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第一章 転生しました。
姫って退屈過ぎない?
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5才の姫の一日というのは、退屈だ。
幼すぎる事から、皇女としての教育もまだ始まっていない。
女官であるアンナからはマナーについて時々説明を受けるけど、
それを守らないからといって厳しく窘められる事もない。
基本的には自由だ。外出以外は。
貴族の淑女としての嗜みってなんだっけ…?
ハンカチとかに刺繍とか?
暇だし前世でも齧ってた手芸を再開するのも悪くないか。
そんな軽い感じで思って提案したら、
「姫様はまだ5才です。早期教育だとしても7才くらいから始めるのが普通です。
針は刺すと痛いんですよ、血が出るんですよ?今はダメです。」
目を三角にして注意された。
ナゼ。
――――アンナ、過保護過ぎない?
刺繍がダメならどれがいいかな。
………………思い浮かばない。
花を生けたりとか…?
前世のお嬢様とか生け花とか習うものだよね?
後は日本舞踊とかさ。
「アンナ、今日は花を生けてみたいと思います。」
キリッとした顔でアンナに話す。
「姫様……花を生ける事が仕事の者が王宮には居ます。
その者の仕事を奪わない範囲でしたら、いいですよ。」
プロが居るんだ。凄いね。フラワーコーディネーターってヤツ?
王宮という格式ある場所に生けてるのが、ド素人の姫の生け花っていうのも…
ダメでしょ、絶対。
そこは分かってるよ、アンナったら。
「勿論よ!私の宮だけでいいの。何なら寝室だけでも……
いやアンナの私室にも生けたいけど。
………ダメ?」
「姫様に花を生けて貰える私は幸せ者ですね。光栄です。有難うございます。」
アンナはキラキラした笑顔で笑ってくれた。
月の宮の庭に咲く花を、庭師が数種類剪定して持って来てくれた。
小さな蕾の白とピンクのミニ薔薇、ピンクと黄色のガーベラ、白、ピンク、青、紫のデルフィニウム、紫のラベンダー、白のクレマチスなどなど。
優美な花瓶に生ける花を選び、アンナが指定した長さに剪定バサミで切ってくれる。
私は先にアンナの私室に飾る花を選んだ。
白のミニ薔薇、白のクレマチスを中心に生けて、差し色は青と紫のデルフィニア。
癒やしの香り漂うラベンダーも数本混ぜる。
落ち着いた大人っぽい雰囲気に仕上がった。
「出来た!これアンナの私室に飾って!」
既にやりきった感いっぱいで、自分の寝室のはどうでも良くなっている。
「姫様…素敵です、有難うございます。」
薄っすら涙目で感謝してくれるアンナ。
「どういたしまして。花は癒やし効果があるよね?
いつも私の事を大事にしてくれて有難う。
これを見て少しでも癒やされたら嬉しいな。」
照れくさくて早口で捲したてる様に話す。
アンナの瞳に薄っすらだったけど、今や表面張力だけで保ってる状態だ。
「あ!泣かせたくて花を生けた訳じゃないよ!
アンナ泣かないで!」
慌ててアンナに縋り付くクラウディア。
「これは……嬉しいから…出る涙なので、いいのですよ。」
スンっと鼻を啜って、宝石の様に輝いてた涙を指で拭う。
「さあ、姫様の寝室のも生けましょう」
――――え、めんどくさい。
そう思った私は悪くないと思いたい。
「じゃー、私のは勿体ないから、残ったお花全部入れる!」
ごちゃっと色が混ざってるけど、悪くない。
アンヌは思わず顔を顰めそうになり、スッと表情を消した。
「…姫様のそういう所は、いいのか悪いのか…。これからの教育次第ですわね…」
小声で呟くアンナ。
「悪くないよね、いい感じだわー」
と、棒読みで自画自讃しながら花を眺める私には聞こえなかった。
幼すぎる事から、皇女としての教育もまだ始まっていない。
女官であるアンナからはマナーについて時々説明を受けるけど、
それを守らないからといって厳しく窘められる事もない。
基本的には自由だ。外出以外は。
貴族の淑女としての嗜みってなんだっけ…?
ハンカチとかに刺繍とか?
暇だし前世でも齧ってた手芸を再開するのも悪くないか。
そんな軽い感じで思って提案したら、
「姫様はまだ5才です。早期教育だとしても7才くらいから始めるのが普通です。
針は刺すと痛いんですよ、血が出るんですよ?今はダメです。」
目を三角にして注意された。
ナゼ。
――――アンナ、過保護過ぎない?
刺繍がダメならどれがいいかな。
………………思い浮かばない。
花を生けたりとか…?
前世のお嬢様とか生け花とか習うものだよね?
後は日本舞踊とかさ。
「アンナ、今日は花を生けてみたいと思います。」
キリッとした顔でアンナに話す。
「姫様……花を生ける事が仕事の者が王宮には居ます。
その者の仕事を奪わない範囲でしたら、いいですよ。」
プロが居るんだ。凄いね。フラワーコーディネーターってヤツ?
王宮という格式ある場所に生けてるのが、ド素人の姫の生け花っていうのも…
ダメでしょ、絶対。
そこは分かってるよ、アンナったら。
「勿論よ!私の宮だけでいいの。何なら寝室だけでも……
いやアンナの私室にも生けたいけど。
………ダメ?」
「姫様に花を生けて貰える私は幸せ者ですね。光栄です。有難うございます。」
アンナはキラキラした笑顔で笑ってくれた。
月の宮の庭に咲く花を、庭師が数種類剪定して持って来てくれた。
小さな蕾の白とピンクのミニ薔薇、ピンクと黄色のガーベラ、白、ピンク、青、紫のデルフィニウム、紫のラベンダー、白のクレマチスなどなど。
優美な花瓶に生ける花を選び、アンナが指定した長さに剪定バサミで切ってくれる。
私は先にアンナの私室に飾る花を選んだ。
白のミニ薔薇、白のクレマチスを中心に生けて、差し色は青と紫のデルフィニア。
癒やしの香り漂うラベンダーも数本混ぜる。
落ち着いた大人っぽい雰囲気に仕上がった。
「出来た!これアンナの私室に飾って!」
既にやりきった感いっぱいで、自分の寝室のはどうでも良くなっている。
「姫様…素敵です、有難うございます。」
薄っすら涙目で感謝してくれるアンナ。
「どういたしまして。花は癒やし効果があるよね?
いつも私の事を大事にしてくれて有難う。
これを見て少しでも癒やされたら嬉しいな。」
照れくさくて早口で捲したてる様に話す。
アンナの瞳に薄っすらだったけど、今や表面張力だけで保ってる状態だ。
「あ!泣かせたくて花を生けた訳じゃないよ!
アンナ泣かないで!」
慌ててアンナに縋り付くクラウディア。
「これは……嬉しいから…出る涙なので、いいのですよ。」
スンっと鼻を啜って、宝石の様に輝いてた涙を指で拭う。
「さあ、姫様の寝室のも生けましょう」
――――え、めんどくさい。
そう思った私は悪くないと思いたい。
「じゃー、私のは勿体ないから、残ったお花全部入れる!」
ごちゃっと色が混ざってるけど、悪くない。
アンヌは思わず顔を顰めそうになり、スッと表情を消した。
「…姫様のそういう所は、いいのか悪いのか…。これからの教育次第ですわね…」
小声で呟くアンナ。
「悪くないよね、いい感じだわー」
と、棒読みで自画自讃しながら花を眺める私には聞こえなかった。
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