54 / 82
第五十四話 やらなきゃいけないことだらけ。
しおりを挟む
“成長促進”を使って他の種も成長させる。
味噌、カレー(固形のルーの味で液状だった)、めんつゆ…ほぼ私の好きな調味料しかない。シチューとか中華系の調味料とかも作ろうとは思ってけれど、取りあえず四つの調味料で色々料理を考案しようと思う。
考案って言っても、前世食べた料理の丸パクリだけど。
「小さい規模のレストラン、メニューは定食屋みたいな感じで。最初にカレーは見た目的にハードル高いかもしれないから、この世界の人が食べようって気になりやすいものがいいよね。」
リティシアは腕を組み、首を傾げて「うーん」と唸る。
この世界で提供される食事メニューは、ほぼ洋食一点集中だと思う。
他国に行った事がないので、少なくとも、私が知る範囲ではこの国では洋食だけだった。公爵家の馴染みの商人が持ってくる品物でも和食を感じる食材が持ちこまれた事はないと思う。
そういう食材が出た料理がないだけで、もしかしたら料理長すら知らない食材で使ってないだけかもしれないけれど。
一度食糧庫を見に行くのもいいかもしれない。
記憶が戻ってから調理場には何度か足を運んでる為、料理長とも面識はある。
食糧庫を覗くくらいは許可してくれるかもしれない。
とりあえず…
目指せ前世の和食料理! である。
ただ…
和食は目新しいけれど、すぐに好きになって貰える味なのか分からない。
基本的に味覚に馴染みが無い物は受け入れられづらいイメージ。
まずは味覚に馴染みのある物に近いのを食べて貰って、この店は美味しいから他の物も食べてみたいになってくれるのが理想だ。
「オムライス…とか?」
それならケチャップとかソースとか欲しいな。
コンソメも欲しい所だけど、あの植物は液体じゃないとダメなのだろうか。
まずは作ってみようと決心する。
明日拠点に行ったら、ルカ・アイヴァン・セレスたちが受け持つ仕事の説明もしないといけない。
今日は部屋決めや屋敷内の説明だけして、マジックポーチに食事が入ってるからそれを食べるように話したら、時間が厳しくなってきたから帰らざるを得なくて
色々中途半端に終わったし。
屋敷の改造もしたい……それは今は後回しにしなきゃいけないけど。
「これくらいでいいかなぁ…」
いくつか考案したメニューを紙に書く。
後はこの紙に書いたメニューを試作して、その中でも受けの良かったものを決めて、ルカに作り方を教えよう。
―――翌日の明け方。
予めルカ達には、こちらに来るのは明け方近い時間である事を説明していたので、
スノウに転移して貰った時には、既にルカ達は起きて待っていた。
「おはよう、みんな」
「「「おはようございます、リティシア様」」」
三人のピッタリと息の合った挨拶で出迎えられる。
「早速だけど、今日皆のこの屋敷でのお仕事について説明します」
「「「はい」」」
商会を立ち上げるまでは、こちらの屋敷でその準備の手伝いをして欲しいこと。
商会を立ち上げてからオープンさせる予定の和食レストランでは、ルカにシェフと責任者になって貰う事。
メニューなどをリティシアが考案するので、試作品の試食をお願いする。
食べて気に入ったメニューがあったら教えて欲しいこと。
あまり美味しくないと感じるものも正直に話して欲しい事。
気に入ったメニューはルカに作り方を伝授するのでしっかりと覚えて欲しい事。
庭の端に畑もどきがあるので、その植物の世話もお願いしたい事。
生ってる実は食べてもいいけれど、調味料なので塩っ気が強いので気を付けて欲しい事、他にも色々説明した。
三人ともどんな仕事を任されるか不安だったのだろう。
訊いた仕事内容に戸惑っている感じだった。
「こんなに簡単なお仕事でいいんですか…?」
ルカが不安そうに問いかけてきた。
他の二人もうなずいている。
「ん…? 簡単かなぁ? 結構いろいろ押し付けたと思うけど…。平屋と言ったって結構な広さがある屋敷の掃除もお願いしてるし。」
