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番外編 重ねる日々
DIY
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カルバートンの裏口で行きあったエリオットは数枚の板を抱え、その後ろから尻尾をふりふりついて来たルードは年季の入った金槌の柄を咥えていた。
「何をするんだ?」
「古い巣箱が落ちて壊れてるって庭師が教えてくれたから、新しいの作る」
「巣箱があったのか」
くいっと動いた細いあごの先を追って、庭の方を振り返る。
「気付かなかった」
「あっちこっちにある訳じゃねーからな。たまに巣作りが下手な鳥とか、いいウロを見つけられなかったリスとかが住んでる」
芝生の上に板を下ろし、ポケットから釘の入った紙箱を取り出したエリオットは、手伝いが出来て得意げな愛犬から金槌を受け取った。
以前、同じ場所で寄せ植えを作った。裏口から出たところは適度に拓けているから、天気が良ければちょっとしたDIYの作業場として、もってこいなのだ。
「ノコギリを借りてくるか?」
エリオットが、どう見ても小動物の巣箱にするには長すぎる板を並べるのを見て、バッシュは尋ねる。
「うん。物置のとこにあるから取ってきて」
「了解」
屋敷のなかへ入り、いいところに通りかかったフットマンに手荷物とジャケットを預ける。シャツの袖を肘まで折り返しながら、スタッフが使う階段下の物置へ向かった。エリオットが言った通り、扉の横にノコギリと曲尺が立てかけられている。どうやらはじめから何往復かするつもりだったらしい。
また意外な面を発見したものだ。
放っておいたら自分の生活もおぼつかないのに、小動物の家は手ずから作ろうとするとは。
しかもあの様子からすると、今までもこうした工作は経験済みのようだった。
屋上でなのか、ヘインズの屋敷でなのか。そのあたりの話も聞いてみるかと考えながら、バッシュは大工道具を手に裏口へ戻った。
「何をするんだ?」
「古い巣箱が落ちて壊れてるって庭師が教えてくれたから、新しいの作る」
「巣箱があったのか」
くいっと動いた細いあごの先を追って、庭の方を振り返る。
「気付かなかった」
「あっちこっちにある訳じゃねーからな。たまに巣作りが下手な鳥とか、いいウロを見つけられなかったリスとかが住んでる」
芝生の上に板を下ろし、ポケットから釘の入った紙箱を取り出したエリオットは、手伝いが出来て得意げな愛犬から金槌を受け取った。
以前、同じ場所で寄せ植えを作った。裏口から出たところは適度に拓けているから、天気が良ければちょっとしたDIYの作業場として、もってこいなのだ。
「ノコギリを借りてくるか?」
エリオットが、どう見ても小動物の巣箱にするには長すぎる板を並べるのを見て、バッシュは尋ねる。
「うん。物置のとこにあるから取ってきて」
「了解」
屋敷のなかへ入り、いいところに通りかかったフットマンに手荷物とジャケットを預ける。シャツの袖を肘まで折り返しながら、スタッフが使う階段下の物置へ向かった。エリオットが言った通り、扉の横にノコギリと曲尺が立てかけられている。どうやらはじめから何往復かするつもりだったらしい。
また意外な面を発見したものだ。
放っておいたら自分の生活もおぼつかないのに、小動物の家は手ずから作ろうとするとは。
しかもあの様子からすると、今までもこうした工作は経験済みのようだった。
屋上でなのか、ヘインズの屋敷でなのか。そのあたりの話も聞いてみるかと考えながら、バッシュは大工道具を手に裏口へ戻った。
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