上 下
17 / 36

17話

しおりを挟む
「そうだが?」

 オスカー・ルージュって言ってたのになんで気づかなかったんだよと自分をせめる。

「俺は第2王子、こっちは俺の兄で数年前に即位した」

「そうだったんですね」

「ああそれと、普段の話し方でいいぞ。
堅苦しいのは嫌いだしここには俺らしかいないからな」

 そうは言っても王様の前ではさすがに、と思って王様の方を見るとウンウンと頷いていたため、普通に話すことにした。

「それで、カルテット王国はなんて言っていたんだ?」

「国が魔王に襲われているから助けて欲しいって言ってたような?」

「嘘だな。
それなら隣国のこの国にも被害が出ているはずだがそんな報告は上がっていない。
おそらく戦争でも起こそうとしてるんだろうな」

 戦争という言葉を聞き、あい達の表情が暗くなる。
 戦争の兵器として召喚されたのか。
 日本の歴史で学んできたが、実際に自分の身近なところで戦争があると思うととても怖くなった。
 何より、今の自分達には人を傷つける力がある。
 魔法を使えるのは嬉しいことだったが、それを誰かを傷つけるために使うのは間違っている気がした。

「サイテー…」

 あいから出てきたのはその一言。
 でもあいが本当に怒っていることは一目瞭然だった。
 部屋の温度が一気に下がり、霜が降りてきたからである。

「ちょっとあい、部屋氷ってる!」

 その言葉で部屋の温度は元に戻った。
 その一部始終を見て王や宰相はあいを怒らせてはいけないということを実感した。

「とりあえず、カルテット王国への対応は急ぎで考えた方がいいな。
これからはどうするんだ?」

「元の世界への帰り方を探します」

「そうか。
何かあったらこの国を頼ってくれ。
力になれることなら協力しよう」

 そして緊張の謁見は終了し、あい達は早速助っ人を手に入れた。





 次の日、やはり生活するには冒険者になった方がいいということで、7人は冒険者ギルドに来ていた。
 あいはネット小説を沢山読んでいるため、冒険者ギルドに入るとだいたい絡まれるとわかっていた。

(絶対体格のいい怖めなおっさんいるわ…
でもそれがテンプレだからなぁ、いないでくれ~)
 
 そして勇気をだしてギルドに入ると、、、

「おい、ガキがこんな所に来る資格はねぇんだよ」

 と目の前に立ち塞がる男が。

(やっぱりね)

 あいは横を素通りしてカウンターの方に向かおうとした。
 それでもやはり絡んでくる男に対して、だいたいの人は魔法を発動して黙らせるようだが、あいはテレポートをして空いているカウンターへ移動する。

「冒険者登録をしたいんですけど」




━━━━━━━━━━
途中から話しているのは王様です。
話し方が同じなのは兄弟だからです。
決してキャラが被っちゃったとか、そんなことはないですよ( ̄▽ ̄;)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません

ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」 目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。 この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。 だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。 だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。 そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。 人気ランキング2位に載っていました。 hotランキング1位に載っていました。 ありがとうございます。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

処理中です...