「このように楽をさせて貰ってもいいのかと…奴隷ですのに」
「もっとお申し付け下さい」
ルカとアイヴァンがやけに仕事を強請ってくる。
奴隷として今までどんな扱いを受けていたのか不安になる程だ。
セレスは戸惑ったように私を見つめてくる。
「うーん…思いついたらまたお願いするから、今はこれくらいの仕事で我慢して欲しい。皆さん仕事熱心なんだね」
仕事熱心なのも対応に困る。
「「「わかりました、リティシア様」」」
「後は、キッチンの――――」
レティシアは今度は屋敷の中の説明に移り、三人は真剣な眼差しで話を訊くのだった。
味噌、カレー(固形のルーの味で液状だった)、めんつゆ…ほぼ私の好きな調味料しかない。シチューとか中華系の調味料とかも作ろうとは思ってけれど、取りあえず四つの調味料で色々料理を考案しようと思う。
考案って言っても、前世食べた料理の丸パクリだけど。
「小さい規模のレストラン、メニューは定食屋みたいな感じで。最初にカレーは見た目的にハードル高いかもしれないから、この世界の人が食べようって気になりやすいものがいいよね。」
リティシアは腕を組み、首を傾げて「うーん」と唸る。
この世界で提供される食事メニューは、ほぼ洋食一点集中だと思う。
他国に行った事がないので、少なくとも、私が知る範囲ではこの国では洋食だけだった。公爵家の馴染みの商人が持ってくる品物でも和食を感じる食材が持ちこまれた事はないと思う。
そういう食材が出た料理がないだけで、もしかしたら料理長すら知らない食材で使ってないだけかもしれないけれど。
一度食糧庫を見に行くのもいいかもしれない。
記憶が戻ってから調理場には何度か足を運んでる為、料理長とも面識はある。
食糧庫を覗くくらいは許可してくれるかもしれない。
とりあえず…
目指せ前世の和食料理! である。
ただ…
和食は目新しいけれど、すぐに好きになって貰える味なのか分からない。
基本的に味覚に馴染みが無い物は受け入れられづらいイメージ。
まずは味覚に馴染みのある物に近いのを食べて貰って、この店は美味しいから他の物も食べてみたいになってくれるのが理想だ。
「オムライス…とか?」
それならケチャップとかソースとか欲しいな。
コンソメも欲しい所だけど、あの植物は液体じゃないとダメなのだろうか。
まずは作ってみようと決心する。
明日拠点に行ったら、ルカ・アイヴァン・セレスたちが受け持つ仕事の説明もしないといけない。
今日は部屋決めや屋敷内の説明だけして、マジックポーチに食事が入ってるからそれを食べるように話したら、時間が厳しくなってきたから帰らざるを得なくて
色々中途半端に終わったし。
屋敷の改造もしたい……それは今は後回しにしなきゃいけないけど。
「これくらいでいいかなぁ…」
いくつか考案したメニューを紙に書く。
後はこの紙に書いたメニューを試作して、その中でも受けの良かったものを決めて、ルカに作り方を教えよう。
―――翌日の明け方。
予めルカ達には、こちらに来るのは明け方近い時間である事を説明していたので、
スノウに転移して貰った時には、既にルカ達は起きて待っていた。
「おはよう、みんな」
「「「おはようございます、リティシア様」」」
三人のピッタリと息の合った挨拶で出迎えられる。
「早速だけど、今日皆のこの屋敷でのお仕事について説明します」
「「「はい」」」
商会を立ち上げるまでは、こちらの屋敷でその準備の手伝いをして欲しいこと。
商会を立ち上げてからオープンさせる予定の和食レストランでは、ルカにシェフと責任者になって貰う事。
メニューなどをリティシアが考案するので、試作品の試食をお願いする。
食べて気に入ったメニューがあったら教えて欲しいこと。
あまり美味しくないと感じるものも正直に話して欲しい事。
気に入ったメニューはルカに作り方を伝授するのでしっかりと覚えて欲しい事。
庭の端に畑もどきがあるので、その植物の世話もお願いしたい事。
生ってる実は食べてもいいけれど、調味料なので塩っ気が強いので気を付けて欲しい事、他にも色々説明した。
三人ともどんな仕事を任されるか不安だったのだろう。
訊いた仕事内容に戸惑っている感じだった。
「こんなに簡単なお仕事でいいんですか…?」
ルカが不安そうに問いかけてきた。
他の二人もうなずいている。
「ん…? 簡単かなぁ? 結構いろいろ押し付けたと思うけど…。平屋と言ったって結構な広さがある屋敷の掃除もお願いしてるし。」
「このように楽をさせて貰ってもいいのかと…奴隷ですのに」
「もっとお申し付け下さい」
ルカとアイヴァンがやけに仕事を強請ってくる。
奴隷として今までどんな扱いを受けていたのか不安になる程だ。
セレスは戸惑ったように私を見つめてくる。
「うーん…思いついたらまたお願いするから、今はこれくらいの仕事で我慢して欲しい。皆さん仕事熱心なんだね」
仕事熱心なのも対応に困る。
「「「わかりました、リティシア様」」」
「後は、キッチンの――――」
レティシアは今度は屋敷の中の説明に移り、三人は真剣な眼差しで話を訊くのだった。
0
お気に入りに追加
2,615
あなたにおすすめの小説
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
全ては望んだ結末の為に
皐月乃 彩月
恋愛
ループする世界で、何度も何度も悲惨な目に遭う悪役令嬢。
愛しの婚約者や仲の良かった弟や友人達に裏切られ、彼女は絶望して壊れてしまった。
何故、自分がこんな目に遇わなければならないのか。
「貴方が私を殺し続けるなら、私も貴方を殺し続ける事にするわ」
壊れてしまったが故に、悪役令嬢はヒロインを殺し続ける事にした。
全ては望んだ結末を迎える為に──
※主人公が闇落ち?してます。
※カクヨムやなろうでも連載しています作:皐月乃 彩月
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。
夫が浮気をしたので、子供を連れて離婚し、農園を始める事にしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
10月29日「小説家になろう」日間異世界恋愛ランキング6位
11月2日「小説家になろう」週間異世界恋愛ランキング17位
11月4日「小説家になろう」月間異世界恋愛ランキング78位
11月4日「カクヨム」日間異世界恋愛ランキング71位
完結詐欺と言われても、このチャンスは生かしたいので、第2章を書きます
作られた悪役令嬢
白羽鳥(扇つくも)
恋愛
血塗られたエリザベス――胸に赤い薔薇の痣を持って生まれた公爵令嬢は、王太子の妃となる神託を受けた。
けれど王太子が選んだのは、同じく胸に痣のある異世界の少女。
嫉妬に狂ったエリザベスは少女を斧で襲い、王太子の怒りを買ってしまう。
罰として与えられたのは、呪いの刻印と化け物と呼ばれる伯爵との結婚。
それは世界一美しい姿をした、世界一醜い女の物語――だと思われていたが……?
※作中に登場する名前が偶然禁止ワードに引っ掛かったため、工夫を入れてます。
※第14回恋愛小説大賞応募作品です。3月からは不定期更新になります。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】ドレスと一緒にそちらの方も差し上げましょう♪
山葵
恋愛
今日も私の屋敷に来たと思えば、衣装室に籠もって「これは君には幼すぎるね。」「こっちは、君には地味だ。」と私のドレスを物色している婚約者。
「こんなものかな?じゃあこれらは僕が処分しておくから!それじゃあ僕は忙しいから失礼する。」
人の屋敷に来て婚約者の私とお茶を飲む事なくドレスを持ち帰る婚約者ってどうなの!?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる