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閑話 魔法大国インフェリア皇国について。
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インフェリア皇国は、この世界において唯一の広大なオールロード大陸において二番目に領土を所有する大国である。
大陸の広さを簡単に説明すると、サフィリーンの前世に実在していたアジア大陸という広大な土地面積の十倍程の広さであると例えれるだろうか。
サフィリーン自身も、アジア大陸の広さを地図と数字でしか広さを認識出来ておらず、この世界のオールロード大陸も地図と数字で十倍程だなと思ったに過ぎない。
二番目ということは、一番目が存在しているのだが、その国とインフェリア皇国との間には5つの国を挟んでいるので、敵対する事も同盟協力する必要性や旨みもインフェリア皇国においてはない為、没交渉の国である。
――インフェリア皇国が興味を持っていないだけで、相手国は魔法大国に大変興味を示しているのだが。
広大なオールロード大陸には地図上に存在する国家が大小合わせて二十ヵ国ほど。各自様々な分野で発展を遂げ、唯一の大陸とはいえ文化の協調は無く独自の文化を築き上げていた。
不思議な事に、同じ季節を共有していながら、その土地で育つ食物も異なったものが生まれたりするのだ。
勿論、衣服も装飾品も国々で異なり、隣国ですらガラリと違った文化を持った異国になるのだ。
育つ食物すら違ってしまうのは魔素の質が土地により異なる為に、多種多様な国になるのではないかと専門家は分析している。
そう。オールロード大陸の土地には魔力の源である魔素が多く含まれている。
多少の増減は土地によりあるのだが、オールロードに存在するどの土地も万遍なく魔素持ちの土である。
その魔素が含んだ土地で育った食物類は多く魔素を含んでいる為、人間が口にする食べものからは自然と魔素が魔力の栄養素として摂取している。
インフェリア皇国の土地は大陸で一番に魔素が濃い。
魔素が薄い土とは何百倍も違う程に差があった。
皇国の平民ですら魔力持ちなのは、その濃度の濃い魔素を日常的に摂取しているからではないかと言われている。
インフェリア皇国は、オールロード大陸の国々の中で特に力のある三強国に名を連ねる一国である。
ここの皇国民は魔力持ちが多く、その流れから自然と魔法や魔術の研究が凄いスピードで進み続け、魔法・魔術の分野において、現在、他国の追随を許さず圧倒的な強さを誇る魔法大国である。
攻守に優れた魔法発掘・開発や、魔術による結界陣は見事で、魔素の土地特有の動物が変質した魔物の侵攻からも国を守護している。
そんなインフェリア皇国と繋ぎを作りたい他国は当然の如く多いのだが、基本的にインフェリア皇国は他国の血を自国に入れるのを嫌う為、王侯貴族の婚姻に寄る同盟は成された事がなかった。
特に皇族は器の大小で後継者の誕生が左右される為、インフェリア皇国民以外から娶る価値など見出せないのである。
魔力が突出して豊富で質も高い皇国貴族の血を己が国に取り入れたい他国の王侯貴族は多く、幼少時から数多のアプローチをインフェリア皇国の貴族の子息令嬢は受ける。
上位貴族であればあるほど凄まじい量の他国の釣書を送りつけられるが、その婚約が成立する事はない。
何故なら皇国法により他国に嫁いだり婿入りするのは男爵・子爵位の子息令嬢までとなっていた。
自国の優秀な血を他国に流出するのを防ぐ手立てである。
男爵・子爵位の子息令嬢ですら他国民に比べ魔力量も多く質も高い。
商会を経営しており販路拡大の為に他国との繋ぎを作りたい例外でも無ければ、殆どはインフェリア皇国の者同士で婚約・婚姻するのが一般的なのだ。
何故、皇国法で規制してまで上位貴族の子息令嬢との他国の者との婚約婚姻を禁止しているのか。
それは、魔力量の遺伝にある。
魔力量の多さは位が高くなればなる程に多くなり、高位貴族と下位貴族子息令嬢との差異は何倍にもなる。
下位貴族が総魔力量で中級魔法を五発程撃てる量だとしたら、上位貴族は上級魔法を三十発撃てる程に違う。
皇国法に制定される決定打になったのは、高位貴族に誕生する子供の多くが魔力量が多く、親から子への遺伝率がほぼ百パーセントであった。
魔力量と質の正確な遺伝は皇国の力の安定に繋がる。
高位貴族同士と片方が下位貴族の遺伝を調査した結果、下位貴族は器により妊娠するまでの期間が長く、やっと妊娠したとしても上位貴族の魔力量の遺伝にばらつきがあった。
自然と上位貴族は上位貴族同士と婚約婚姻をする事になった。
せつない事だが、魔力量を保持する為の政略的な婚姻は上位貴族同士で済ませ、愛する者が下位貴族だった場合の多くは愛人として囲うという事になる。
断定は未だ出来ないが、一節によると器が関係しており、器の大きさによって魔力の多さや遺伝の強さが決まるらしいと言われている。
そして、器の大きさは鍛錬によって大きく成長出来るものではなく、この世に誕生してからの生まれもった物である為に、器の大きい遺伝子を持つ高位貴族達は皇国にとって国力を維持する為にも貴重であり、長い目で見ても流出させてはならないのだ。
器の大きい上位貴族の令嬢が産む子供は、稀に本来の親の器の大きさよりも子の方が器が大きく産まれてくる事がある。
そして、爵位が上に行くほどに女の子が生まれづらい。
皇子の年代の公爵位に女子がサフィリーンしかいないのはその為である。
皇子誕生の一年後にサフィリーンが誕生したのは重畳だった。
皇子の器はとても大きく、それに見合う器の誕生が何年先になるか、それとも生まれないままか心配されたのだ。
サフィリーンの器が皇子よりも少し大きかったのは想定外であったが。
大陸の広さを簡単に説明すると、サフィリーンの前世に実在していたアジア大陸という広大な土地面積の十倍程の広さであると例えれるだろうか。
サフィリーン自身も、アジア大陸の広さを地図と数字でしか広さを認識出来ておらず、この世界のオールロード大陸も地図と数字で十倍程だなと思ったに過ぎない。
二番目ということは、一番目が存在しているのだが、その国とインフェリア皇国との間には5つの国を挟んでいるので、敵対する事も同盟協力する必要性や旨みもインフェリア皇国においてはない為、没交渉の国である。
――インフェリア皇国が興味を持っていないだけで、相手国は魔法大国に大変興味を示しているのだが。
広大なオールロード大陸には地図上に存在する国家が大小合わせて二十ヵ国ほど。各自様々な分野で発展を遂げ、唯一の大陸とはいえ文化の協調は無く独自の文化を築き上げていた。
不思議な事に、同じ季節を共有していながら、その土地で育つ食物も異なったものが生まれたりするのだ。
勿論、衣服も装飾品も国々で異なり、隣国ですらガラリと違った文化を持った異国になるのだ。
育つ食物すら違ってしまうのは魔素の質が土地により異なる為に、多種多様な国になるのではないかと専門家は分析している。
そう。オールロード大陸の土地には魔力の源である魔素が多く含まれている。
多少の増減は土地によりあるのだが、オールロードに存在するどの土地も万遍なく魔素持ちの土である。
その魔素が含んだ土地で育った食物類は多く魔素を含んでいる為、人間が口にする食べものからは自然と魔素が魔力の栄養素として摂取している。
インフェリア皇国の土地は大陸で一番に魔素が濃い。
魔素が薄い土とは何百倍も違う程に差があった。
皇国の平民ですら魔力持ちなのは、その濃度の濃い魔素を日常的に摂取しているからではないかと言われている。
インフェリア皇国は、オールロード大陸の国々の中で特に力のある三強国に名を連ねる一国である。
ここの皇国民は魔力持ちが多く、その流れから自然と魔法や魔術の研究が凄いスピードで進み続け、魔法・魔術の分野において、現在、他国の追随を許さず圧倒的な強さを誇る魔法大国である。
攻守に優れた魔法発掘・開発や、魔術による結界陣は見事で、魔素の土地特有の動物が変質した魔物の侵攻からも国を守護している。
そんなインフェリア皇国と繋ぎを作りたい他国は当然の如く多いのだが、基本的にインフェリア皇国は他国の血を自国に入れるのを嫌う為、王侯貴族の婚姻に寄る同盟は成された事がなかった。
特に皇族は器の大小で後継者の誕生が左右される為、インフェリア皇国民以外から娶る価値など見出せないのである。
魔力が突出して豊富で質も高い皇国貴族の血を己が国に取り入れたい他国の王侯貴族は多く、幼少時から数多のアプローチをインフェリア皇国の貴族の子息令嬢は受ける。
上位貴族であればあるほど凄まじい量の他国の釣書を送りつけられるが、その婚約が成立する事はない。
何故なら皇国法により他国に嫁いだり婿入りするのは男爵・子爵位の子息令嬢までとなっていた。
自国の優秀な血を他国に流出するのを防ぐ手立てである。
男爵・子爵位の子息令嬢ですら他国民に比べ魔力量も多く質も高い。
商会を経営しており販路拡大の為に他国との繋ぎを作りたい例外でも無ければ、殆どはインフェリア皇国の者同士で婚約・婚姻するのが一般的なのだ。
何故、皇国法で規制してまで上位貴族の子息令嬢との他国の者との婚約婚姻を禁止しているのか。
それは、魔力量の遺伝にある。
魔力量の多さは位が高くなればなる程に多くなり、高位貴族と下位貴族子息令嬢との差異は何倍にもなる。
下位貴族が総魔力量で中級魔法を五発程撃てる量だとしたら、上位貴族は上級魔法を三十発撃てる程に違う。
皇国法に制定される決定打になったのは、高位貴族に誕生する子供の多くが魔力量が多く、親から子への遺伝率がほぼ百パーセントであった。
魔力量と質の正確な遺伝は皇国の力の安定に繋がる。
高位貴族同士と片方が下位貴族の遺伝を調査した結果、下位貴族は器により妊娠するまでの期間が長く、やっと妊娠したとしても上位貴族の魔力量の遺伝にばらつきがあった。
自然と上位貴族は上位貴族同士と婚約婚姻をする事になった。
せつない事だが、魔力量を保持する為の政略的な婚姻は上位貴族同士で済ませ、愛する者が下位貴族だった場合の多くは愛人として囲うという事になる。
断定は未だ出来ないが、一節によると器が関係しており、器の大きさによって魔力の多さや遺伝の強さが決まるらしいと言われている。
そして、器の大きさは鍛錬によって大きく成長出来るものではなく、この世に誕生してからの生まれもった物である為に、器の大きい遺伝子を持つ高位貴族達は皇国にとって国力を維持する為にも貴重であり、長い目で見ても流出させてはならないのだ。
器の大きい上位貴族の令嬢が産む子供は、稀に本来の親の器の大きさよりも子の方が器が大きく産まれてくる事がある。
そして、爵位が上に行くほどに女の子が生まれづらい。
皇子の年代の公爵位に女子がサフィリーンしかいないのはその為である。
皇子誕生の一年後にサフィリーンが誕生したのは重畳だった。
皇子の器はとても大きく、それに見合う器の誕生が何年先になるか、それとも生まれないままか心配されたのだ。
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