上 下
59 / 82

第五十九話 カルボナーラ

しおりを挟む
エール、しおり、ブックマーク、有難うございます!
エールって機能が追加されたんですね。
わざわざ動画を見て頂いてまで応援して頂いてる事に涙が出る程嬉しいです。
有難うございます!
背中を押して貰ってるみたいで引き締まります。更新、頑張ります。


✂----------------------------



 ユキとスノウのめんどくさい態度にこれは後々にも響くと思ったリティシア。
「私から触ってしまう場合はそんなに目くじら立てないで。そうじゃないと嫌いになるよ二人とも。転移魔法を覚えたら連れて来なくなるかもなぁ~? だってこうやって中断ばっかりされてたら、商売相手の方だったら邪魔になるもんなぁ~」
 と言う事で穏便に(二人には脅し)理解して貰った。

 私の家族や親戚(王族とか)はスキンシップだったりエスコートだったりして相手から触れてくる事もある。
 だから家族以外で私が許可してない相手は妨害してくれてもいいよ。と説明したのだった。

 二人も家族に関してはそういう風なことをするつもりはないらしく、三人は血の繋がりもないから嫉妬したのだそう。
 従業員に嫉妬……? と思うけど、いろいろあるんだろうと訊くのは止めておいた。

 書類も後は提出するだけになっていたので、後ほど商業ギルドに提出する予定だそう。
 一緒に着いて行きたかったけど、私が関わっている事は色々とマズそうなのでやめておく。
 アイヴァンを代理として立てて、商会を立ち上げる予定。

 書類を隅々まで読み込んで、問題無さそうなのでアイヴァンに渡す。
 商会を立ち上げてからの流れをアイヴァンと話していると、昼食が出来たとルカが知らせにきた。

 今日はパスタ料理である。
 この世界には小麦粉はパンにしか使われず、麺類というものが無いのだそう。

(女神様が悪役令嬢とかヒロインとか言ってた事もあって、食生活は日本の豊かな食を反映してるかと期待したのに美味しくないのよね……いろいろ。)

 長い人生、美味しい食事がないなんて絶対耐えられないと思ってレストランですよ。
 レストランっていってもフレンチとかイタリアンとか日本食とか雑多に混ざった食事処にするつもりだから、ファミレス的な感じ。
 食に関しては絶対に妥協するつもりはないのだ。

 ―――という訳で、パスタ麺を作って貰って、初試食なのである。

 ルカに今回作って貰った麺は、うどんでいうきし麺みたいな感じ。

 フィットチーネというヤツである。
 平らな麺は伸ばして切るだけなので特殊な機械は必要ない。
 そもそも麺類がないので、パスタ製造機もない。
 だからまずはコレをパスタとして提供して、食べに来るお客様に麺類というものに興味を持って欲しいのだ。

 今日はカルボナーラである。
 フィットチーネといえばカルボナーラのイメージが強いので、そのレシピを書き記したメモを渡していた。
 料理の味付けは大味なものが多いんだけど、香辛料は安価で豊富な世界。
 コショウとかも平民の人でも購入出来る値段である。
 卵と生クリームと塩とコショウ。シンプルだけどとても美味しいのだカルボナーラは。

「凄くいい匂い。ルカ、見た目は百点満点よ! とっても美味しそう」

「「「いただきます!」」」

 私とユキとスノウが手を合わせていただきますをすれば、不思議そうな顔をしたルカ達も手を合わせて「いただきます」と倣う。

(うんうん、今は首を傾げながらしてるけど、あとでいただきますの意味を説明するね)

 レティシアはフォークとスプーンを持って手際よくくるくるっと巻いて食べる。
 ユキもスノウもルカ達も私のを見て真似をする。

「スプーンを使って紐っぽいものを巻くのか。便利だね」
 スノウが器用に麺を巻き付けて言う。

「皆上手、初めて麺を食べる人じゃないみたい」
 皆の器用さに感心しながら、カルボナーラをパクリと食べた。

「んんーっ……! 美味しい!」
 完璧に再現されてる!
 私が前世で食べてたカルボナーラの味!

「おお……美味しいですね。この麺という食べ物は……噛むと弾力もある。」
 アイヴァンさんが驚いたように感想を述べる。
 そっか、麺食べたことないと食感も不思議のひとつだよね。

「美味い! お代わりはないのか?」
 ユキが大きな声でルカに問う。
 ルカ、口の周りにソースがべったりついてるよ。
 がっついたでしょ……。

「あ、僕も!」
 スノウもべったりついてる……。

 私を挟んで左右に座って食事していたユキとスノウの口元をナプキンで拭う。

 ルカが「まだまだたくさんありますから。お代わりどんどんしてくださいね」と美味しいと言われて嬉しそうに微笑みながらユキとスノウに伝える。

「ルカ! おまえ出来るヤツだな!」
「ルカ、さっきは悪かったね。美味しいの作ってくれてたのに。」

 ユキとスノウ、餌付けされたようです。

「私もまだ頂いてもいいだろうか……」
「私も食べたいです、あればでいいので……」

 アイヴァンとセレスも遠慮がちにルカと私に言ってくる。

 ルカがチラと私を見て伺うような顔をした。

(全然いいよ! ユキとスノウだけなんてないよ!)

「勿論! ルカがたくさん作ってくれたみたいだし、皆お腹いっぱいになるまで食べましょ!」

 わあ! って喜びの歓声をあげて、皆ガツガツと残りを食べ始める。

 いやー、男子だなぁ。
 ガツガツ食べてるから、カルボナーラのソースが口のまわりにべったりついて小さな子供みたいな顔になってるのがちょっと面白い。


 ルカの作った初カルボナーラは、カルボナーラソースの鍋が洗わずともピカピカになっていたくらい皆が気に入ったという事を報告しておこう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。

下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

殿下に婚約破棄されたわたくしに、新しい婚約者を教育してほしい? 良いですよ、全く頑張りませんけれど

kieiku
恋愛
つまり月給制で、アンジュ様が嫌だと言ったらその日はそれで終了。そういうことですよね。楽な仕事だわぁ。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...