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04話 人心掌握術って帝王学の基本ですもんね。
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申し訳ありませんっっ!03話と同内容の物を04話として投稿していました…
該当話数は削除して改めて再投稿しました。
混乱させてしまい、大変申し訳有りませんでした(ノД`)シクシク
お詫び申し上げますm(_ _)m
✂----------------------------
婚約式から1年間、翌日から毎日公爵邸に日参されるうち、私にとって皇子は婚約者というよりも、かけがけえのない友達のような、いずれ婚姻するとしたら国を守る相棒のような…
そんな存在として認識するようになっていた。
相変わらず人としての距離感がおかしい接し方をされ続けているが、人間は環境に時間と共に順応していくもので、
肩から腰まで隙間なくぴったりとくっついてくる皇子にも、微笑ましい気持ちで迎えれるようになった。
当然のように膝に乗せられて本を読む行為も慣れてしまうと、今では皇子の胸に背中を預けて居心地良く座れている。
背もたれ付きの温かい座椅子的な…?
とても不敬なサフィリーンである。
「サフィ、はい、あーん…おいしい?」
「(もぐもぐ)」
こんな行為も、親鳥が雛鳥に対する給餌行為だと思えば、口元に差し出されるお菓子に躊躇なく口を開けた。
その度に皇子が目元をほんのりと赤く染めるのは、幼い子供にあるまじき色気が漏れてるので見ないようにしたが。
庭園を手を繋ぎ散策するという事も「健康管理に必要な食後の散歩」と理解すれば、なるほどと思う。
「皇子、食後すぐに運動をすると血糖値の上昇が抑えられて、とてもいいですね。」
「…けっとうち? それが上昇が抑えられるとサフィは嬉しいの?」
「はい! 血糖値が高い状態は色々な病気を呼ぶ原因にもなりますからね。」
「…病気? サフィは病気にならないようにけっとうちを抑えたいんだね。サフィが病気になったら僕は生きていけないよ。
そうか…気をつけようね。食後は必ず散歩しようね。」
「………はい。」
ポロッと凄いこと言われた気がしたけど、スルーしておく。
皇子は時々物騒な事を言うから反応に困るのだ。
「サフィはこっちだよ。」
皇子は自分の腿の部分を手でポンポンと叩く。
心の中ではうへぇっとした表情で嫌がってる自分を想像しつつ、外面の表情は引き締める。
皇子が持ってきた本とは別の本が今日は読みたくて、今日は別々に読書したいのだけど。
一冊を二人で読むというのも悪くないけど、皇子の持ってくる本はちょっと難しくて、興味深いけど頭を使うから疲れるのだ。
「今日は、別々に読書しませんか?」
「え、いやだよ。」
「……私、今日はこの本が読みたいの…」
しおらしく言えば、皇子は「っ……」と口ごもった。
皇子は肌がとても白いので、その白い頬は少し染まるだけでもはっきりと分かる。
その白い頬をほんのり染めて、なぜか潤んだ金色の瞳で私を見た後に、視線を逸して目を伏せた。
(膝に乗らない事がそんなに嫌なのか……私の重さで太腿とか大変な目に合ってそうなのに。)
皇子が思案するように目を伏せているせいか、髪と同色の睫毛が驚く程長いのが分かった。
皇子に見られてないと思うと、安心してじっくり素晴らしいご尊顔を見つめる事が出来る。
通った鼻筋、滑らかな頬、形のいい柔らかそうな淡いピンクの唇はうっすらと開いていた。
「……っ」
ギュッと心臓を素手で握られたような感触を左胸に感じて慌てる。
あーー何だろうこの気分。
(皇子って本当に綺麗な顔してるよね。どのパーツも素晴らしい。私だって――)
負けてないと思いたいけど、負けてる気がする。
目を伏せた仕草ひとつで思わずハッと見惚れてしまうのだ。
…凄い。だって7歳ですよこの子。
窓から射し込む陽射しに髪がキラキラと輝いて、一枚の絵画のように完璧だ。
絵画のタイトルは“地上に舞い降り憂う天使”にしよう。
天上から舞い降りたが地上の俗世に触れて、この世界を憂いている崇高な天使感が出ている気がする。
勿体ないし残念でならない。私に絵の才能さえあればこの姿を記憶にしっかりと留めて、後でこっそり描くのに。
現実は花を描いたのに、蜘蛛?と兄に言われる実力だ。
私の妙な思考を察知したかの様に皇子がと顔を上げ、ジッと見つめてきた。
少しばかり気持ちの悪い思考だっただけに、ちょっと後ろめたい。
「…今日はサフィの読みたい本を読もうかな。だから、ここにおいで。」
「皇子…でも…」
「サフィ、もう一度。」
「クロード様…?」
「サフィ、それは人が居る時の呼び方だよ。二人っきりの時は違う呼び方でしょ?」
「クロ…、でしたね。」
「ん、僕はサフィだけのクロだよ。サフィも僕だけのサフィ。」
特別な呼び方にやけにこだわるよね皇子。
そこでふと気付いたけど、この一年の間に家族が私の事をサフィと呼ばなくなったような…?
