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23話 動き出す直前。
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トントントン…
指先で書類をリズム良く叩きながら、クロードは先程終えた面談を振り返った。
下位貴族の子息から始まり上位貴族の子息まで。
質疑応答に答える子息達は、質問を投げかける魔法師団長よりもクロードの方が気になるのかやけに視線を感じた。
魅了耐性を底上げする魔道具を一人一人に二種類配り、対象者に接触する学園では、絶対に外す事のないように厳命した。
貴族には容姿に秀でたものが多い。
魔法師団長も学園での子爵令嬢の話を耳に挟んだのか、特に見目麗しい者が揃っているようだ。
俺がわざわざ出向く事なく終えれるかもしれないなと内心で安堵した。
そして最後に優秀だと噂される平民二名と面談した。
魔法師団長に最後に連れてくるようにと根回ししておいたのだ。
意外にも見目麗しい二人であった、貴族の御手付きの末の子供ではあるまいな…?
二人はカイとユクスという。
平民であるが故なのか、それともこの二人がおかしいのか、俺が魔法師団長の隣に座っていても飄々としていた。
溌剌としていて、魔法師団長と話す姿は飼い主に懐く犬(おっと失礼)のようだった。
―――嫌いじゃない。
思わずニヤリと笑ってしまう。
能力次第ではあるが、駒として使えるなら使いたいところだ。
今回の任務の見た目では及第点だが、所作が荒い。
荒削りな部分に周りに居ないタイプだと令嬢が魅力を感じてくれる線にかけるか、それとも矯正するか。
とりあえず、今は様子見だな。
魔道具を二種類渡し、学園では「絶対に外すな」と厳命する。
一度卒業した学園にまた通う事が嬉しいと喜ばれる。
「なぜ?」と訊くと、「もう一度学べる!」と答えた。
平民と侮るなかれ、知識に貪欲な人間は化けるものだ。
魔法師団長を見遣ると、同じ思いを抱いたのか嬉しそうに頷いている。
この二人に目をかけているというのは本当らしい。
学びたい平民が居るなら学べる環境を提供出来るように何が出来るか。
一度、議会で提案してもいいかもしれない。
魅了耐性プログラムを終え、いよいよ学園へと送り込む日になった。
まずは下位貴族の子息から子爵令嬢へ接点を持たせる。
装身具の確認をしながら、魅了に掛かったように夢中になってみせ、懇意にしている上位貴族が居ると会話の中に織り交ぜつつ、子爵令嬢から上位貴族を紹介して欲しい。と言わせるように誘導する。
魔法師団員で包囲する環境を作り、他の生徒への害がないようしながら、子爵令嬢の警戒を解き、夢中にさせてから魅了魔法の発生元の装身具の入手に動く。
「作戦通りにいけば、ひと月掛からないだろう。」
魅了プログラムに関わっていた事で溜まりに溜まった書類をどんどん捌く。
「そんなに上手く行きますかね?」
マルセルが書類を捌く手を止めずにぼやく。
「行くといいな、ではない。行かせるんだよ。」
クロードは妙にイラッとして言い返す。
「クシャナ子爵令嬢でしたよね? 例の令嬢。ただの男好きかと思ってましたけど、それだけでは無い嫌な感じがするんですよねー…ただの杞憂ならいいんですけど。」
「お前がそんな事ぼやく時はろくでもない事しか起きないんだから口を慎め。」
「そんなー、政務書類頑張ってる側近にかける言葉ですか!?」
書類から顔を上げ騒がしいマルセルを見る。
構って欲しいとマルセルの顔に書いてある気がする為、放置する事にした。
いや、我慢できない。一言は言わせてもらう。
「お前、最近ちょっと馴れ馴れし過ぎないか?」
「側近特権です。」
やっぱり放置する事にした。
「アインス、ヌル、居るか?」
「ええー構ってくださいよー」と騒ぐ側近を無視し、影を呼ぶ。
「はい、ここに。」
「アインス、ここに。」
影からぬうっと浮かび上がるように現れる二人。
「報告は受けた。クシャナ子爵令嬢に不穏の動きはないとの事だったが、とある屋敷に令息数人と滞在、昼も夜もなく破廉恥極まりない。とは―――
そういうことか?」
「そういうことです、殿下。」
「気持ちの悪い声ばっかりしてた。思い出すだけで吐き気がする。」
酷く顔を歪めて語るヌルとアインス。
子爵とはいえ令嬢だろうに。
貞操観念のない令嬢が行きつく先は、修道院か父親より年寄りの後妻くらいだが。
魅了の力でどうとでもなると思ってるのだとしたら、その力を奪われる事は耐えられないだろうな―――
禁忌された魔道具を使用し、魅了の力を使っているのだから、処刑は免れないだろう。
修道院か年寄りの後妻の方が幸せだったかもな。
一抹の憐れみを感じるが、自分の欲望の為に人の精神に干渉した罪は大きい。
ちゃんと償ってもらわなければならない。
「引き続き、クシャナ子爵令嬢の身辺を探り報告してくれ。」
「承知しました。」
「ツヴァイかフィーアとかわりたい……。」
ヌルに腕を取られ強引に影に引き込まれるアインス。
「丁度魔道具関連について報告をあげて欲しかったとこだ。ツヴァイかフィーアに掛け合うだけはしてやろう。」
アインスが影からまたぴょこんと顔だけ出して「ありがとうございます」とお礼を言うと、また影に溶け込むように消えていった。
「私は、何て人使いの荒い殿下だと思ってましたけど。
殿下と一緒に膨大な政務の書類を捌いてる方が幸せそうですね。」
マルセルがしみじみと語った。
指先で書類をリズム良く叩きながら、クロードは先程終えた面談を振り返った。
下位貴族の子息から始まり上位貴族の子息まで。
質疑応答に答える子息達は、質問を投げかける魔法師団長よりもクロードの方が気になるのかやけに視線を感じた。
魅了耐性を底上げする魔道具を一人一人に二種類配り、対象者に接触する学園では、絶対に外す事のないように厳命した。
貴族には容姿に秀でたものが多い。
魔法師団長も学園での子爵令嬢の話を耳に挟んだのか、特に見目麗しい者が揃っているようだ。
俺がわざわざ出向く事なく終えれるかもしれないなと内心で安堵した。
そして最後に優秀だと噂される平民二名と面談した。
魔法師団長に最後に連れてくるようにと根回ししておいたのだ。
意外にも見目麗しい二人であった、貴族の御手付きの末の子供ではあるまいな…?
