1 / 12
Prologue
しおりを挟む
私は、大国ブリュンヒルド王国第一王女アルベルティーナ・セシル・ブリュンヒルド。
広大な国土と肥沃な土地に恵まれた国、ブリュンヒルド王国。
王国には武器や防具に欠かせない銅や鉄、かなりの強度を持つアダマン鉱も採掘出来る鉱山が豊富にある。
宝飾品に欠かせない宝石を種類豊富に採掘出来る鉱山を持つ国は、世辞抜きで豊かだ。
そんな豊かなブリュンヒルドが近隣諸国に侵攻されにくいのは、
一重に広大な領土を持ちながらも国土をぐるりと取り囲む大海のお陰であろう。
この大海に阻まれ地上の楽園とも評されるブリュンヒルド王国は守られてきたのだ。
ブリュンヒルド王国は、男性を頂点に据える周辺諸国からすれば珍しい、女王が統治する国だ。
女王が統治する国というのは、片手で足りる程しかない。
王が統治するのが当然の世界。
そんな珍しい女王が統治する国も、代々となるとブリュンヒルド王国のみである。
不運な事に王子が産まれなかったり、死亡により次代の王の席が空いてしまった時、次代の王が産まれるまで暫定的に女王となった者が統治する事はあれど、代々女王が統治するというのはとても珍しかった。
代々女王が統治してきた国である故、王子ではなく姫が王位継承権を持っていた。
ブリュンヒルド王国では、どんなに王子が優秀であろうとも、王になることは出来ないのだ。
そんなブリュンヒルド王国で女王が統治するには理由がある。
女性の血縁者にしか宿らない特殊な魔力にあった。
不作知らずの肥沃な土地にも、豊かな鉱山も、その魔力を女王が土地に流し保ってきた。
それ故に、代々女王がこの国を統治してきた。
この国のお伽噺にもあるお話で、
ブリュンヒルド王国を建国した初代女王の王配は精霊王であり、精霊王は女王を殊の外寵愛した。
女王がこの世を去るのを嘆き悲しんだ精霊王は、女王に新たな命を吹き込み精霊国へと連れ去ろうとする。
精霊王を愛していた女王は残された時間が増え共に生きれる事を喜びはしたが憂いが取れない。
尋ねる精霊王に女王は話す「私が居なくなった後の娘が心配なのです。」と。
精霊王も父である筈だが、精霊王が特別に愛するのは女王。
人間である女王と違い、精霊は親心が薄い。
気持ちを分かって貰えない女王は嘆いた。
女王の涙に弱い精霊王は、残された娘を心配する女王の為に“娘だけに繋がれる特別な魔力”という加護を与えた。
それでも心配が尽きぬ母心を慮り、王国を大陸から切断して大海に取り囲ませた。
そこでやっと安心した女王を精霊国へと今度こそ連れ去った。
そんなお伽噺の様な話は実話なのである。
精霊王を祖先に持ち、特別な魔力という加護を継承してきた国。
それがブリュンヒルド王国である。
広大な国土と肥沃な土地に恵まれた国、ブリュンヒルド王国。
王国には武器や防具に欠かせない銅や鉄、かなりの強度を持つアダマン鉱も採掘出来る鉱山が豊富にある。
宝飾品に欠かせない宝石を種類豊富に採掘出来る鉱山を持つ国は、世辞抜きで豊かだ。
そんな豊かなブリュンヒルドが近隣諸国に侵攻されにくいのは、
一重に広大な領土を持ちながらも国土をぐるりと取り囲む大海のお陰であろう。
この大海に阻まれ地上の楽園とも評されるブリュンヒルド王国は守られてきたのだ。
ブリュンヒルド王国は、男性を頂点に据える周辺諸国からすれば珍しい、女王が統治する国だ。
女王が統治する国というのは、片手で足りる程しかない。
王が統治するのが当然の世界。
そんな珍しい女王が統治する国も、代々となるとブリュンヒルド王国のみである。
不運な事に王子が産まれなかったり、死亡により次代の王の席が空いてしまった時、次代の王が産まれるまで暫定的に女王となった者が統治する事はあれど、代々女王が統治するというのはとても珍しかった。
代々女王が統治してきた国である故、王子ではなく姫が王位継承権を持っていた。
ブリュンヒルド王国では、どんなに王子が優秀であろうとも、王になることは出来ないのだ。
そんなブリュンヒルド王国で女王が統治するには理由がある。
女性の血縁者にしか宿らない特殊な魔力にあった。
不作知らずの肥沃な土地にも、豊かな鉱山も、その魔力を女王が土地に流し保ってきた。
それ故に、代々女王がこの国を統治してきた。
この国のお伽噺にもあるお話で、
ブリュンヒルド王国を建国した初代女王の王配は精霊王であり、精霊王は女王を殊の外寵愛した。
女王がこの世を去るのを嘆き悲しんだ精霊王は、女王に新たな命を吹き込み精霊国へと連れ去ろうとする。
精霊王を愛していた女王は残された時間が増え共に生きれる事を喜びはしたが憂いが取れない。
尋ねる精霊王に女王は話す「私が居なくなった後の娘が心配なのです。」と。
精霊王も父である筈だが、精霊王が特別に愛するのは女王。
人間である女王と違い、精霊は親心が薄い。
気持ちを分かって貰えない女王は嘆いた。
女王の涙に弱い精霊王は、残された娘を心配する女王の為に“娘だけに繋がれる特別な魔力”という加護を与えた。
それでも心配が尽きぬ母心を慮り、王国を大陸から切断して大海に取り囲ませた。
そこでやっと安心した女王を精霊国へと今度こそ連れ去った。
そんなお伽噺の様な話は実話なのである。
精霊王を祖先に持ち、特別な魔力という加護を継承してきた国。
それがブリュンヒルド王国である。
4
お気に入りに追加
979
あなたにおすすめの小説
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
もうすぐ、お別れの時間です
夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。
親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る
堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。
彼は新興国である新獣人国の国王だ。
新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。
過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。
しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。
先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。
新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる