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第七十六話 日々過ぎて。

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 美味しいレインボーパフェを食べた後、リティシアの寮の前で二人と別れた。
 部屋にしばらくするとスノウの転移魔法で聖獣化した二人がやってきた。

「さっき別れて、またすぐ来たね。」

 久しぶりにモフモフをブラッシングしてあげるかと、櫛を片手にレティシアは二匹に近づいた。

「やったー! 久しぶりだ!」
 スノウは大喜びだ。
 スノウもユキも最近は人化が多かったり、私が余裕が無かったりで、ブラッシングしてあげれてなかった。

「さ、こっちに来て」
 リティシアはソファに座り、膝をポンポンと叩く。
 スノウはソファに飛び乗ると、リティシアの膝に頭をポフンと乗せた。

 ブラッシングしながら、時折スノウの柔らかな耳をフニフニ触る。
「くすぐったい」とスノウは言うけど、止めてとは言わない。
 そのうちにくぅくぅ寝息を立て始めて眠ってしまった。


「寝ちゃったね。」
 リティシアはスノウの頭を優しい手つきで撫でる。

 ユキが「膝にスノウが寝てるから、オレはやってもらえない?」というので、
 スノウの頭をそっと膝から外すと、ベッドに移動しユキに手招きする。

「こっちでいいよ、ユキおいで」

 嬉しさに耳をピンと立て、ユキが駆けてくる。
 ベッドのスプリングが軋むくらい元気よく飛び乗ると、スノウと同じ様にリティシアの膝に頭を乗せた。

 うつ伏せになって顎を乗せ上目遣いにリティシアを見つめる。
 尻尾は千切れんばかりに揺れ、喜びいっぱいな様子がとっても可愛い。

「さぁブラッシングしようね。」
 リティシアはフフっと笑いを零すと、ユキの体に櫛を滑らせた。



「ユキまで寝ちゃった。」

 ユキはリティシアの膝で気持ち良さそうに寝ている。
 スノウはソファで。

「んー、私もちょっと疲れちゃったから、夕飯まで寝ようかな。」

 ベッドサイドテーブルの上に置いてある、鈴をチリンと鳴らすとレイシアが「御用ですか?」とやって来た。

「スノウもユキも寝ちゃったから、私も夕飯まで少し休むわ。時間になったら起こしてくれる?」と頼む。

「あらあら可愛い寝顔ですね。分かりました。お時間になりましたら起こしに来ますね。」

 ユキの寝顔を覗き込みレイシアは笑うと、膝掛けを収納棚から取り出してソファで眠るスノウに掛けてくれた。

「ありがとう、レイシア」

 レイシアはニッコリ笑って一礼すると退室した。

「ふぁ……寝顔って見てると眠くなっちゃうよね。」

 ユキは重いので抱えるのは諦めて、リティシアの膝からそっと外す。

「部屋着だけど……着替えないでいいか。」

 リティシアはユキで暖を取るように寄り添うと、そのまま寝たのだった。





 その間にAクラスに毎日のようにヒロインさんは突撃してきて「なんで地味な双子はいるのに、双子王子はいないの!?」とご立腹であった。

 可愛い顔をしているのに、Aクラスの生徒に双子王子の事を問い詰める姿は般若のようで――――
 その様子を見ていたまともな令息は近づかなくなっていった。

 制服も夏服に着替える頃になると、ヒロインさんは遊び人の令息達との噂が頻繁に聞こえるようになる。

(王子たちを狙ってるなら、そんな相手と遊んでちゃダメでは……?)とリティシアは思うが、関わり合いになりたくないのでアドバイスはしない。

 アドバイスした所で、逆切れされるか「悪役令嬢ね!」とか言い出して絡まれるに決まっている。
 今までだって「悪役……」と呟きながら近づかれそうになった時に、スノウやユキにガードして貰っていたのだ。
 たまに双子王子もガードしてくれた。
 貴方たちガードされる側よ……とは思ったが、有難かったのでお礼を言っておいた。

 スノウとユキの時は「入学式にも居たわ! この超絶イケメン!」と大騒ぎしてたけど、全て無視されていた。
 双子王子の時は「地味男が何よ! 辛気臭いのよ!」と怒鳴られていた……。
 その二人が貴女がお探しの双子王子なんですけどね……とは思うが、教えるつもりは絶対にない。

 そんな風に穏やかに日々は過ぎ、夏休みがやってきた。
 幾度か顔を見せにスノウに頼んで帰ってはいたけど、長期休みだから両親と長く一緒に過ごせるのは嬉しい。
 両親も共に避暑地に行こうと計画中なので余計に楽しみだった。
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