寵愛の行方。

iBuKi

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Prologue

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私は、大国ブリュンヒルド王国第一王女アルベルティーナ・セシル・ブリュンヒルド。

広大な国土と肥沃な土地に恵まれた国、ブリュンヒルド王国。

王国には武器や防具に欠かせない銅や鉄、かなりの強度を持つアダマン鉱も採掘出来る鉱山が豊富にある。
宝飾品に欠かせない宝石を種類豊富に採掘出来る鉱山を持つ国は、世辞抜きで豊かだ。

そんな豊かなブリュンヒルドが近隣諸国に侵攻されにくいのは、
一重に広大な領土を持ちながらも国土をぐるりと取り囲む大海のお陰であろう。
この大海に阻まれ地上の楽園とも評されるブリュンヒルド王国は守られてきたのだ。


ブリュンヒルド王国は、男性を頂点に据える周辺諸国からすれば珍しい、女王が統治する国だ。
女王が統治する国というのは、片手で足りる程しかない。
王が統治するのが当然の世界。

そんな珍しい女王が統治する国も、代々となるとブリュンヒルド王国のみである。

不運な事に王子が産まれなかったり、死亡により次代の王の席が空いてしまった時、次代の王が産まれるまで暫定的に女王となった者が統治する事はあれど、代々女王が統治するというのはとても珍しかった。

代々女王が統治してきた国である故、王子ではなく姫が王位継承権を持っていた。
ブリュンヒルド王国では、どんなに王子が優秀であろうとも、王になることは出来ないのだ。


そんなブリュンヒルド王国で女王が統治するには理由がある。
女性の血縁者にしか宿らない特殊な魔力にあった。
不作知らずの肥沃な土地にも、豊かな鉱山も、その魔力を女王が土地に流し保ってきた。
それ故に、代々女王がこの国を統治してきた。



この国のお伽噺にもあるお話で、

ブリュンヒルド王国を建国した初代女王の王配は精霊王であり、精霊王は女王を殊の外寵愛した。
女王がこの世を去るのを嘆き悲しんだ精霊王は、女王に新たな命を吹き込み精霊国へと連れ去ろうとする。

精霊王を愛していた女王は残された時間が増え共に生きれる事を喜びはしたが憂いが取れない。
尋ねる精霊王に女王は話す「私が居なくなった後の娘が心配なのです。」と。
精霊王も父である筈だが、精霊王が特別に愛するのは女王。

人間である女王と違い、精霊は親心が薄い。

気持ちを分かって貰えない女王は嘆いた。
女王の涙に弱い精霊王は、残された娘を心配する女王の為に“娘だけに繋がれる特別な魔力”という加護を与えた。
それでも心配が尽きぬ母心を慮り、王国を大陸から切断して大海に取り囲ませた。

そこでやっと安心した女王を精霊国へと今度こそ連れ去った。


そんなお伽噺の様な話は実話なのである。
精霊王を祖先に持ち、特別な魔力という加護を継承してきた国。

それがブリュンヒルド王国である。

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