二人はカイとユクスという。
平民であるが故なのか、それともこの二人がおかしいのか、俺が魔法師団長の隣に座っていても飄々としていた。
溌剌としていて、魔法師団長と話す姿は飼い主に懐く犬(おっと失礼)のようだった。
―――嫌いじゃない。
思わずニヤリと笑ってしまう。
能力次第ではあるが、駒として使えるなら使いたいところだ。
今回の任務の見た目では及第点だが、所作が荒い。
荒削りな部分に周りに居ないタイプだと令嬢が魅力を感じてくれる線にかけるか、それとも矯正するか。
とりあえず、今は様子見だな。
魔道具を二種類渡し、学園では「絶対に外すな」と厳命する。
一度卒業した学園にまた通う事が嬉しいと喜ばれる。
「なぜ?」と訊くと、「もう一度学べる!」と答えた。
平民と侮るなかれ、知識に貪欲な人間は化けるものだ。
魔法師団長を見遣ると、同じ思いを抱いたのか嬉しそうに頷いている。
この二人に目をかけているというのは本当らしい。
学びたい平民が居るなら学べる環境を提供出来るように何が出来るか。
一度、議会で提案してもいいかもしれない。
魅了耐性プログラムを終え、いよいよ学園へと送り込む日になった。
まずは下位貴族の子息から子爵令嬢へ接点を持たせる。
装身具の確認をしながら、魅了に掛かったように夢中になってみせ、懇意にしている上位貴族が居ると会話の中に織り交ぜつつ、子爵令嬢から上位貴族を紹介して欲しい。と言わせるように誘導する。
魔法師団員で包囲する環境を作り、他の生徒への害がないようしながら、子爵令嬢の警戒を解き、夢中にさせてから魅了魔法の発生元の装身具の入手に動く。
「作戦通りにいけば、ひと月掛からないだろう。」
魅了プログラムに関わっていた事で溜まりに溜まった書類をどんどん捌く。
「そんなに上手く行きますかね?」
マルセルが書類を捌く手を止めずにぼやく。
「行くといいな、ではない。行かせるんだよ。」
クロードは妙にイラッとして言い返す。
「クシャナ子爵令嬢でしたよね? 例の令嬢。ただの男好きかと思ってましたけど、それだけでは無い嫌な感じがするんですよねー…ただの杞憂ならいいんですけど。」
「お前がそんな事ぼやく時はろくでもない事しか起きないんだから口を慎め。」
「そんなー、政務書類頑張ってる側近にかける言葉ですか!?」
書類から顔を上げ騒がしいマルセルを見る。
構って欲しいとマルセルの顔に書いてある気がする為、放置する事にした。
いや、我慢できない。一言は言わせてもらう。
「お前、最近ちょっと馴れ馴れし過ぎないか?」
「側近特権です。」
やっぱり放置する事にした。
「アインス、ヌル、居るか?」
「ええー構ってくださいよー」と騒ぐ側近を無視し、影を呼ぶ。
「はい、ここに。」
「アインス、ここに。」
影からぬうっと浮かび上がるように現れる二人。
「報告は受けた。クシャナ子爵令嬢に不穏の動きはないとの事だったが、とある屋敷に令息数人と滞在、昼も夜もなく破廉恥極まりない。とは―――
そういうことか?」
「そういうことです、殿下。」
「気持ちの悪い声ばっかりしてた。思い出すだけで吐き気がする。」
酷く顔を歪めて語るヌルとアインス。
子爵とはいえ令嬢だろうに。
貞操観念のない令嬢が行きつく先は、修道院か父親より年寄りの後妻くらいだが。
魅了の力でどうとでもなると思ってるのだとしたら、その力を奪われる事は耐えられないだろうな―――
禁忌された魔道具を使用し、魅了の力を使っているのだから、処刑は免れないだろう。
修道院か年寄りの後妻の方が幸せだったかもな。
一抹の憐れみを感じるが、自分の欲望の為に人の精神に干渉した罪は大きい。
ちゃんと償ってもらわなければならない。
「引き続き、クシャナ子爵令嬢の身辺を探り報告してくれ。」
「承知しました。」
「ツヴァイかフィーアとかわりたい……。」
ヌルに腕を取られ強引に影に引き込まれるアインス。
「丁度魔道具関連について報告をあげて欲しかったとこだ。ツヴァイかフィーアに掛け合うだけはしてやろう。」
アインスが影からまたぴょこんと顔だけ出して「ありがとうございます」とお礼を言うと、また影に溶け込むように消えていった。
「私は、何て人使いの荒い殿下だと思ってましたけど。
殿下と一緒に膨大な政務の書類を捌いてる方が幸せそうですね。」
マルセルがしみじみと語った。
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