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21 カルロッテ・ベンヤミン伯爵令嬢の誤算。2

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お父様が激高して彼の侯爵家へ乗り込んでしまわれたわ。
妊娠の事実を突きつけて、私の婚約者は公爵家のアンドレ様ではなく侯爵家の彼になってしまった。
アンドレ様を手に入れる事はもう出来なくなってしまった。
周りのアンドレ様目当ての令嬢達から、遠回しの嫌味を言われたのは悔しかった。
なによ、前は私とアンドレ様の踊る姿を見て悔しそうにしていた癖に。
アンドレ様を私が手に入れられないと分かったらニヤニヤして群がってきて、気持ち悪い。

公爵に解消の申し入れをお父様がした後、報復を恐れていたのだけど…
公爵夫人がこのタイミングで亡くなってしまった。
報復はされない事になったみたいで、お父様はホッとしていた。

その後、アンドレ様を忘れて侯爵家の彼と婚姻式を挙げた。
彼の両親は複雑そうにしていたけれど、私のお腹に彼の子供がいるからか大切にしてくれる。

子供が生まれた。男の子だったわ。
アンドレ様を私から奪ったのはこの子な気がして、あまり愛せる気がしない。
子供を産んだら、すぐ彼は愛人を作った。
私とも夜を共にしているのに、愛人まで作るなんて元気よね。
悔しいから私も愛人を作るわ。
夜会に出て素敵な方を見つけたい。今のドレスや宝石じゃ誰も見向きもしてくれないわ。
もっと素敵な私にならなくてはね。

子供が一歳を迎える前に、侯爵家の彼フリオに無理やり離縁をされたわ。
離縁理由が、愛人遊びに散財、そして子供を放置して遊び歩いている毒婦だからですって!
フリオと同じ事をしただけなのに、何故離縁されるのかわからない。
フリオは許されて、私は許されないなんて。
愛してはいなかったけど「愛している」って縋り付いても、冷たい男だった。
翌日には荷物も纏めさせて貰えず実家の伯爵家へ連れていかられたわ。

お父様には勘当されちゃうし、お母様には冷たい目で見られるし。
離縁されたのは、私のせいじゃないのに。

これからの生活を考えて困っていたら、知人に王宮のメイドの職を斡旋して貰えた。
持つべきものは友ね。
昔、今の旦那様との仲を取り持って貰ったからって言ってたけど、そんなことしてないけど。
誰と勘違いしてるのかしら……でも、この仕事を逃したくないから合わせておいたわ。

メイドの仕事なんてした事ないのに、周りが口うるさい。
私は元伯爵令嬢だったのよ。
手が荒れる仕事なんてする訳ないじゃない。

神様はいるのかもね?
第二王子にしつこく求められる様になったわ。
仕事をしてるとすぐ部屋に引っ張り込んでくれるから、サボれるわ。
だって、王子様に呼ばれてるんですもの。
文句いう人なんていないわよね?

王宮でアンドレ様を見かけた。
少し前に結婚したらしい。
あれから二年も経つんですものね。そうよね。
だけど、悔しい気持ちが消えない。
私の場所だった筈のアンドレ様の隣は、どんな令嬢がすり替わったのかしら。
悔しい思いにイライラしていた時、名案が浮かんだ。
アンドレ様は結婚したのだから、すぐ子も出来るはず。
子が産まれれば、アンドレ様の愛人になれるじゃない。
別に妻じゃなくてもいいわ。そこは弁えてわきまえてるのよ、私。

アンドレ様だって、私を愛人にしてくれる筈。
あんなに笑顔で私との時間を楽しんでいたのですもの。
次にアンドレ様を見かけたらお声をおかけしなきゃ。
きっと再会を喜んでくださるに違いないわ。
待ってて下さいませね、アンドレ様。


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