20 / 26
【期間限定】web版 どうぞお続けになって下さい。のラスト3話
第65話 新しい関係。
しおりを挟む
季節はめぐり、もう夏。
レティシアとレナトは侯爵邸の庭を朝涼みがてら散策中。
日中の暑さを感じさせないこの時間帯は快適である。
澄んだ朝の空気含んだ風がレティシアの長い髪を揺らす。
隣で並んで歩いていたレナトが風に流れた髪の一房をそっと手に取った。
レティシアは無言のままそのさまを眺めていた。
その髪の先にレナトがそっと口づけるまでは。
「うええっ!!??」
素っ頓狂な声をあげたレティシアにレナトはふはっと吹き出した。
相変わらず甘い空気にはさせてくれないレティシア。
レナトはずっとその先を望んできたというのに。
「レティ、そろそろボク……いや、俺のこと意識してくれた?」
「レナト?」
レティシアがやりたかったことのすべてに協力を惜しまなかったレナト。
傍を片時も離れることがないレナトの思いに、さすがのレティシアも気付きはじめている。
レティシアを見つめる強い熱を孕んだ瞳も、繋がれた手を離す時の名残惜しそうな指先も。
向けられた好意を弟のようだから家族だからだと思い続けて鈍感極まるレティシアででも、ここ一年のレナトには勘違いしようもない熱烈なアプローチを受けていた。
「意識、していると……思う。たぶん?」
認めたらその瞬間から二人の関係がぐるりと変わる。
往生際悪く曖昧さで付け足した「たぶん」がレティシアらしい。
レナトは往生際の悪いレティシアを可愛く思った。
「俺の本当の家族になって。レティ」
レナトを見上げる透き通るほど美しい瞳。
今までも家族のように近くて親密だった。
けれど、レナトはそんな意味で言ったことじゃない。
レティシアはごくりと喉を鳴らした。
「奥さんになって欲しいってこと?」
「唯一無二になって欲しいってこと。俺はレティ以外ほしくない」
溢れんばかりの愛がこめられた声色にレティの頬が赤く染まる。
この一年でレナトは更に背が伸びて顔立ちも美少年から美青年へと変化した。
少年と大人の間のアンバランスさが妖しさを醸して耽美的な色気を発しているのだと思われたが、生来のものだったようだ。
背景にバラが咲き乱れるような濃厚な色気に絡め取られてレティシアは呼吸が浅くなる。心臓が壊れるか心配なほどに高鳴りはじめている。
赤く染まり熱を放つ頬の輪郭をレナトは宝物に触れるように指の背で優しく辿った。
「レティ?」
先ほどから無言なままのレティシアの顔を覗き込む。
「わ、わわ、わたしも! レナトがレナトだけがずっと一緒に――――」
最後までいい終える前にレナトの長い腕が背に回されて強く引き寄せられる。
レティシアの唇がレナトの胸にぶつかって言葉が途切れた。
「レナト!」
ぷはっと胸から顔を上げてレナトへ抗議をこめて睨んだ。
開いた距離を埋めるようにレナトの顔が近づき、レティシアの顔中にキスの雨が降る。
「!?」
「唇は結婚式まで待ちたい所だけど、俺の我慢が続くかどうか。もう何年もずーっと待たされて限界。もっとレティが俺のキスに慣れてから唇に、ね?」
突然のことにレティシアは抗議も忘れて固まるレティシアの耳元でレナトが囁くように話し続ける。
レティシアの頭は真っ白だ。
長年の婚約者はいたが男女の触れ合いなど甘いものなど一切ない関係だった。
前世の記憶は蘇ったが、その記憶でも婚約者がいたがそういう関係になる前に妹との浮気で破断になった。
記憶のおかげで、ネットや雑誌等でソレ系の知識豊富にある。ただ、その行為をする対象が自分となると耐性ゼロである。
「レティ?」
いつまでも呆然としているレティシアが心配になるレナト。
耳も頬も瞼も鼻先もレナトが口づけを降らせた箇所すべてが鮮やかなレナトの赤に染まっていた。
「こう、いうこと、はじめて……だ、から」
だからお手柔らかにして欲しいと伝えたかったレティシア。
しかし、長年の恋情が成就した男の前で選ぶ言葉ではなかったかもしれない。
「はじめて!!」
レナトはレティシアを執着を示すように強く抱き締めて快哉を上げた。
「ボクがぜんぶ初めて!?」
喜びのあまり口調が元に戻っているレナト。
レナトの問い掛けに強い力で拘束されたままのレティシアが何度も頷く。
「レナト苦しい!!」
「あ、ごめんレティ。嬉しすぎて……あー、あの王太子に優しくしてやりたくなってきた。今までずっといつか殺してやりたいって思ってたけど、アイツが居たからレティに異性が寄ってこなかったんだし。よし、アイツの治世には力を貸してやるか」
ひどく物騒な発言があるが、レティシアは失った酸素を取り戻すのに忙しく聞いていない。
「レティの初めても最後もボクだけだからね。約束して」
「……結婚するなら当然じゃないの?」
「人間はね、結婚してから増やす人だっているんだよ。レティは人間だからその手の誘惑が多いかもしれないでしょう? したヤツは消すけど」
「私、レナトが唯一だって言ったよ。最後まで言わせてもらえてないけど……」
今度は優しい力で腕の中に囲い直したレティシアにレナトは約束を迫ってきた。
「レティ、約束」
しつこいレナトをジト目で見やれば、赤い瞳は揺れていて。
「もう、しょうがない子ねー。私にはずっとレナトだけだよ。私のすべての最初も最後も約束する!」
「ありがとう! 俺のすべての最初も最後もレティだけだよ! 魂が天に還ろうとも新たな生命として生まれようとも、ずっとレティだけだから!」
激重が返ってきてレティシアは聞き間違えたとスルーする。
レナトはそういう部分も愛しているので微笑みを浮かべた。
己の重さは種族的には普通であると開き直っている。
「近々、また二人だけで旅に出よう。婚前旅行ってことで」
「……! こ、こんぜんりょこう……」
レナトがサラッと提案すれば、レティシアは意識してどきまぎとした。
「侯爵様にも侯爵夫人にも伝えてあるからね」
「お父様にもお母様にも……」
言われたことをただ繰り返すレティシア。
外堀はとっくに埋められている。
「これからも二人で、結婚したら三人か四人か……いくらでも増えてもいいね」
「こっ、こども……」
恥ずかしがって腕の中で身を捩るレティシアを愛しく思いながら、レナトは幸せいっぱいの笑い声をあげる。それに釣られてレティシアも笑う。
婚約者にずっと浮気されていたのを我慢した日々、とうとう妹ともってショックを受けた時に前世の記憶が蘇った。
浮気したいならすればいい。
どうぞお続けください。と、婚約者の何もかもを突き放したセリフを言えたのはその記憶のおかげ。
そして何もかもすべて捨てて逃げ出した。
傷ついたレナトを保護して共に旅をして。
逃げるだけでは終わらないと国に戻ってきて。
王族になったとしたら取り組もうと思っていたことも、王族ではないけれど取り組むことができた。
陛下にも王妃様にもたくさん協力してもらって達成出来た。
レナトはずっと傍にいて手伝ってくれた。
いつしか、弟ではしないような、もっと深くて近い距離を受け入れるようになっていた。
好きが、愛に変わるまであっという間。
それはずっと私の中にあって、あとはただ「気付いくだけ」だったのかもしれない。
また二人で旅をする。
予定は未定のようなぶらり旅。
逃げ出した時のような定住の地を探すことはないけれど、
それでもレナトとの楽しい旅だ。
嬉しくなってレナトを見上げれば、レナトから瞼にキスされた。
慣れないスキンシップにまだ固まってしまうけれど、実はちょっとうれしい。
「海が見える場所に行きたいな」
「いいね。レティが望むなら、そこが俺も行きたい場所だよ」
願望を口にすれば全肯定。
レナトはちょっと私を甘やかしすぎだ。
口にするワガママに気をつけないと、とんでもない望みも下手すれば叶えてきそうである。
「そろそろ朝食かな?」
レナトが抱き締めた腕を解いて私と手を繋ぐ。
邸の中へと向かいながら、ずっとこんな日が続くのだと思うと、幸せな気持ちがふわふわと泡のように湧いてくる。
「レナト、ずっと一緒にいようね」
「もちろん。ずっとずーっとね」
即答するレナトに微笑みかけると、レナトの頬にチュッとお返しのキスをした。
「えっ!!」
唖然としたレナトを見て「お返し」と口にした私はきっと悪い顔をしているだろう。
「じゃあボクも!!」と口にしたレナトの手を離し、私は笑い声をあげながら邸へと走り出す。
これから二人の新しい関係が始まる。
甘くて楽しくて穏やかな関係が。
―――fin――――
強引でしたが無事に完結しました!!
ご覧くださいましたすべての皆様に感謝を!!
ありがとうございました!!
今日の夜に書籍化に伴い取り下げます。
書籍化はまた違った要素や展開がありますので、
宜しければ書籍の方もご覧くださいますと物凄く嬉しいです。
本当にありがとうございました!!
レティシアとレナトは侯爵邸の庭を朝涼みがてら散策中。
日中の暑さを感じさせないこの時間帯は快適である。
澄んだ朝の空気含んだ風がレティシアの長い髪を揺らす。
隣で並んで歩いていたレナトが風に流れた髪の一房をそっと手に取った。
レティシアは無言のままそのさまを眺めていた。
その髪の先にレナトがそっと口づけるまでは。
「うええっ!!??」
素っ頓狂な声をあげたレティシアにレナトはふはっと吹き出した。
相変わらず甘い空気にはさせてくれないレティシア。
レナトはずっとその先を望んできたというのに。
「レティ、そろそろボク……いや、俺のこと意識してくれた?」
「レナト?」
レティシアがやりたかったことのすべてに協力を惜しまなかったレナト。
傍を片時も離れることがないレナトの思いに、さすがのレティシアも気付きはじめている。
レティシアを見つめる強い熱を孕んだ瞳も、繋がれた手を離す時の名残惜しそうな指先も。
向けられた好意を弟のようだから家族だからだと思い続けて鈍感極まるレティシアででも、ここ一年のレナトには勘違いしようもない熱烈なアプローチを受けていた。
「意識、していると……思う。たぶん?」
認めたらその瞬間から二人の関係がぐるりと変わる。
往生際悪く曖昧さで付け足した「たぶん」がレティシアらしい。
レナトは往生際の悪いレティシアを可愛く思った。
「俺の本当の家族になって。レティ」
レナトを見上げる透き通るほど美しい瞳。
今までも家族のように近くて親密だった。
けれど、レナトはそんな意味で言ったことじゃない。
レティシアはごくりと喉を鳴らした。
「奥さんになって欲しいってこと?」
「唯一無二になって欲しいってこと。俺はレティ以外ほしくない」
溢れんばかりの愛がこめられた声色にレティの頬が赤く染まる。
この一年でレナトは更に背が伸びて顔立ちも美少年から美青年へと変化した。
少年と大人の間のアンバランスさが妖しさを醸して耽美的な色気を発しているのだと思われたが、生来のものだったようだ。
背景にバラが咲き乱れるような濃厚な色気に絡め取られてレティシアは呼吸が浅くなる。心臓が壊れるか心配なほどに高鳴りはじめている。
赤く染まり熱を放つ頬の輪郭をレナトは宝物に触れるように指の背で優しく辿った。
「レティ?」
先ほどから無言なままのレティシアの顔を覗き込む。
「わ、わわ、わたしも! レナトがレナトだけがずっと一緒に――――」
最後までいい終える前にレナトの長い腕が背に回されて強く引き寄せられる。
レティシアの唇がレナトの胸にぶつかって言葉が途切れた。
「レナト!」
ぷはっと胸から顔を上げてレナトへ抗議をこめて睨んだ。
開いた距離を埋めるようにレナトの顔が近づき、レティシアの顔中にキスの雨が降る。
「!?」
「唇は結婚式まで待ちたい所だけど、俺の我慢が続くかどうか。もう何年もずーっと待たされて限界。もっとレティが俺のキスに慣れてから唇に、ね?」
突然のことにレティシアは抗議も忘れて固まるレティシアの耳元でレナトが囁くように話し続ける。
レティシアの頭は真っ白だ。
長年の婚約者はいたが男女の触れ合いなど甘いものなど一切ない関係だった。
前世の記憶は蘇ったが、その記憶でも婚約者がいたがそういう関係になる前に妹との浮気で破断になった。
記憶のおかげで、ネットや雑誌等でソレ系の知識豊富にある。ただ、その行為をする対象が自分となると耐性ゼロである。
「レティ?」
いつまでも呆然としているレティシアが心配になるレナト。
耳も頬も瞼も鼻先もレナトが口づけを降らせた箇所すべてが鮮やかなレナトの赤に染まっていた。
「こう、いうこと、はじめて……だ、から」
だからお手柔らかにして欲しいと伝えたかったレティシア。
しかし、長年の恋情が成就した男の前で選ぶ言葉ではなかったかもしれない。
「はじめて!!」
レナトはレティシアを執着を示すように強く抱き締めて快哉を上げた。
「ボクがぜんぶ初めて!?」
喜びのあまり口調が元に戻っているレナト。
レナトの問い掛けに強い力で拘束されたままのレティシアが何度も頷く。
「レナト苦しい!!」
「あ、ごめんレティ。嬉しすぎて……あー、あの王太子に優しくしてやりたくなってきた。今までずっといつか殺してやりたいって思ってたけど、アイツが居たからレティに異性が寄ってこなかったんだし。よし、アイツの治世には力を貸してやるか」
ひどく物騒な発言があるが、レティシアは失った酸素を取り戻すのに忙しく聞いていない。
「レティの初めても最後もボクだけだからね。約束して」
「……結婚するなら当然じゃないの?」
「人間はね、結婚してから増やす人だっているんだよ。レティは人間だからその手の誘惑が多いかもしれないでしょう? したヤツは消すけど」
「私、レナトが唯一だって言ったよ。最後まで言わせてもらえてないけど……」
今度は優しい力で腕の中に囲い直したレティシアにレナトは約束を迫ってきた。
「レティ、約束」
しつこいレナトをジト目で見やれば、赤い瞳は揺れていて。
「もう、しょうがない子ねー。私にはずっとレナトだけだよ。私のすべての最初も最後も約束する!」
「ありがとう! 俺のすべての最初も最後もレティだけだよ! 魂が天に還ろうとも新たな生命として生まれようとも、ずっとレティだけだから!」
激重が返ってきてレティシアは聞き間違えたとスルーする。
レナトはそういう部分も愛しているので微笑みを浮かべた。
己の重さは種族的には普通であると開き直っている。
「近々、また二人だけで旅に出よう。婚前旅行ってことで」
「……! こ、こんぜんりょこう……」
レナトがサラッと提案すれば、レティシアは意識してどきまぎとした。
「侯爵様にも侯爵夫人にも伝えてあるからね」
「お父様にもお母様にも……」
言われたことをただ繰り返すレティシア。
外堀はとっくに埋められている。
「これからも二人で、結婚したら三人か四人か……いくらでも増えてもいいね」
「こっ、こども……」
恥ずかしがって腕の中で身を捩るレティシアを愛しく思いながら、レナトは幸せいっぱいの笑い声をあげる。それに釣られてレティシアも笑う。
婚約者にずっと浮気されていたのを我慢した日々、とうとう妹ともってショックを受けた時に前世の記憶が蘇った。
浮気したいならすればいい。
どうぞお続けください。と、婚約者の何もかもを突き放したセリフを言えたのはその記憶のおかげ。
そして何もかもすべて捨てて逃げ出した。
傷ついたレナトを保護して共に旅をして。
逃げるだけでは終わらないと国に戻ってきて。
王族になったとしたら取り組もうと思っていたことも、王族ではないけれど取り組むことができた。
陛下にも王妃様にもたくさん協力してもらって達成出来た。
レナトはずっと傍にいて手伝ってくれた。
いつしか、弟ではしないような、もっと深くて近い距離を受け入れるようになっていた。
好きが、愛に変わるまであっという間。
それはずっと私の中にあって、あとはただ「気付いくだけ」だったのかもしれない。
また二人で旅をする。
予定は未定のようなぶらり旅。
逃げ出した時のような定住の地を探すことはないけれど、
それでもレナトとの楽しい旅だ。
嬉しくなってレナトを見上げれば、レナトから瞼にキスされた。
慣れないスキンシップにまだ固まってしまうけれど、実はちょっとうれしい。
「海が見える場所に行きたいな」
「いいね。レティが望むなら、そこが俺も行きたい場所だよ」
願望を口にすれば全肯定。
レナトはちょっと私を甘やかしすぎだ。
口にするワガママに気をつけないと、とんでもない望みも下手すれば叶えてきそうである。
「そろそろ朝食かな?」
レナトが抱き締めた腕を解いて私と手を繋ぐ。
邸の中へと向かいながら、ずっとこんな日が続くのだと思うと、幸せな気持ちがふわふわと泡のように湧いてくる。
「レナト、ずっと一緒にいようね」
「もちろん。ずっとずーっとね」
即答するレナトに微笑みかけると、レナトの頬にチュッとお返しのキスをした。
「えっ!!」
唖然としたレナトを見て「お返し」と口にした私はきっと悪い顔をしているだろう。
「じゃあボクも!!」と口にしたレナトの手を離し、私は笑い声をあげながら邸へと走り出す。
これから二人の新しい関係が始まる。
甘くて楽しくて穏やかな関係が。
―――fin――――
強引でしたが無事に完結しました!!
ご覧くださいましたすべての皆様に感謝を!!
ありがとうございました!!
今日の夜に書籍化に伴い取り下げます。
書籍化はまた違った要素や展開がありますので、
宜しければ書籍の方もご覧くださいますと物凄く嬉しいです。
本当にありがとうございました!!
609
お気に入りに追加
8,319
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。