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05話 プルメリア・レイラ・クレスディは転生者。 ②
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クレスディ伯爵が治める中規模の穀倉地。
伯爵自身もたまに鍬を持って畑を耕す手伝いにくる。
その娘であるプルメリアは、大きな麦わら帽子で顔周りを布でぐるぐる巻いて鍬を振るっていた。
その為、顔は見たことはないが、流石伯爵の娘だと感心するほど働き者だった。
他の領地に住む者から訊くお貴族様とは全く違う領主家族。
凄く変わり者だとすぐ理解したが、距離感の近いこの風変りらしい領主様達を、領民達は尊びとても慕っていた。
そんなこんなで転生者のプルメリア。
貴族令嬢は畑仕事はしないとは分かっているが、当主の父自体が暇が出来たら手伝いに行ったりする人なので、淑女教育を受けてはいるが、令嬢らしく暮らす事はやめた。父親が既に伯爵家当主らしからぬ生活をする人なのだし、と。
前世ではベランダガーデニングしか出来なかったが土いじりが好きだった。
畑など田舎出身でもない限り触れ合う事はまずないので、初めて鍬を持ち父親に畑を耕すレクチャーをして貰った時には、楽しくて仕方が無かった。
ザックザックと畑を耕し充実感を感じているが、どんなに暑い日でも日焼けをしないよう顔や首、腕など露出するところ全て布でぐるぐる巻きである。
畑を耕すというのは当主が率先して行っているので止められないが、美しい白い肌を焼くなんて大変な事だ! と、そこだけは死守しようと使用人達総出で泣きつかれたのだ。
前世で紫外線の怖さを知ってるので、そこはプルメリアもすぐに妥協した。
すぐに暑くなる為、鍬を振るのも休み休みになるのは面倒なのだが仕方ない。
この領地の農業を主力とした所も、領民が領主に似たのか穏やかな気質で、とても平穏な所が居心地良く気に入っていたので、稼いでドレスや宝石が欲しいとも思わなかったし、余計な干渉は(内政チート)するつもりがなかった。
良質な小麦を使用してのこの国の食事事情をもっと良くしてやるわ! と、もっと美味しいパンやパスタやうどんやホワイトソース等を発案し、ソレをやり遂げた先に待っているものを想像して及び腰になったのだ。
小麦には無限の可能性がある。
食べたいものなんて山ほど思いつく。が…面倒な事が起こる確率が高そうなので手を出すのは怖すぎる。
折角、平凡な伯爵家に生まれ、大して社交をしないでも一切責めもしない父が当主だというのに、利権に集ってくる面倒な者をわざわざ引き寄せそうな事はしたくなかった。
前世記憶持ちの転生だから何かしなければならないと言う決まりもない。
神様から転生させられて何かお願いをされている訳でもない。
だから、この世界の住人として日々成長し、のんびりと過ごした。
今思えば、持ってる知識をフルに活かして色々としとくべきだったのかもしれない。
鍬なんて振るって喜んでおらずに、その他大勢の伯爵令嬢と同化し、ドレスや宝石を漁る贅沢な暮らしを夢見るような女の子だと擬態しておくべきだったのかも。
その為に必要な資産を作る努力をたくさんしておくべきだったのだ。
地味で変わり者より、地味でたくさんの中の一人になるべきだった。
そうすれば、あの大魔王たちに目を付けられる事もなかったのではないだろうか?
社交嫌いの父と、その娘。
近隣の領地には近い年齢の子供もおらず、交流はさほど活発ではない。
けれど小麦の交易だけは盛んだったので、今まで父の仕事に着いていっていれば、父は社交しなくても私が社交に精を出して、近隣ではなくとも他の領地の近い年齢の誰かと交流出来たかもしれなかった。
そうすれば、平凡な私にもそこそこの婚約者くらい作れただろう。
流石に婚約者が居る相手を狙う事はしないだろうし。
全ては後の祭りなのだけれど、後悔先に立たずである。
プルメリア本人は己を分かっていない。
父を穏やかで善良なだけの領主としてしか見ていない。
何故、父親が社交嫌いなのか。
それは、父親は見目がすこぶる良い為、令嬢や夫人に群がられるからだった。
独身の時と違い妻がいる時は半数程減ったが、妻亡き後「お慰めしてさしあげたい」と、何故か独身時代の倍に増えた。
社交が元々苦手であったが、現在はバッチリ嫌いである。
下手に儲けて狙われるのが嫌で、資産を増やし過ぎないよう領民に手厚い保護をする事で領民も幸せ、自分も幸せなのだった。
今現在、一人で夜会に参加しようものなら、再婚相手に選ばれ無くても良い妾の座目当ての嫁ぎ遅れた下位貴族令嬢や、連れ添った夫が居るが互いに火遊びをしている似た者夫婦だから浮気に積極的であり、なおかつ爵位が下で妻に先立たれた男は都合が良いと上位貴族のご夫人方にも狙われていた。
プルメリアが十歳の時に妻を亡くしてしまったが、仲の良い夫婦であったのだ。
領民と混じって鍬を振るう風変りな夫の事を妻は尊敬しとても愛おしんでいたのだ。好きな事をして欲しくて領主としての執務を精力的に補佐し、夫が生き易いように心を砕くような献身的な人であった。
そんな聖母のように優しく素晴らしい女性を知ってしまった伯爵は、親戚から再婚に乗り気の令嬢を紹介されたり、釣書をどっさりと送られても、亡くした妻以上に素晴らしい人は現れないと突っぱねて今に至る。
夜会でのギラギラした女達に纏わりつかれれば、草食系の伯爵が怯えて逃げ出し粉をかける隙も無くなるのは当然の事だった。
そんな伯爵の最愛の人であり、プルメリアの母親もすれ違う相手が二度見、三度見するような美しい女性であった。
心も見目も美しい相手、しかも自分にベタ惚れであった伴侶を持った伯爵は、理想がとんでもない位置にあるので、一生再婚は無理だろう。
そんな二人の愛の結晶である、子供のプルメリア。
両親の良い所を総取りしたような顔立ちであるが、本人に自覚はない。
美しいプルメリアを周囲も何故かチヤホヤしなかったので、プルメリアも何処にでもいる普通の女の子だと思っている。
プルメリアは幼い頃から一貫して容姿にかまける事がなく、母親やメイド達が鏡の前にジッと座らせて可愛くしてあげたくとも嫌がるような子だった。
髪は前世でいうポニーテールという高い位置でひとつに結ぶ髪型を好み、しかもそれを自分でやってしまうという自立っぷりを発揮していた。
可愛いドレスは動きにくいからと脱ぎ、平民の男の子が着るような簡素なシャツとズボンに着替えて鍬を振る。
伯爵家だからと淑女教育の時だけは嫌そうにドレスに着替え真面目に楚楚としていたが、終わった瞬間には即着替えて鍬を片手に出かけて行くような子。
始めは「このままでは誰かと婚約する事すら厳しいわ…」と心配した母親が必死な形相をして女の子としてこうあるべきを説いたものだが、やがて「この子はそういう子なのね」と、諦めた。
夫を尊敬し愛し何よりも自由に幸せになって欲しいと願っているようなタイプ。
「愛する夫に似たのかしらね。それならば、せめてデビュタントを迎える二、三年前までは好きにさせてあげたいわ。そこからきっちり教育し直せば、デビュタントまでには間に合うでしょう。」とあっさり切り替えた。
愛する夫との子供フィルターが発動すると、プルメリアの淑女らしくない行動も可愛いものとして認識していたようだ。
鍬を振って土いじりをしたいプルメリアには有難いことである。
プルメリアは、デビュタントを迎えても鍬を持ち、父親と一緒に領民の手伝いに行っている。
誰もプルメリアを諌めない。当主ですらプルメリアに「領民の手伝いに行くのだけれど、プルメリアも行くかい?」なんて言う始末なのだから。
問題を棚上げにする事にした母親も、自分がまさかプルメリアが十歳の時に他界してしまうとは思ってなかっただろう。
知っていたのなら、貴族令嬢としてのプルメリアを心配して、椅子に縛りつけてでも淑女とは何たるかを説いたに違いない。
親の心子知らず。
母親が天国で憂いているかもしれないが、前世の意識が強すぎたプルメリアは、
自分が平民のように地味な容姿だと信じ込んでおり、見目を良くする努力をするよりも、平凡がいいやとほったらかしている。
鍬を持ち土を耕し、種を撒く。
麦の成長を見守り、黄金の稲穂が首を垂れるようになれば刈り取りだ。
土と共に生きる生活をずっとしていたプルメリアは、ドレスも宝石も美しく聞かざる自分にも全く興味が持てない。
しかし、元々の素地は遺伝の神秘で素晴らしいプルメリアは、化粧などせずとも素顔もとても美しいのだが。
令嬢たちが必死になって得ようと手入れして手に入れる透き通るような白肌も、布をぐるぐる巻き鍬を振るって紫外線を浴びて何の手入れもしてないプルメリアは手に入れている。自分で気遣って肌を隠して農作業している訳ではなく、使用人が必死に頼んでという始末。
望む所にはなく、望まぬ所にはある。何とも皮肉なものだった。
ドレス、宝石、贅沢な暮らしを望まない堅実な性格。
美貌の両親の最高の物が遺伝した姿。
他の令嬢にはない魅力を持つプルメリアは、令嬢達が喉から手が出るほどに欲しい男に、シンプルなドレスに身を包み、したかしてないかの薄すぎる化粧ゆえに素材の良さが際立ち、プルメリアが気付かないうちに勝手に見初められていたのであった。
プルメリアがプルメリアである限り、面倒な伴侶を迎えそうな運命はどうあがいても変わらなかったかもしれない。
伯爵自身もたまに鍬を持って畑を耕す手伝いにくる。
その娘であるプルメリアは、大きな麦わら帽子で顔周りを布でぐるぐる巻いて鍬を振るっていた。
その為、顔は見たことはないが、流石伯爵の娘だと感心するほど働き者だった。
他の領地に住む者から訊くお貴族様とは全く違う領主家族。
凄く変わり者だとすぐ理解したが、距離感の近いこの風変りらしい領主様達を、領民達は尊びとても慕っていた。
そんなこんなで転生者のプルメリア。
貴族令嬢は畑仕事はしないとは分かっているが、当主の父自体が暇が出来たら手伝いに行ったりする人なので、淑女教育を受けてはいるが、令嬢らしく暮らす事はやめた。父親が既に伯爵家当主らしからぬ生活をする人なのだし、と。
前世ではベランダガーデニングしか出来なかったが土いじりが好きだった。
畑など田舎出身でもない限り触れ合う事はまずないので、初めて鍬を持ち父親に畑を耕すレクチャーをして貰った時には、楽しくて仕方が無かった。
ザックザックと畑を耕し充実感を感じているが、どんなに暑い日でも日焼けをしないよう顔や首、腕など露出するところ全て布でぐるぐる巻きである。
畑を耕すというのは当主が率先して行っているので止められないが、美しい白い肌を焼くなんて大変な事だ! と、そこだけは死守しようと使用人達総出で泣きつかれたのだ。
前世で紫外線の怖さを知ってるので、そこはプルメリアもすぐに妥協した。
すぐに暑くなる為、鍬を振るのも休み休みになるのは面倒なのだが仕方ない。
この領地の農業を主力とした所も、領民が領主に似たのか穏やかな気質で、とても平穏な所が居心地良く気に入っていたので、稼いでドレスや宝石が欲しいとも思わなかったし、余計な干渉は(内政チート)するつもりがなかった。
良質な小麦を使用してのこの国の食事事情をもっと良くしてやるわ! と、もっと美味しいパンやパスタやうどんやホワイトソース等を発案し、ソレをやり遂げた先に待っているものを想像して及び腰になったのだ。
小麦には無限の可能性がある。
食べたいものなんて山ほど思いつく。が…面倒な事が起こる確率が高そうなので手を出すのは怖すぎる。
折角、平凡な伯爵家に生まれ、大して社交をしないでも一切責めもしない父が当主だというのに、利権に集ってくる面倒な者をわざわざ引き寄せそうな事はしたくなかった。
前世記憶持ちの転生だから何かしなければならないと言う決まりもない。
神様から転生させられて何かお願いをされている訳でもない。
だから、この世界の住人として日々成長し、のんびりと過ごした。
今思えば、持ってる知識をフルに活かして色々としとくべきだったのかもしれない。
鍬なんて振るって喜んでおらずに、その他大勢の伯爵令嬢と同化し、ドレスや宝石を漁る贅沢な暮らしを夢見るような女の子だと擬態しておくべきだったのかも。
その為に必要な資産を作る努力をたくさんしておくべきだったのだ。
地味で変わり者より、地味でたくさんの中の一人になるべきだった。
そうすれば、あの大魔王たちに目を付けられる事もなかったのではないだろうか?
社交嫌いの父と、その娘。
近隣の領地には近い年齢の子供もおらず、交流はさほど活発ではない。
けれど小麦の交易だけは盛んだったので、今まで父の仕事に着いていっていれば、父は社交しなくても私が社交に精を出して、近隣ではなくとも他の領地の近い年齢の誰かと交流出来たかもしれなかった。
そうすれば、平凡な私にもそこそこの婚約者くらい作れただろう。
流石に婚約者が居る相手を狙う事はしないだろうし。
全ては後の祭りなのだけれど、後悔先に立たずである。
プルメリア本人は己を分かっていない。
父を穏やかで善良なだけの領主としてしか見ていない。
何故、父親が社交嫌いなのか。
それは、父親は見目がすこぶる良い為、令嬢や夫人に群がられるからだった。
独身の時と違い妻がいる時は半数程減ったが、妻亡き後「お慰めしてさしあげたい」と、何故か独身時代の倍に増えた。
社交が元々苦手であったが、現在はバッチリ嫌いである。
下手に儲けて狙われるのが嫌で、資産を増やし過ぎないよう領民に手厚い保護をする事で領民も幸せ、自分も幸せなのだった。
今現在、一人で夜会に参加しようものなら、再婚相手に選ばれ無くても良い妾の座目当ての嫁ぎ遅れた下位貴族令嬢や、連れ添った夫が居るが互いに火遊びをしている似た者夫婦だから浮気に積極的であり、なおかつ爵位が下で妻に先立たれた男は都合が良いと上位貴族のご夫人方にも狙われていた。
プルメリアが十歳の時に妻を亡くしてしまったが、仲の良い夫婦であったのだ。
領民と混じって鍬を振るう風変りな夫の事を妻は尊敬しとても愛おしんでいたのだ。好きな事をして欲しくて領主としての執務を精力的に補佐し、夫が生き易いように心を砕くような献身的な人であった。
そんな聖母のように優しく素晴らしい女性を知ってしまった伯爵は、親戚から再婚に乗り気の令嬢を紹介されたり、釣書をどっさりと送られても、亡くした妻以上に素晴らしい人は現れないと突っぱねて今に至る。
夜会でのギラギラした女達に纏わりつかれれば、草食系の伯爵が怯えて逃げ出し粉をかける隙も無くなるのは当然の事だった。
そんな伯爵の最愛の人であり、プルメリアの母親もすれ違う相手が二度見、三度見するような美しい女性であった。
心も見目も美しい相手、しかも自分にベタ惚れであった伴侶を持った伯爵は、理想がとんでもない位置にあるので、一生再婚は無理だろう。
