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第四十四話 キは続くよどこまでも。
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私が基本のキをスノウからしつこくねちこくやらされてる間に、
オスカーさんも念話を習得したらしい。
魔力量がレグルスさん程でなかったからか、広範囲での念話になることなく、個人のやり取りの念話を完璧に習得した。
魔法と一言にいっても、魔力と呪文的なものを唱えれば発動する代物ではないらしい。その者の魔力に対する習熟度と、対象の魔法をイメージコントロールする想像力、そこに魔力を思うままに圧縮したり解放したりの技術力。
そういった鍛錬無しには語れない代物なのだそう。
鍛錬すれば何でも唱えられるという訳でもなく、適正属性なども絡むらしいから…
複雑過ぎて頭の中がごちゃごちゃしてしまう。
こういうの見越してティナ様は私にチートをくれたのだろうか。
そうだとしたら、ティナ様は何て親切なんだろう。
今の所貰ったチートもいまいち活かせてはいないけれど、ユキとスノウ曰く体が小さいうちは、大魔法など程ほどにしておく方が負担が少ないらしい。
この魔力を身体中でぐるぐる廻らせ続ける事は、膨大な魔力が流れている血管を太く固く強固にする為でもあるのだとか。
小さな体に収まりきらず今にも体外へと飛び出しそうな魔力は、女神様のいとし子の加護のおかげで飛び出さずに保たれてるらしい。
そういう小話的な説明をちらほら訊かされつつ、今日も今日とて魔力循環に励んでいます。
「スッ、スノウ…! もう腕がっ、腕がっ、ぶるぶるしてき、てる…っ!」
「んー、流れは悪くないんだけどなー、ココ、ココが淀んでる、なんでだろ」
そう言ってスノウは私の肘の少し真上を指でトンと押した。
「うひゃう! いやぁー! 押さないでっ。何かビリビリしたじゃないの!」
「あ、流れが途切れた。集中して?」
「誰のせいで途切れたと思ってるの!?」
「今度は魔力が乱れてる、はい、スー、ハ―、呼吸を深く。吸ってー吐いてー」
「スー…ハー…(あとで覚えてなさいよ。)」
「うん、いいね。今日はもうこれくらいで休憩しよっか」
「…………」
ぐったりと床に倒れたままのリティシア。
(も、もう…指一本動かせる気がしない。魔力巡らせるだけで何でこんなに疲れるのぉぉ)
「起き上がれ無さそう?」
「……」
無言でコクリと頷くリティシア。
「よいしょっと」
「っ…!」
スノウは羽根でも持ち上げるようにひょいっとリティシアを持ち上げ横抱きにして歩き出す。
「…ちょ、スノウ、重いから……っ」
「えー、僕を何だと思ってる? 人化してる時はリティシアよりちょっと背が高い程度の子供サイズだけどさ、中身聖獣だよ? ドラゴンだって片手で持ち上げられるよ」
「ドラゴン!?」
リティシアがカッと目を見開く。
ドラゴン片手ってどんだけ怪力なの。
「この世界で一番強いのは女神様、次が僕ら聖獣だよ。地上で生きてるものは僕らにとって可愛い……んー、虫? くらいの小さな…」
「うん、色々と分かったから、スノウの心の中にある内容の説明はいいや」
リティシアは「虫」の例えにスンとなりつつ、スノウの自分語りを止めさせた。
私室に用意されたお茶とお菓子を口にしながら、
リティシアは「聖獣の飼い主を名乗るのって結構酷い扱いしてるのでは?」と、悶々とするのであった。
ユキとスノウはペットはペットでも下にも置かぬ程に可愛がられている為、その扱いに大満足だったのだが。
オスカーさんも念話を習得したらしい。
魔力量がレグルスさん程でなかったからか、広範囲での念話になることなく、個人のやり取りの念話を完璧に習得した。
魔法と一言にいっても、魔力と呪文的なものを唱えれば発動する代物ではないらしい。その者の魔力に対する習熟度と、対象の魔法をイメージコントロールする想像力、そこに魔力を思うままに圧縮したり解放したりの技術力。
そういった鍛錬無しには語れない代物なのだそう。
鍛錬すれば何でも唱えられるという訳でもなく、適正属性なども絡むらしいから…
複雑過ぎて頭の中がごちゃごちゃしてしまう。
こういうの見越してティナ様は私にチートをくれたのだろうか。
そうだとしたら、ティナ様は何て親切なんだろう。
今の所貰ったチートもいまいち活かせてはいないけれど、ユキとスノウ曰く体が小さいうちは、大魔法など程ほどにしておく方が負担が少ないらしい。
この魔力を身体中でぐるぐる廻らせ続ける事は、膨大な魔力が流れている血管を太く固く強固にする為でもあるのだとか。
小さな体に収まりきらず今にも体外へと飛び出しそうな魔力は、女神様のいとし子の加護のおかげで飛び出さずに保たれてるらしい。
そういう小話的な説明をちらほら訊かされつつ、今日も今日とて魔力循環に励んでいます。
「スッ、スノウ…! もう腕がっ、腕がっ、ぶるぶるしてき、てる…っ!」
「んー、流れは悪くないんだけどなー、ココ、ココが淀んでる、なんでだろ」
そう言ってスノウは私の肘の少し真上を指でトンと押した。
「うひゃう! いやぁー! 押さないでっ。何かビリビリしたじゃないの!」
「あ、流れが途切れた。集中して?」
「誰のせいで途切れたと思ってるの!?」
「今度は魔力が乱れてる、はい、スー、ハ―、呼吸を深く。吸ってー吐いてー」
「スー…ハー…(あとで覚えてなさいよ。)」
「うん、いいね。今日はもうこれくらいで休憩しよっか」
「…………」
ぐったりと床に倒れたままのリティシア。
(も、もう…指一本動かせる気がしない。魔力巡らせるだけで何でこんなに疲れるのぉぉ)
「起き上がれ無さそう?」
「……」
無言でコクリと頷くリティシア。
「よいしょっと」
「っ…!」
スノウは羽根でも持ち上げるようにひょいっとリティシアを持ち上げ横抱きにして歩き出す。
「…ちょ、スノウ、重いから……っ」
「えー、僕を何だと思ってる? 人化してる時はリティシアよりちょっと背が高い程度の子供サイズだけどさ、中身聖獣だよ? ドラゴンだって片手で持ち上げられるよ」
「ドラゴン!?」
リティシアがカッと目を見開く。
ドラゴン片手ってどんだけ怪力なの。
「この世界で一番強いのは女神様、次が僕ら聖獣だよ。地上で生きてるものは僕らにとって可愛い……んー、虫? くらいの小さな…」
「うん、色々と分かったから、スノウの心の中にある内容の説明はいいや」
リティシアは「虫」の例えにスンとなりつつ、スノウの自分語りを止めさせた。
私室に用意されたお茶とお菓子を口にしながら、
リティシアは「聖獣の飼い主を名乗るのって結構酷い扱いしてるのでは?」と、悶々とするのであった。
ユキとスノウはペットはペットでも下にも置かぬ程に可愛がられている為、その扱いに大満足だったのだが。
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