からもらうことにしています☆彡
お気に入りに追加
438
あなたにおすすめの小説
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる