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11話 ツンデレの友達はいます。

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 入学式典の開始時間は遅れたものの、始まってしまえば、混乱もなくスムーズに進行した。

 そもそも学園側も、何も考えずに入学式典の日を迎えた訳では無い。

 皇国一の人気を獲得しているであろう皇子が、茶会や視察等でしか見れぬお姿を拝見する事が出来るのだ。絵姿や遠目でしか拝見出来ない者は多く、この機会に期待するのは仕方の無いことだ。
 皇宮を離れ学園に通う姿が日々続けば、周りも馴れて熱も落ち着くだろうが、本日はその初日、警戒しすぎても足りないくらいである。

 皇子専属の護衛騎士達と皇国騎士団、それらと連携し、厳戒態勢を敷いている。

 入学式典に参加する際に起こりうるあらゆる可能性をシュミレーションしていた為、学園入口ね混乱も混雑も想定内であった。

 学園長の挨拶の後、新入生代表はクロード皇子、そして生徒会長のサフィリーンの兄のジャスティン・ル・オルペリウスが歓迎の挨拶をする。
 どの演説も大きく時間を取っている為、開始時間が遅くともそこで調整が出来るのだ。

 今は学園長が式典の壇上に立ち、新入生への歓迎と在校生の話、学園の学びの種類などを話していた。




 上位貴族専用席でサフィリーンはぼんやりと学園長の演説に耳を傾けている。


(どの世界も学園長が話す内容は似たり寄ったりよね。)

 サフィリーンの前世と似た光景に、ほんわりと気持ちが和む。

 身分関係ない交流を図ると学園長は語っているけれど、入学式典ですら上位貴族と下位貴族に席すら分けられている。
 クラス分けもS、A、B、C、Dに分けられているが、Sは上位貴族しか居らず、Aも半数は上位貴族である。
 サフィリーンもクロードもSである。
 上位貴族にはサフィリーンしか女の子が居ない。という事はSクラスには女の子はサフィリーンしか居ないのだ。
 学園で女の子のお友達が欲しかったサフィリーンはガッカリである。

 お茶会では常に皇子がべったりで、友達作りなど出来る雰囲気など皆無。
 友達作りというより縁繋ぎ目的の匂いがプンプンであるし、クロード皇子に取り入りあわよくば的な視線や態度しかない。
 ライバル視しかされてない茶会など楽しくもないのだ。

 そんな中でも奇跡的に友達になれた子が1人だけいる。
 ラミナ・ノ・メイオール伯爵令嬢だ。
 炎のうにオレンジがかった赤い巻き毛と、鮮やかな緑色の瞳の彼女は、つり目のせいかキツイ性格に見える。
 見た目に似合うツンデレな彼女は、最初はクロード皇子と仲良くなりたかったらしい。

 が、ツンデレな性格の為、好意的な雰囲気は微塵もない。

 挨拶を終え、クロード皇子からも儀礼的な挨拶とアルカイックスマイルを貰った後、他の令嬢のように場を退くかと思いきや、素っ気ない態度ながらもその場で皇子に話しかけ続ける。
 皇子は笑みを崩さず、しかし何も答えず。
 所謂、全スルーされた。

 サフィリーンがメイオール伯爵令嬢の気力に感心していると、隣に立つサフィリーンをチラとメイオール伯爵令嬢が見る。


 クロード皇子の隣に半ば強制的に立たされている私に、今気づいたという顔をささたメイオール伯爵令嬢は、
「どうしてもというなら、お友達になってあげてもよくってよ。」
 と言ってきた。

 私が答えるより前に皇子が「断る。」と一言。

 メイオール伯爵令嬢が縋るような視線で私を見つめるので、
「いいですよ。お友達になりましょう」
 と私は答えていたのだ。

 微笑む皇子の顔が何だか怖かった。


 とまあ、その時の流れでメイオール伯爵令嬢と友達になった私は、何度か文通をした。


 メイオール伯爵令嬢の手紙は丁寧な綺麗な字で綴られており、手紙の彼女はツンデレではなく普通の優しい女の子だった。
 すぐに文通が楽しくなった。

 その後、何度か皇子を含めた交流をして、私とメイオール伯爵令嬢は友人と呼べる程には親しくなった。
 お茶をしたり、街に互いの護衛を連れてお出かけを計画して遊びに行き、カフェや雑貨屋巡りをした。
 皇子もいる為、警護が凄い人数になったので、雑貨屋も少ししか行けなかったけれど。

(皇子は関係ないのに毎回参加してきて、正直、少し邪魔だった。)

 始まりはアレだけど、今ではとても仲良しなつもりなのだ。


 そんな彼女とはクラスは分かれてしまった。
 メイオール伯爵令嬢ラミナはAクラスだ。
 ラミナ以外のお友達を作り、ラミナを紹介して仲良しグループ作りたかったのに…残念。

 ラミナはツンデレな為、ラミナに新しく友人を作って貰うのは難しそうだしなー。

 そんな事を考えていたら、いつの間にか学園長の挨拶は終わっていた。

 次はクロードの出番である。
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