転生したら血塗れ皇帝の妹のモブでした。

iBuKi

文字の大きさ
上 下
5 / 105
第一章 転生しました。

アンナは怒らせてはいけない。

しおりを挟む
あれからアンナに甲斐甲斐しく世話をして貰い、和風味の雑炊っぽいものを食べた。
前世で風邪の時にでも食べる様な優しい味に、涙がジワっと浮かぶ。
アンナが心配する!と思い、それを高速瞬きで散らした。

もしかしたら、この世界に私以外にも転生者いるのかもしれないな。
日本の和風味の雑炊なんてピンポイント料理、いくら異世界といえどもおかしい。

厨房にお願いしてきます。とアンナが言ってたし、料理人に前世日本人とか居るのかも?
私の中の現世の断片的な記憶では、この部屋と部屋の前のこぢんまりとした庭くらいしか、過ごしちゃダメなようだったけど。

姫だから、ある程度の年齡になるまで大切に囲われてるとか?


雑炊の器を下げに行ったアンナが戻ってきた。

「姫様、目覚めたばかりでまだ油断は出来ませんので、もう少し横になった方がいいです。」

二日間も寝たのに寝れる訳ないのだけど……

そこで、コレだ!と気付いた。

“二日間も寝込んでいたのだから、記憶が混濁したフリをして、記憶にない情報を聞き出しちゃおう!”と。


「ねぇ、アンナ、わたし、お熱が出て休んでたからかなあ?自分の名前もよくわからないみたい。」
と言ってみた。



「姫様!?なんということでしょう!医師を、医師を呼んでまいります!!」



「ちょぉぉーーーーっと止まって!!!」


この世の終わりとでもいう様に血の気が引いた顔をして扉に駆け出したアンナを大声で止めた。



「えっと…、アンナ、ちょっとした事だけだから、だってアンナの事だって分かってるでしょ?」

「姫…様?」


アンナの傍に寄り、手を伸ばしキュッとアンナの手を握る。


「お会いした事ないお兄様の事とか…」

(私は幼児、私は幼児……)
呪文の様に心の中で唱えた。
大人びた表情など今は不要!


「陛下がどうされましたか?」

アンナがしゃがんで私と目線を合わせてくれる。


「知りたいなって。分からないから。お兄様のこと……」

「では、姫様が知りたい事をお話しましょうね。でも心配なのでお話が終わったら、医師を連れて参りますからね?それは絶対に譲れません。いいですね?」

アンナが私がワガママを続ける時にする“それをするならお菓子はしばらくありませんよ!”の時の強い瞳だった。
こんな目をする時は、アンナは絶対に譲らない。


「はい。」


長い物には巻かれろ。
5才でも分かる格言だと思う。
一も二もなく素直に頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

処理中です...