もしかして皇子…?
…追求するのはやめておこう。
「クロだって読みたい本を持って来たのに、読まないの?」
「サフィと読む本が僕の読みたい本だから、いいんだよ。」
「そうですか。」
よく分からない理論だな。
「話はおしまい。サフィ、こっちにおいで。」
「うぅ…はい。」
いつもと違う事を提案する度に、いつもと同じ方向へと皇子から修正される。
「あれ?結局同じ事してる」
と思う事など皇子と過ごしていれば日常茶飯事だ。
皇子は人を誘導するのが実に上手い。
いや皇子は誘導っていうより、強制っていうか…それ以外の選択肢は全て潰す意思を感じるっていうか…?
人心掌握術は帝王学の基本の様なので、将来皇帝になる皇子はとっくに身についてるのだろう。
その日は結局皇子と仲良く私が読みたい本を読んだ。
私が読みたかった本は“初恋と冒険と魔法”が織り込まれた物語だったので、皇子と一緒に読む事はちょっと気まずかったのに。
初恋にときめく主人公の描写を読み進める時に、私のお腹に回された左腕がさらに皇子の方へとギュッと引き寄せられるから、なかなか落ち着いて読めなかった。
該当話数は削除して改めて再投稿しました。
混乱させてしまい、大変申し訳有りませんでした(ノД`)シクシク
お詫び申し上げますm(_ _)m
✂----------------------------
婚約式から1年間、翌日から毎日公爵邸に日参されるうち、私にとって皇子は婚約者というよりも、かけがけえのない友達のような、いずれ婚姻するとしたら国を守る相棒のような…
そんな存在として認識するようになっていた。
相変わらず人としての距離感がおかしい接し方をされ続けているが、人間は環境に時間と共に順応していくもので、
肩から腰まで隙間なくぴったりとくっついてくる皇子にも、微笑ましい気持ちで迎えれるようになった。
当然のように膝に乗せられて本を読む行為も慣れてしまうと、今では皇子の胸に背中を預けて居心地良く座れている。
背もたれ付きの温かい座椅子的な…?
とても不敬なサフィリーンである。
「サフィ、はい、あーん…おいしい?」
「(もぐもぐ)」
こんな行為も、親鳥が雛鳥に対する給餌行為だと思えば、口元に差し出されるお菓子に躊躇なく口を開けた。
その度に皇子が目元をほんのりと赤く染めるのは、幼い子供にあるまじき色気が漏れてるので見ないようにしたが。
庭園を手を繋ぎ散策するという事も「健康管理に必要な食後の散歩」と理解すれば、なるほどと思う。
「皇子、食後すぐに運動をすると血糖値の上昇が抑えられて、とてもいいですね。」
「…けっとうち? それが上昇が抑えられるとサフィは嬉しいの?」
「はい! 血糖値が高い状態は色々な病気を呼ぶ原因にもなりますからね。」
「…病気? サフィは病気にならないようにけっとうちを抑えたいんだね。サフィが病気になったら僕は生きていけないよ。
そうか…気をつけようね。食後は必ず散歩しようね。」
「………はい。」
ポロッと凄いこと言われた気がしたけど、スルーしておく。
皇子は時々物騒な事を言うから反応に困るのだ。
「サフィはこっちだよ。」
皇子は自分の腿の部分を手でポンポンと叩く。
心の中ではうへぇっとした表情で嫌がってる自分を想像しつつ、外面の表情は引き締める。
皇子が持ってきた本とは別の本が今日は読みたくて、今日は別々に読書したいのだけど。
一冊を二人で読むというのも悪くないけど、皇子の持ってくる本はちょっと難しくて、興味深いけど頭を使うから疲れるのだ。
「今日は、別々に読書しませんか?」
「え、いやだよ。」
「……私、今日はこの本が読みたいの…」
しおらしく言えば、皇子は「っ……」と口ごもった。
皇子は肌がとても白いので、その白い頬は少し染まるだけでもはっきりと分かる。
その白い頬をほんのり染めて、なぜか潤んだ金色の瞳で私を見た後に、視線を逸して目を伏せた。
(膝に乗らない事がそんなに嫌なのか……私の重さで太腿とか大変な目に合ってそうなのに。)
皇子が思案するように目を伏せているせいか、髪と同色の睫毛が驚く程長いのが分かった。
皇子に見られてないと思うと、安心してじっくり素晴らしいご尊顔を見つめる事が出来る。
通った鼻筋、滑らかな頬、形のいい柔らかそうな淡いピンクの唇はうっすらと開いていた。
「……っ」
ギュッと心臓を素手で握られたような感触を左胸に感じて慌てる。
あーー何だろうこの気分。
(皇子って本当に綺麗な顔してるよね。どのパーツも素晴らしい。私だって――)
負けてないと思いたいけど、負けてる気がする。
目を伏せた仕草ひとつで思わずハッと見惚れてしまうのだ。
…凄い。だって7歳ですよこの子。
窓から射し込む陽射しに髪がキラキラと輝いて、一枚の絵画のように完璧だ。
絵画のタイトルは“地上に舞い降り憂う天使”にしよう。
天上から舞い降りたが地上の俗世に触れて、この世界を憂いている崇高な天使感が出ている気がする。
勿体ないし残念でならない。私に絵の才能さえあればこの姿を記憶にしっかりと留めて、後でこっそり描くのに。
現実は花を描いたのに、蜘蛛?と兄に言われる実力だ。
私の妙な思考を察知したかの様に皇子がと顔を上げ、ジッと見つめてきた。
少しばかり気持ちの悪い思考だっただけに、ちょっと後ろめたい。
「…今日はサフィの読みたい本を読もうかな。だから、ここにおいで。」
「皇子…でも…」
「サフィ、もう一度。」
「クロード様…?」
「サフィ、それは人が居る時の呼び方だよ。二人っきりの時は違う呼び方でしょ?」
「クロ…、でしたね。」
「ん、僕はサフィだけのクロだよ。サフィも僕だけのサフィ。」
特別な呼び方にやけにこだわるよね皇子。
そこでふと気付いたけど、この一年の間に家族が私の事をサフィと呼ばなくなったような…?
もしかして皇子…?
…追求するのはやめておこう。
「クロだって読みたい本を持って来たのに、読まないの?」
「サフィと読む本が僕の読みたい本だから、いいんだよ。」
「そうですか。」
よく分からない理論だな。
「話はおしまい。サフィ、こっちにおいで。」
「うぅ…はい。」
いつもと違う事を提案する度に、いつもと同じ方向へと皇子から修正される。
「あれ?結局同じ事してる」
と思う事など皇子と過ごしていれば日常茶飯事だ。
皇子は人を誘導するのが実に上手い。
いや皇子は誘導っていうより、強制っていうか…それ以外の選択肢は全て潰す意思を感じるっていうか…?
人心掌握術は帝王学の基本の様なので、将来皇帝になる皇子はとっくに身についてるのだろう。
その日は結局皇子と仲良く私が読みたい本を読んだ。
私が読みたかった本は“初恋と冒険と魔法”が織り込まれた物語だったので、皇子と一緒に読む事はちょっと気まずかったのに。
初恋にときめく主人公の描写を読み進める時に、私のお腹に回された左腕がさらに皇子の方へとギュッと引き寄せられるから、なかなか落ち着いて読めなかった。
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