転生したら血塗れ皇帝の妹のモブでした。

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第三章 クラウディアの魔力

閑話 シュヴァリエが反旗を翻すまで Ⅲ

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シュヴァリエは落胆していた。
皇族や貴族に多い魔力の器に関する症状について専門医に聞けば何かヒントが見つかると期待していた。
質問してみたが、薬を与えて様子を見る以外の処置はしてないようだ。
それで死ぬなら仕方ないという事なのか。

皇族専門医に魔力の器と魔力量による虚脱感や目眩を軽減する為に処方している薬に使用されている薬草を尋ね、皇宮図書館で詳しく調べる。
症例なども何件か尋ねたが、どれも成長を待つしか無いとの判断しか出来ず、虚脱感や目眩が軽減するような薬を処方しているだけ。

魔力をこれ以上増やさないように摂取する食物の選定、威力は殆どないが魔力は微量ながら消費する魔法を延々と使い続け消費させるなどはしているようだ。
器が小さく子供にしては魔力が多い程度ならそれで対処出来たが、シュヴァリエ程になると無理だろう。

目眩や虚脱感という症状の他にも様々な症状がシュヴァリエ襲っていて、突然意識を失う気絶も経験していた。
勿論、そんな症例はどこにもない。
シュヴァリエは、自分に症例のない症状がある事を、何となく専門医には話さなかった。
シュヴァリエの気絶を宮廷医は何と診断して良いか分からず、精神的なものとして片付けた。


そして、魔力を出す事ではなく、器を大きく丈夫にする方法を独自に模索しようとした。
一般的に行われている症状の緩和の方法を試した事もあるが、小さな魔法を何発も撃ち微量ながら消費し続けても、
シュヴァリエは魔力回復スピードが恐ろしく早く、微量な魔力の消費はすぐに回復する為、全く魔力値が減っていないのだろう。

魔法師や魔法騎士を育成する鍛錬のひとつに、魔力が枯渇する一歩手前ので魔法を撃つというものがある。
魔力が枯渇すれば人は死ぬ。その前提ギリギリ境界線の所まで消費させるのだ。
体内魔力が30パーセントを切ると人間の身体は命を守ろうと働くのか、同じ魔法を撃ってるというのに威力が抑えられ、魔力消費も少なくなる。
10パーセントを切ると、蝋燭に灯す炎のように極わずかな魔法しか使えず、魔力消費は生活魔法程度に切り替わる。
それでも魔力を消費し続け、5パーセントを切る頃には意識が混濁してくる。

一度目は20パーセント辺りで思考が保てないようなモヤモヤした感じに満たされ、気づいたら意識を失っていた。
魔法師や魔法騎士の鍛錬の方法は成人している人間に行われる為であって、大人でも過酷なのだから子供が行えばどうなるか…

シュヴァリエは就寝前の時間に行い気絶しても問題ないようにしていた。
大きな魔法は撃てない為、ベッド周りに防護結界を張りベッドに保護魔法をかける。
そして結界に向かって中級魔法を何発も撃ち続け、魔力を消費し続けた。
魔力の制御も重大な問題だ、器を鍛えた所で魔力暴走しないとは言い切れない。
指先に小さな火を灯し、その火を徐々に大きくしたり小さくしたりを繰り返す。
灯した火の温度を上げたり下げたりして、オレンジ色の火を青くしたり白くしたりした。
光魔法で小さな光の珠を出し、その珠を上下に動かす。
天井や地面にぶつかるのをスレスレの所で止めるという方法を繰り返した。
これらを行うには理由がある。
魔力制御には魔法の正確なコントロールが必用だからだ。
細かい動きを何パターンも繰り返して行う事によって、自分の意思で自由に動かせるようにならなければいけない。

その方法を取り二ヶ月経過した頃、髄分と魔力過多症の症状が落ち着いてきた。
器が鍛えられているという事だろう。
シュヴァリエは、毎日その鍛錬を行った内容と経過を詳細に記している。
もっと効果があらわれて来たら、この方法を専門医に話し役立てて貰うつもりだ。

半年経過する間には、器もだいぶ鍛えられて来た。
試した初日からの流れを記載した物を纏め、専門医に提出した。
今まで試そうと思った事もない方法だった為、専門医は驚愕し懐疑的であったが、
その流れを読み進めるにつれ、納得したようだった。

ただ子供が行う方法としては危険が伴う為、使用する魔法は限定される。
シュヴァリエのように魔力回復速度が早いからせざるを得なかったにせよ、中級魔法を使うなどは有り得ない為、初級魔法の中で選ぶようだった。
発表する前に何人かの子供で試験的にその方法を行い、問題ないか調べる事にするそうだ。
魔力枯渇一歩手前の方法はとても苦しい。
シュヴァリエもとても苦しんだ為、他の子供がそこまで耐えられるかという事もある。
慎重に行う事になりそうだった。

シュヴァリエのそれらの功績は、シュヴァリエが編み出した事を隠匿されて発表された。
別に功績狙いではなかったが、握りつぶされた事には不快感を感じた。
まして隠匿したのが誰なのか分かっているだけに、不快感は増すばかりだ。

虚弱が落ち着くにつれ、掌を返すように構いだして来た母親にもうんざりした。
自分が苦しんでる間、会いに来る事もなく、見かけても居ない者のように扱っていたくせに。
思う所が多々あるにせよ、シュヴァリエは手本のような微笑みで母親と接していた。
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