そんな二人の愛の結晶である、子供のプルメリア。
両親の良い所を総取りしたような顔立ちであるが、本人に自覚はない。
美しいプルメリアを周囲も何故かチヤホヤしなかったので、プルメリアも何処にでもいる普通の女の子だと思っている。
プルメリアは幼い頃から一貫して容姿にかまける事がなく、母親やメイド達が鏡の前にジッと座らせて可愛くしてあげたくとも嫌がるような子だった。
髪は前世でいうポニーテールという高い位置でひとつに結ぶ髪型を好み、しかもそれを自分でやってしまうという自立っぷりを発揮していた。
可愛いドレスは動きにくいからと脱ぎ、平民の男の子が着るような簡素なシャツとズボンに着替えて鍬を振る。
伯爵家だからと淑女教育の時だけは嫌そうにドレスに着替え真面目に楚楚としていたが、終わった瞬間には即着替えて鍬を片手に出かけて行くような子。
始めは「このままでは誰かと婚約する事すら厳しいわ…」と心配した母親が必死な形相をして女の子としてこうあるべきを説いたものだが、やがて「この子はそういう子なのね」と、諦めた。
夫を尊敬し愛し何よりも自由に幸せになって欲しいと願っているようなタイプ。
「愛する夫に似たのかしらね。それならば、せめてデビュタントを迎える二、三年前までは好きにさせてあげたいわ。そこからきっちり教育し直せば、デビュタントまでには間に合うでしょう。」とあっさり切り替えた。
愛する夫との子供フィルターが発動すると、プルメリアの淑女らしくない行動も可愛いものとして認識していたようだ。
鍬を振って土いじりをしたいプルメリアには有難いことである。
プルメリアは、デビュタントを迎えても鍬を持ち、父親と一緒に領民の手伝いに行っている。
誰もプルメリアを諌めない。当主ですらプルメリアに「領民の手伝いに行くのだけれど、プルメリアも行くかい?」なんて言う始末なのだから。
問題を棚上げにする事にした母親も、自分がまさかプルメリアが十歳の時に他界してしまうとは思ってなかっただろう。
知っていたのなら、貴族令嬢としてのプルメリアを心配して、椅子に縛りつけてでも淑女とは何たるかを説いたに違いない。
親の心子知らず。
母親が天国で憂いているかもしれないが、前世の意識が強すぎたプルメリアは、
自分が平民のように地味な容姿だと信じ込んでおり、見目を良くする努力をするよりも、平凡がいいやとほったらかしている。
鍬を持ち土を耕し、種を撒く。
麦の成長を見守り、黄金の稲穂が首を垂れるようになれば刈り取りだ。
土と共に生きる生活をずっとしていたプルメリアは、ドレスも宝石も美しく聞かざる自分にも全く興味が持てない。
しかし、元々の素地は遺伝の神秘で素晴らしいプルメリアは、化粧などせずとも素顔もとても美しいのだが。
令嬢たちが必死になって得ようと手入れして手に入れる透き通るような白肌も、布をぐるぐる巻き鍬を振るって紫外線を浴びて何の手入れもしてないプルメリアは手に入れている。自分で気遣って肌を隠して農作業している訳ではなく、使用人が必死に頼んでという始末。
望む所にはなく、望まぬ所にはある。何とも皮肉なものだった。
ドレス、宝石、贅沢な暮らしを望まない堅実な性格。
美貌の両親の最高の物が遺伝した姿。
他の令嬢にはない魅力を持つプルメリアは、令嬢達が喉から手が出るほどに欲しい男に、シンプルなドレスに身を包み、したかしてないかの薄すぎる化粧ゆえに素材の良さが際立ち、プルメリアが気付かないうちに勝手に見初められていたのであった。
プルメリアがプルメリアである限り、面倒な伴侶を迎えそうな運命はどうあがいても変わらなかったかもしれない。
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