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16話 ヤバイ令嬢達に絡まれた…その後居なくなる。
しおりを挟む「貴方のような方は、殿下に相応しくありませんわ。国内の婚約者などで間に合わせるよりも、さらに上の素晴らしい婚約を結び直すべきですわ。
いつだって情勢は変わるもの。いまが平和だからといって、その平和が永遠に続くわけではありませんのよ。他国の王族と結びつき婚姻によって締結する強固な同盟を結ぶ事こそ、この皇国を愛する聡明でお美しい殿下に相応しい縁談ですわ。」
と、キラッキラの笑顔でながーい科白を言ってた王女、どんな事があろうともクロード皇子の皇妃の座を引き下がりそうになかったんだけど、いつの間にか自国に戻ってたよね。
クロード皇子の奇行でもへこたれてなかったし、私のこと「傾国の悪女」とか言ってたけど、まだ何もしてませんけど…言葉の使い方間違ってるよと言われる度に思ってた。
最後に絡まれた時は何ていってたかなー…ああ、
「殿方って、毎日豪華な食事を食べ続けていると、たまには素朴な味を食べたくなるらしいですわ。
仕方ありませんわね…貴方を側妃にしてあげてもいいですわよ。
貴方も長い間婚約者だったのですし、クロード殿下も情が湧きもしますわ。
わたくしとクロード殿下が婚姻して三年後に側妃として迎えてあげてもよろしくてよ。ああでも、クロード殿下の愛する妃はわたくしなのだから、身の程は弁えて頂戴ね?」
などと言われた翌日からお姿が見えなくなって、やがて誰かが「ああ、あの目障りなゴ…んんっ、いつの間にか自国に帰っていましたよ。何を学びに来たのでしょうね?」って言ってた。
いや、誰じゃない、クロード皇子が言ってたんだった。
じゃあ、やっぱり逃げ帰りたくなるほど怖がらせたんだろうなぁ・・・皇子が。
序列無視のお花畑令嬢方々は、
「貴方のような美しい事と器が大きいだけが取り柄の令嬢に、殿下は渡しませんわっ。我が侯爵家は建国から続く由緒ある歴史を持ち、皇帝に絶対の忠誠を誓い続けた忠臣貴族。
その血筋を受け継ぐ私は、貴方に縛りつけられる殿下が不憫で見ていられませんの! 何年間も殿下のお手を煩わせたのでしょう? お手を煩わせた貴方が殿下にしてあげられる事は、婚約解消を願い出る事しかないですわ。
私は私の愛で必ずやクロード殿下の子を成してみせますから!」
どうみても煩わされてるの私だと思うんだけどな…いや皇族に公爵家が解消願い出れるわけないでしょう。何を学んできたの。
それと、建国から続く由緒ある歴史を持ち忠臣ってウチの公爵家もですけど…
何なら何度か王女が嫁いできてくれてるので、皇家の血もありますけど…
貴族名鑑の名前だけ憶えてないで、その家の歴史もサラッと記載されてるじゃない。そこもちゃんと読んで学んでます?
器は大事でしょうよ…だって後継産むのが皇太子妃の一番大事なことですよ。
物凄く時間をかけてやっと一人生まれるか生まれないより、ぽこぽこ産まないと。
クロード殿下しか皇位継承者いないよね? 次代はそれなりに数を産んで安定させなきゃ。
あ、でも美しいだけが取り柄って褒めてくれてるの?
クロード皇子の方が美しすぎて、自分もそこそこ綺麗なの忘れてたわ、有り難う。
口にはしないけど、キィキィ言われるの聞きながら考えてた。
耳が痛くなってきたので、
「クロード殿下の婚約者の座が欲しいのでしたら、私が伝えておきますわね。私より殿下の隣に相応しいと確信してる方がおりますよって。」
って話してやっと解放して貰い、クロード皇子に言うの忘れてたら、翌日から私と目が合うだけで怯えたように逃げられた。
なんなんだ。
後の、伯爵子爵男爵令嬢達は似たような感じだったな。
「クロード殿下との本当の真実の愛の相手は私です。本当に愛する相手と結ばれない苦しさに、いつも辛そうな顔で私を見つめてくるのが私も辛いのです。
クロード殿下を解放してあげてください。お願いします…っ」
と、大体涙ながらに訴えてくるという流れだった。
クロード殿下は黙って我慢するタイプじゃないよなー、真実の愛とか見つけちゃったらサッサと婚約解消するし。
ああ、でも器が関係してるなら皇妃は私で愛妾じゃないかな?
真実の愛で子を成せるなら皆困ってないし、私なんて生まれた時から婚約者内定してないよ。
「魔力の器の事について一度勉強し直した方がいいですわ。貴方の器だと愛妾としては受け入れて貰えるんじゃないでしょうか。
ただ、私は真実の愛を邪魔するつもりもないですし、側妃や愛妾を召したいのであれば、婚約を解消して貰ってからになりますが。」
というやり取りをした令嬢や、
「私とクロード様は、昨夜、愛を確かめ合いました。
私のお腹にはクロード様との愛の結晶が宿ったかもしれませんの。」
「魔力の器関係なしに一夜で身籠れたとしたら素晴らしいですね。
クロード殿下にお伝えして、私はお役御免させて頂きますね。」
虚言にしても自分の家が潰されたり、下手したら己が処刑されるレベルの話だって理解してるんだろうか…。
皇族の跡継ぎ問題の虚言は平民の恋人同士のレベルで済まされないよ。
男爵家だと平民に近いのかに…理解してないだろうなって事を話してきたヤバイ令嬢も。
「私は魔道具作りが大得意ですの。どんな魔道具でも作る事ができますわ。
うちは大きな商会も運営しており、複数の他国との流通ルートも確保しています。
きっと皇国の財源に多大なる貢献が出来ると思っておりますの。
インフェリア皇国はかなりの大国ですが、国として使える資金が潤沢にあればあるほど力となりますわ。
皇妃は世継ぎが第一の為、貴方にさしあげます。
私は側妃として、お慕いするクロード殿下にお力添えをしたいと思っておりますの。」
そこそこまともな事を言ってるなー、と思ったけれど。
でも、私、自分の旦那様を他の女と分け合うの嫌なのよね。
「そうですか。それを判断するのは私ではありませんし、クロード殿下の思いをお聞きになって下さい。
私は未だ婚約者の身です。側妃選定の話も出ていないうちから迂闊な事を発言するのは控えた方がお互いの為ですよ?」
あの令嬢達、元気してるかな。
最近見かけないけれど。
あ、一人だけ目が合うだけで逃げてく人いたね。
アレ? でもあの方も最近見ないな……もしかして……?
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☆作者プロフィール☆
商業BL小説を書いています。
よろしくお願いします🙇
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