上 下
17 / 24

16話 ヤバイ令嬢達に絡まれた…その後居なくなる。

しおりを挟む

「貴方のような方は、殿下に相応しくありませんわ。国内の婚約者などで間に合わせるよりも、さらに上の素晴らしい婚約を結び直すべきですわ。
 いつだって情勢は変わるもの。いまが平和だからといって、その平和が永遠に続くわけではありませんのよ。他国の王族と結びつき婚姻によって締結する強固な同盟を結ぶ事こそ、この皇国を愛する聡明でお美しい殿下に相応しい縁談ですわ。」

 と、キラッキラの笑顔でながーい科白を言ってた王女、どんな事があろうともクロード皇子の皇妃の座を引き下がりそうになかったんだけど、いつの間にか自国に戻ってたよね。
 クロード皇子の奇行でもへこたれてなかったし、私のこと「傾国の悪女」とか言ってたけど、まだ何もしてませんけど…言葉の使い方間違ってるよと言われる度に思ってた。
 最後に絡まれた時は何ていってたかなー…ああ、

「殿方って、毎日豪華な食事を食べ続けていると、たまには素朴な味を食べたくなるらしいですわ。
 仕方ありませんわね…貴方を側妃にしてあげてもいいですわよ。
 貴方も長い間婚約者だったのですし、クロード殿下も情が湧きもしますわ。
 わたくしとクロード殿下が婚姻して三年後に側妃として迎えてあげてもよろしくてよ。ああでも、クロード殿下の愛する妃はわたくしなのだから、身の程は弁えて頂戴ね?」

 などと言われた翌日からお姿が見えなくなって、やがて誰かが「ああ、あの目障りなゴ…んんっ、いつの間にか自国に帰っていましたよ。何を学びに来たのでしょうね?」って言ってた。
 いや、誰じゃない、クロード皇子が言ってたんだった。

 じゃあ、やっぱり逃げ帰りたくなるほど怖がらせたんだろうなぁ・・・皇子が。


 序列無視のお花畑令嬢方々は、

「貴方のような美しい事と器が大きいだけが取り柄の令嬢に、殿下は渡しませんわっ。我が侯爵家は建国から続く由緒ある歴史を持ち、皇帝に絶対の忠誠を誓い続けた忠臣貴族。
 その血筋を受け継ぐ私は、貴方に縛りつけられる殿下が不憫で見ていられませんの! 何年間も殿下のお手を煩わせたのでしょう? お手を煩わせた貴方が殿下にしてあげられる事は、婚約解消を願い出る事しかないですわ。
 私は私の愛で必ずやクロード殿下の子を成してみせますから!」

 どうみても煩わされてるの私だと思うんだけどな…いや皇族に公爵家が解消願い出れるわけないでしょう。何を学んできたの。
 それと、建国から続く由緒ある歴史を持ち忠臣ってウチの公爵家もですけど…
 何なら何度か王女が嫁いできてくれてるので、皇家の血もありますけど…
 貴族名鑑の名前だけ憶えてないで、その家の歴史もサラッと記載されてるじゃない。そこもちゃんと読んで学んでます?
 器は大事でしょうよ…だって後継産むのが皇太子妃の一番大事なことですよ。
 物凄く時間をかけてやっと一人生まれるか生まれないより、ぽこぽこ産まないと。
 クロード殿下しか皇位継承者いないよね? 次代はそれなりに数を産んで安定させなきゃ。
 あ、でも美しいだけが取り柄って褒めてくれてるの?
 クロード皇子の方が美しすぎて、自分もそこそこ綺麗なの忘れてたわ、有り難う。

 口にはしないけど、キィキィ言われるの聞きながら考えてた。
 耳が痛くなってきたので、

「クロード殿下の婚約者の座が欲しいのでしたら、私が伝えておきますわね。私より殿下の隣に相応しいと確信してる方がおりますよって。」

 って話してやっと解放して貰い、クロード皇子に言うの忘れてたら、翌日から私と目が合うだけで怯えたように逃げられた。
 なんなんだ。

 後の、伯爵子爵男爵令嬢達は似たような感じだったな。

「クロード殿下との本当の真実の愛の相手は私です。本当に愛する相手と結ばれない苦しさに、いつも辛そうな顔で私を見つめてくるのが私も辛いのです。
 クロード殿下を解放してあげてください。お願いします…っ」

 と、大体涙ながらに訴えてくるという流れだった。
 クロード殿下は黙って我慢するタイプじゃないよなー、真実の愛とか見つけちゃったらサッサと婚約解消するし。
 ああ、でも器が関係してるなら皇妃は私で愛妾じゃないかな?
 真実の愛で子を成せるなら皆困ってないし、私なんて生まれた時から婚約者内定してないよ。

「魔力の器の事について一度勉強し直した方がいいですわ。貴方の器だと愛妾としては受け入れて貰えるんじゃないでしょうか。
 ただ、私は真実の愛を邪魔するつもりもないですし、側妃や愛妾を召したいのであれば、婚約を解消して貰ってからになりますが。」

 というやり取りをした令嬢や、

「私とクロード様は、昨夜、愛を確かめ合いました。
 私のお腹にはクロード様との愛の結晶が宿ったかもしれませんの。」

「魔力の器関係なしに一夜で身籠れたとしたら素晴らしいですね。
 クロード殿下にお伝えして、私はお役御免させて頂きますね。」

 虚言にしても自分の家が潰されたり、下手したら己が処刑されるレベルの話だって理解してるんだろうか…。
 皇族の跡継ぎ問題の虚言は平民の恋人同士のレベルで済まされないよ。
 男爵家だと平民に近いのかに…理解してないだろうなって事を話してきたヤバイ令嬢も。


「私は魔道具作りが大得意ですの。どんな魔道具でも作る事ができますわ。
 うちは大きな商会も運営しており、複数の他国との流通ルートも確保しています。
 きっと皇国の財源に多大なる貢献が出来ると思っておりますの。
 インフェリア皇国はかなりの大国ですが、国として使える資金が潤沢にあればあるほど力となりますわ。
 皇妃は世継ぎが第一の為、貴方にさしあげます。
 私は側妃として、お慕いするクロード殿下にお力添えをしたいと思っておりますの。」

 そこそこまともな事を言ってるなー、と思ったけれど。
 でも、私、自分の旦那様を他の女と分け合うの嫌なのよね。

「そうですか。それを判断するのは私ではありませんし、クロード殿下の思いをお聞きになって下さい。
 私は未だ婚約者の身です。側妃選定の話も出ていないうちから迂闊な事を発言するのは控えた方がお互いの為ですよ?」


 あの令嬢達、元気してるかな。
 最近見かけないけれど。
 あ、一人だけ目が合うだけで逃げてく人いたね。
 アレ? でもあの方も最近見ないな……もしかして……?

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】婚約を解消したいんじゃないの?!

as
恋愛
伯爵令嬢アーシアは公爵子息カルゼの婚約者。 しかし学園の食堂でカルゼが「アーシアのような性格悪い女とは結婚したくない。」と言っているのを聞き、その場に乗り込んで婚約を解消したつもりだったけどーーー

夫が浮気先から帰らないので兄上とお茶してきます!

月歌(ツキウタ)
恋愛
夫のセドリック・アシュフォードには本命の女がいる。妾として囲っていた女ミア・グリーンが男子を産んでからは、家に帰ってこないことも多い。辛くなった妻のヴィオレットは娘のリリアーナを連れて時折実家に里帰りする。今日も兄のアルフォンス・ルーベンスとお茶をしながら愚痴をこぼす。 ☆作者プロフィール☆ 商業BL小説を書いています。 よろしくお願いします🙇 「嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す」(アンダルシュノベルズより刊行中)

殿下が真実の愛に目覚めたと一方的に婚約破棄を告げらて2年後、「なぜ謝りに来ない!?」と怒鳴られました

冬月光輝
恋愛
「なぜ2年もの間、僕のもとに謝りに来なかった!?」 傷心から立ち直り、新たな人生をスタートしようと立ち上がった私に彼はそう告げました。 2年前に一方的に好きな人が出来たと婚約破棄をしてきたのは殿下の方ではないですか。 それをやんわり伝えても彼は引きません。 婚約破棄しても、心が繋がっていたら婚約者同士のはずだとか、本当は愛していたとか、君に構って欲しかったから浮気したとか、今さら面倒なことを仰せになられても困ります。 私は既に新しい縁談を前向きに考えているのですから。

白い結婚がいたたまれないので離縁を申し出たのですが……。

蓮実 アラタ
恋愛
その日、ティアラは夫に告げた。 「旦那様、私と離縁してくださいませんか?」 王命により政略結婚をしたティアラとオルドフ。 形だけの夫婦となった二人は互いに交わることはなかった。 お飾りの妻でいることに疲れてしまったティアラは、この関係を終わらせることを決意し、夫に離縁を申し出た。 しかしオルドフは、それを絶対に了承しないと言い出して……。 純情拗らせ夫と比較的クール妻のすれ違い純愛物語……のはず。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

記憶をなくしたあなたへ

ブラウン
恋愛
記憶をなくしたあなたへ。 私は誓約書通り、あなたとは会うことはありません。 あなたも誓約書通り私たちを探さないでください。 私には愛し合った記憶があるが、あなたにはないという事実。 もう一度信じることができるのか、愛せるのか。 2人の愛を紡いでいく。 本編は6話完結です。 それ以降は番外編で、カイルやその他の子供たちの状況などを投稿していきます

別に構いませんよ、離縁するので。

杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。 他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。 まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。

婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します

早乙女 純
恋愛
 私の婚約者であるアルベルトは、私に愛しているといつも言いますが、私以外の女の元に足しげく通います。そんな男なんて信用出来るはずもないので婚約を破棄して、私は新しいヒトを探します。

余命わずかな私は家族にとって邪魔なので死を選びますが、どうか気にしないでくださいね?

日々埋没。
恋愛
 昔から病弱だった侯爵令嬢のカミラは、そのせいで婚約者からは婚約破棄をされ、世継ぎどころか貴族の長女として何の義務も果たせない自分は役立たずだと思い悩んでいた。  しかし寝たきり生活を送るカミラが出来ることといえば、家の恥である彼女を疎んでいるであろう家族のために自らの死を願うことだった。  そんなある日願いが通じたのか、突然の熱病で静かに息を引き取ったカミラ。  彼女の意識が途切れる最後の瞬間、これで残された家族は皆喜んでくれるだろう……と思いきや、ある男性のおかげでカミラに新たな人生が始まり――!?

処理中です...