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第三話 スパルタ
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「それで、私は何をすればいいの?」
異世界生活楽しんでと手紙に書いてあったが、まずこの世界がどういう世界なのか分からない。
『とりあえず冒険者になったらどうだ? 依頼をこなせば生活するぐらいは稼げる』
「ふーん、じゃあそうしよ」
『その前に、まず魔法の練習からだ! すずの発動速度ではすぐに魔物に襲われるぞ』
確かに、異世界に連れてこられたとはいえ無惨な死に方はしたくない。
相手にはダイスがなってくれるそうで、しばらくの間スパルタ教育を受けることになったのだった。
『まあ良くなってきたんじゃないか?』
1週間ほどたった頃、やっとダイスの口から褒め言葉が出てきた。
初めはただ力を込めていただけだった魔力も、今ではしっかりと認識して扱えるようになっている。
またイメージもすんなりできるようになり、教えてもらった魔法は全て使いこなせるようになっていた。
最初はボコボコにやられていた私も、今はダイスとほぼ互角というところまで追い詰められるようになってきている。
『まっ、まだまだだがな』
「はいはい、それで? もうそろそろ美味しくて温かい食事をしたくなってきたんだけど?」
魔法を鍛えている間はずっと木の実を採って生活していた。
ちなみに風呂なんかあるわけもないため、体は魔法で綺麗にする。
美味しいご飯にあったかいお風呂。
日本にいた時の生活がどれほど快適なものだったのか思い知らされた。
『まあこれくらいの実力があれば冒険者としてもそこそこやっていけるだろう。よし、では明日人里に向けて出発するぞ』
「はぁ、なんでダイスに仕切られてるわけ?」
『いくら主といえど、弱いやつには従う気はないからな』
「……もうちょっとで勝てたもん」
『だが、負けたのは事実だろ』
「……寝る、おやすみ」
何も言えなくなり、とりあえず寝ることにする。
魔法の練習をしていると時間はあっという間にすぎるものだ。
魔物が襲ってこないよう周りに結界を張ってから眠りについた。
この世界には魔物がいる。
魔物は人に害をなすものとして認識され、冒険者が依頼を受けて討伐するようだ。
とまあ、これは全てダイスに教えてもらったものなのだが、聞いてて本当に異世界に来てしまったんだと少し怖くなってきた。
とは言っても帰る方法はないのだが。
しかしこの状況の中で良かったこともある。
それは私が異世界漫画を読み漁っていたことだ。
まさか自分が異世界に転移してしまうとは思ってもみなかったが、ダイスの説明と照らし合わせても自分の認識とあまり変わっているところがなく、少しだけ安心する。
『おい、そろそろ起きろ!』
どうやら回想シーンはこれで終わりみたいだ。
しばらく続きそうなこの旅、憂鬱なのに変わりはないが少しだけ楽しんでもいいかもしれない。
異世界生活楽しんでと手紙に書いてあったが、まずこの世界がどういう世界なのか分からない。
『とりあえず冒険者になったらどうだ? 依頼をこなせば生活するぐらいは稼げる』
「ふーん、じゃあそうしよ」
『その前に、まず魔法の練習からだ! すずの発動速度ではすぐに魔物に襲われるぞ』
確かに、異世界に連れてこられたとはいえ無惨な死に方はしたくない。
相手にはダイスがなってくれるそうで、しばらくの間スパルタ教育を受けることになったのだった。
『まあ良くなってきたんじゃないか?』
1週間ほどたった頃、やっとダイスの口から褒め言葉が出てきた。
初めはただ力を込めていただけだった魔力も、今ではしっかりと認識して扱えるようになっている。
またイメージもすんなりできるようになり、教えてもらった魔法は全て使いこなせるようになっていた。
最初はボコボコにやられていた私も、今はダイスとほぼ互角というところまで追い詰められるようになってきている。
『まっ、まだまだだがな』
「はいはい、それで? もうそろそろ美味しくて温かい食事をしたくなってきたんだけど?」
魔法を鍛えている間はずっと木の実を採って生活していた。
ちなみに風呂なんかあるわけもないため、体は魔法で綺麗にする。
美味しいご飯にあったかいお風呂。
日本にいた時の生活がどれほど快適なものだったのか思い知らされた。
『まあこれくらいの実力があれば冒険者としてもそこそこやっていけるだろう。よし、では明日人里に向けて出発するぞ』
「はぁ、なんでダイスに仕切られてるわけ?」
『いくら主といえど、弱いやつには従う気はないからな』
「……もうちょっとで勝てたもん」
『だが、負けたのは事実だろ』
「……寝る、おやすみ」
何も言えなくなり、とりあえず寝ることにする。
魔法の練習をしていると時間はあっという間にすぎるものだ。
魔物が襲ってこないよう周りに結界を張ってから眠りについた。
この世界には魔物がいる。
魔物は人に害をなすものとして認識され、冒険者が依頼を受けて討伐するようだ。
とまあ、これは全てダイスに教えてもらったものなのだが、聞いてて本当に異世界に来てしまったんだと少し怖くなってきた。
とは言っても帰る方法はないのだが。
しかしこの状況の中で良かったこともある。
それは私が異世界漫画を読み漁っていたことだ。
まさか自分が異世界に転移してしまうとは思ってもみなかったが、ダイスの説明と照らし合わせても自分の認識とあまり変わっているところがなく、少しだけ安心する。
『おい、そろそろ起きろ!』
どうやら回想シーンはこれで終わりみたいだ。
しばらく続きそうなこの旅、憂鬱なのに変わりはないが少しだけ楽しんでもいいかもしれない。
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