289 / 334
番外編 重ねる日々
Twitter小話7
しおりを挟む別名ヤンキー座り
「アジアンスクワット?」
「そう。このあいだイェオリがしゃがむときにやってたんだよ。あんた、できる?」
「普通のスクワットとは違うのか?」
「違う。こう、膝を閉じたままかかとをつけてしゃがむんだ」
「膝を閉じたままかかとを……ちょっと待て、これ無理だろう」
「な、アキレス腱切れるよな?」
「さすがニンジャ……」
「なんでも忍者を持ち出さないでください」
単なる柔軟性の問題なので、習慣づければだれでもできます。byイェオリ
◇◇◇
ねむくない理由
また始まった。
ティータイムの片づけをしながら、イェオリは苦笑した。
「寝るならこんなところじゃなく、ベッドへ行け。変な寝方したら体を痛めるぞ」
「ねむくない!」
「あくび連発しながらいうことじゃないな」
居間のソファで、見慣れた抗争が勃発していた。
イェオリの主人は不眠気味なところがあるので、その恋人であるバッシュは、彼が眠そうにしていると、とにかく休ませたがる。
エリオットはそれが不満で、だれが見ても眠そうなのに、頑として「眠くない」といい張るのだ。
ささやかな争いは、たいていエリオットが寝落ちして終わるのだが、それもまた彼にとっては面白くなく、意地を張って同じやり取りを繰り返すことになる。
「こいつはどうしてこうなんだ?」
きょうも散々文句をいいながらソファで沈没したエリオットにブランケットをかけ、バッシュがイェオリに尋ねた。
「眠くなるとむずがるとか、赤子か」
「もったいないとお思いなのですよ」
「もったいない? 寝られる時間があるのに寝ないほうがもったいないだろう」
もしかして、気付いていないのだろうか?
イェオリはティーセットのワゴンを押す手を止めて、エリオットを見た。バッシュの膝に頭をのせて、すやすやと幸せそうな寝顔を。
「旦那さまは、思いのほか鈍くていらっしゃいますね」
「は?」
ぽかんと顎を落とすバッシュに会釈して、イェオリは居間から退散した。
ワゴンを押しながら、やれやれと肩をすくめる。
せっかく恋人が来ているのに、寝てしまうのはもったいないに決まっているのに。
イェオリはいかなるときもエリオットの味方なので、いじらしい抵抗をする理由をわざわざ教えてあげたりはしないけれど。
39
お気に入りに追加
442
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる